カナダの児童文学作家ルーシー・モード・モンゴメリ(L.M.モンゴメリ)が発表した『赤毛のアン』に端を発する一連のシリーズ「アン・ブックス(アン・シリーズ)」の主人公。以下の派生がある。
タグとしては上記した当該キャラクターを描いた時に付けるものであるが、公式上は両者は同一人物(「こんにちはアン」は「赤毛のアン」の前日譚扱い)として扱われる。
「赤毛のアン」のアン・シャーリー
両親を幼くして亡くし、知人や孤児院の下を転々としたのち、プリンスエドワード島にあるグリーン・ゲイブルズ(緑の切妻屋根の家)のカスバート兄妹に引き取られた孤児の少女。
想像(妄想)癖がたくましく、それを隠さず、むしろ自身の妄想をドヤ顔で主張する、おしゃべり娘。自身の赤毛や容姿、痩せぎすな体形がコンプレックスであり、それをからかわれるとガチギレをおこす。そのため「かんしゃく持ち」とまで揶揄されることも。
さらに類稀なる行動力を持っているため、自身の想像力も併せて周囲を引っ掻き回し大騒動を起こすことも多く、一部では(孤児出身ゆえの偏見も相まって)問題児扱いされる事も多い。(出会った頃のリンド夫人や、いちご水事件の時のダイアナの母親など。後に両名とも評価を改めているが)
一方で知人宅や孤児院にいた頃は常に年下の子供の面倒を見てきた経験から、育児や幼児の罹患しやすい病気についての知識がある程度あり、ダイアナの妹のミニーメイが喉頭炎を発症した際は、的確な判断でダイアナの家のお手伝いさんに指示を出し、徹夜で看病してミニーメイを救っている。(マシューが連れてきた医者曰く、「アンがいなかったら、手遅れになっていた」とのこと)
名前の綴りにこだわりがあり、大抵は「アン」の綴りは「Ann」になるが、本人は「最後に『e』をつけて(綴りは「Anne」になる)」と主張している。
アン、と言えば赤毛の三つ編みおさげのイメージだが、実はある事情で髪をバッサリ切ったことがあり、その時の髪型(今でいうべリーショート)もそれはそれでかわいらしい。(当人は「これは私の虚栄心に対する罰だわ」と凹みまくっていた)
想像力がプラスに働くこともあるが、逆にその想像力が低い自己評価に繋がることもあり、そうなった場合には自らに対してマイナスに働くこともある。ちなみに学校の成績は優秀。(特に文学。たくまし過ぎる空想・妄想癖が良い形で結実したもの。対して理系の科目は苦手で、中でも一番の苦手は幾何学。全く出来ないわけではないが『これさえなければ私の人生はもっと明るくなるのに』とマシューに愚痴る程度には苦手)
学校で出会ったダイアナ・バリーとは無二の親友となる。そして転校初日に自身の赤毛をからかったギルバート・ブライスとは互いに成績優秀者でもあったがゆえに、事ある毎に対立する不俱戴天の仇敵と自己認定する。
「こんにちはアン」のアン・シャーリー
「こんにちはアン」に登場するキャラクター。
CV:日高里菜
赤毛とそばかすが特徴の常に明るく生きている少女。専業主婦の母親と教師である父親のもとに生まれたが、流行病によって物心つく前に両親を亡くしてしまう。
本作では「アン」の綴りは「Anne」で正しい事が語られている。これはアンの父のウォルターが娘の名を敬愛する女王陛下(イングランド王国最後の女王であるアン女王)より頂いたため。
両親を亡くしてから引き取られた先で、絶えず家事を申し付けられる日々を送っている。同年代の子供たちに比べて物覚えが良くて聡明。幼い頃からすでに想像癖たくましく、おしゃべり好きである。
父親のウォルター・シャーリーは想像力が豊かで比喩を駆使する語り部めいた教師であり、アンは基本的に父親似である事が、ここで明かされている。「波間に浮かぶゆりかご」と表現する場所を大事にしていた。その言葉はのちに意味を教えられないままでアンに受け継がれ、のちに彼女の運命を導く標となる。
関連タグ
※ 以下ネタバレ |
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原作(主に5巻以降)以降のアン(ネタバレ)
