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和菓子のアン

わがしのあん

坂木司のミステリー小説。お仕事小説の一つ。現在はシリーズタイトルでもある。
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概要編集

坂木司のミステリー小説。日常の謎を解く5つの短編をまとめた短編集であり、後日談は同氏の呼びかけにより実現した『和菓子のアンソロジー』(複数の作家による和菓子関連の短編集)に収録されている。

2016年に『和菓子のアンソロジー』に収録「空の春告鳥」を物語発端とした次作『アンと青春』が発売。2シリーズ目ならびに、そもそもが連作短編集(個別短編小片の組み合わせで成した小説)の中、各短編が各話に相当、一冊をもってシリーズ一作・一編を成す「小説」の立場を鮮明にした。

2020年10月『アンと愛情』が発売。

2021年6月、ドワンゴ運営のListenGoよりオーディオブック版が配信。

2021年11月、作中の架空の和菓子立体化に貢献した本和菓衆の展示活動と併せて第四弾目連載開始予定がツイートされる

2023年10月、『アンと幸福』が発売。『アンと愛情』文庫版帯では『アンと幸福』告知と共に「幸福」読みを「しあわせ」とルビ振りされていた。しかし「アンと幸福」単行本「あとがき」では、坂木本人コメントとして全3シリーズの慣例通り「こうふく」とされている。石川装丁でも英スペルは「Kofuku」となっている。

2024年7月、『ジャーロ』No.95「編集部より」で「次号」として5シリーズ目(原文は「シリーズ最新作」)の連載開始が予定されていたが、次号No.96で実際には近藤史恵作品が連載開始された。同号「編集部より」にて「次号」の体で仕切り直し、改めて連載開始がアナウンス、次号No.97にて予定通り連載開始。


内容編集

東京百貨店※1にある和菓子屋、「みつ屋」。

高校を卒業してもやりたいことが見つからなかった梅本杏子は、軽い気持ちでその店のアルバイトを始めた。

日々の業務をこなす中で小さな謎に出会うたびに、杏子は挫折や発見を体験しつつ成長していく。

ミステリーとしては主に、和菓子もしくは東京百貨店のみつ屋に関連した謎を追う。探偵役は、それぞれの状況に応じ一人からみつ屋全員、推理後、みつ屋店内で起きた謎に対する処遇は店長の椿はるかが担っている。


  • ※1. 連載当時、掛け持ちで長期間創作に携わっている作者坂木の記憶違いか、用語を併用している読者への意図的な揺さぶりか、一人称としての対象者梅本の認識のぶれか、真意は定かではないが「東京デパート」とも称する。梅本は主に「東京デパート」、梅本の面接で梅本と向き合いみつ屋を紹介した椿、梅本が椿に採用後、梅本が椿に連れられて初対面した百貨店社員「フロア長」は「東京百貨店」と称した。マンガペディア、「アンと愛情」刊行記念で行われたWebサイン会におけるシリーズ紹介では「東京百貨店」と紹介されている。特に「アンと幸福」刊行記念での本和菓衆コラボでの各種販促品では、仮想店舗グッズ商品としてながらも「東京百貨店」と明記され、正式名は「東京百貨店」、通称や口頭での相当表現として「東京デパート」が確定した。

評価編集

この小説の感想として最も多いのが「読み終わると和菓子が食べたくなった」である。表紙のせいもあるだろうが、やはりこれは作者の巧妙な筆運びによるものだろう。


メディアミックス編集

花とゆめ猪狩そよ子によって漫画版が連載、花とゆめCOMICSから発売されている。


オーディオブック版朗読はバーチャルYouTuber紗彩木ひそり。2022年11月24日、猪狩は、自身が担当した漫画版『和菓子のアン』梅本と紗彩木のカップリングイラストをTwitterに投稿した

登場人物編集

梅本杏子

主人公。18歳(「和菓子のアン」当時)。甘い物に目がないぽっちゃり体系の少女。他者からの印象は、椿は「ペコちゃん」、立花からは「大福餅」と頬を触られている。

体型のせいで恋愛経験や異性との対話が苦手だが、明るい性格であり、地元に商店街がある育ちから勧誘に対する処世術を身に付けている。

「和菓子のアン」ならびに作者の別作品「切れない糸」に登場したパート店員梅本の娘。


立花早太郎

みつ屋社員。和菓子職人を目指す修行の一環として「みつ屋」社員をつとめている。

イケメン容姿なため、当初杏子から苦手意識を持たれていたが、のちに性格を知って打ち解けた。

実は乙女系男子で、女性の桜井と椿からは「その一面がなければ」と疎んじられている。


椿はるか

みつ屋こと和菓子みつ屋東京百貨店店長

選んだ和菓子から客の悩みや購入目的を言い当てる才能を持つ。

在庫を残さないように仕入れをするなど経営者として評価されているが、その一方でプライベートの趣味は株の売買他パチンコ、競馬等博打。


桜井

みつ屋アルバイト。大学在学中の傍ら遅番をつとめる。杏子の面接時、初めに声をかけた相手。シリーズ第2弾「アンと青春」内で結婚後も名字は桜井のまま。夫婦別姓として桜井自身が望んだか、結婚で変わるものではないと素通ししてしまった作者の間違いかは不明。

気さくで優しいが実は元ヤンで、髪は茶髪、業務中もたまに地が出てしまう。

作者の別作品「ウィンター・ホリデー」に登場したサクライと同一人物。「ワーキング・ホリデー」「ウィンター・ホリデー」主人公沖田大和とは元ヤン同士であり沖田大和のみ桜井を読みのサクライとして認識している。

沖田が現在勤務している「ハチさん便」こと「ハニービー・エクスプレス」は東京百貨店から宅配業の委託を受けている一方、同宅配に沖田他、所属営業所その他同僚の関与は不明。

結婚後「ウィンター・ホリデー」で沖田と再会し、以後の生活が「アンと青春」以降で描かれる為、時系列は「和菓子のアン」→「アンと青春」≒「ウィンター・ホリデー」→「アンと愛情」→「アンと幸福」となっている。


新井和也

作者の別作品「切れない糸」主人公。梅本親子が住む商店街にある「新井(アライ)クリーニング」店長。先代にして実父の急死後「新井(アライ)クリーニング」を継ぐ。「和菓子のアン」開始当初、杏子の母親の口から「新井さんのところは……」と杏子の就労を急かす口実として名前が告げられた相手。同時に杏子の母親自身は「切れない糸」時代から継続して「新井(アライ)クリーニング」勤務継続が示唆された。

新井は梅本の母親の娘(杏子)を「ウィンター・ホリデー」でも登場した洋菓子屋「かとれあ」で見かけた接点があるものの、それ以上の直接的な交友関係は不明。


関連動画編集



FMひがしおうみのFMラジオ番組「FM 81.5 Radio Sweet」で紹介された「和菓子のアン」紹介内容。


関連タグ編集

赤毛のアン アン・シャーリー

近藤史恵:「ビストロ・パ・マル」シリーズ1作目『タルト・タタンの夢』が着想の一つ


立花早太郎

ミステリー 和菓子 推理小説 日常の謎

E7系・W7系:「かがやき」が「アンと青春」に登場する架空の生菓子「はじまりのかがやき」のモデルとなった

野間美由紀:第一弾「和菓子のアン」雑誌連載時、挿絵を担当

 神道 陛下天皇の敬称は「陛下」と皇室典範にて規定されているが『アンと幸福』の登場人物は「天皇様」と呼んだ。


外部リンク編集

和菓子のアン シリーズ特設サイト:公式ニュース(下記参照)は当初「アンと愛情」特設サイトとして発表された。

和菓子のアン:オーディオブック版


和菓子のアン - Wikipedia

和菓子のアン - マンガペディア


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