『赤毛のアン』の最終局面にてギルバートとは和解。不倶戴天の敵から互いに教師の道を行く認め合うライバル、さらには時を経て解り合える同士へと関係が昇華された。
のち、ギルバートは教師から医師へとジョブチェンジ。アンものち大学に学び直し順調に出世して高校の校長まで上りつめる。
そしてギルバートが無事にジョブチェンジを果たしたのを機として、ついに二人は結婚。アン・シャーリーはアン・ブライス(ブライス夫人)となり、夫婦でプリンスエドワード島から飛び立ち、ギルバートの医師としての赴任地を渡り歩く事となった。
最終的にはギルバートとの間に長男・次男・双子の長女&次女・三男・三女という、計6人の子どもをもうける。(長男の前に女児を生んだが生後すぐに亡くなってしまったため実際には7人)また赴任先の村では、その教師経験と空想力を駆使して、村の女性たちの相談役として慕われ、ギルバートとともに行く先々の村の名士として人を助ける活動を続けた。
アン・ブックス最終章である『アンと思い出の日々』ではギルバートとともに孫たちに囲まれる穏やかなおばあちゃんになっている。
アンの子どもたち
アンとギルバートの間に生まれた子どもたちは以下の通り。おおよそアンとギルバートの縁者の名前を受け継いでいる。中にはアンの名前を受け継いでいる子もおり、以降のブライス家では代々アンの名を受け継いでいく(アンを名乗る子がいる)事が示唆されている。
- ジョイス・ブライス:第0子。女児。生まれはするが、様々な要因から、すぐに死亡してしまう。
- ジェイムス・マシュー・ブライス:第1子。長男。通称・ジェム。1893年生まれ。長子であるためしっかり者。第一次世界大戦に巻き込まれて生死不明となるが、傷痍軍人となって生還。のち医師となりブライス家の家業を継ぐ。
- アン・ブライス:ジェムの娘。祖母であるアンの名を継ぐ、アン・シャーリーの孫。3代目アン。
- ジェイムス(Jr.)ブライス:ジェムの息子。父の名を継ぐ。愛称は父と同じくジェム。
- ウォルター・ブライス:ジェムの息子。大戦時に亡くなった叔父(初代アンの次男)の名を継いだ。ただ、その叔父の名はアンの実父の名であるため3代目ウォルターとも言える。
- ウォルター・カスバート・ブライス:第2子。次男。2代目ウォルター。アンの養家カスバート家の名と共に、アンの文学的素養と想像力を最も強く受け継いだ子。争いを嫌う心優しい子だった。しかし第一次世界大戦の最中において、その素養によって「臆病者」にして「非国民」の烙印を押される事となってしまい、周囲の同調圧力から家族を守るために従軍志願へと追い詰められ、軍でもまたその性格からより辛い戦地へと役目を押し付けられ追いやられ、ついにコールスレットで壮絶な戦死を遂げる。彼が戦地の塹壕の中でも書き続けた詩歌は戦友によって持ち帰られたのち戦後に高い評価を受けた。そして後世には偉大なりて心優しき悲劇の作家と呼ばれ「カスバート」の名を永遠のものとして世界に刻んだ。
- ダイアナ・ブライス:第3子。長女。ブライス家の双子の片割れ。通称・ダイ。母親譲りの外見、父親譲りの発育の良さとリアリズム、その双方をバランスよく受け継いだ子。名前はダイアナ・バリーから譲り受けたもの。
- アン・ブライス:第4子。次女。ブライス家の双子の片割れで、2代目アン。母との名前の区別のため、愛称をナンとしている。褐色の瞳に色白の肌を持つことからか、兄妹の間では最も美人という評もある。
- ダイ・メレディス:2代目アンの娘。名前は伯母であるダイアナの愛称から取られている。
- シャーリー・ブライス:第5子。三男。アンの旧姓を名として受け継ぐ飛行機ヲタ。両親の母校であるクイーン学園にて学んでいる。卒業後、兄たちの行方不明および戦死を受けるも、家族の反対を押し切り、航空隊に志願従軍。大戦の戦渦に巻き込まれて結局帰らぬ人となる。
- バーサ・マリラ・ブライス:第6子。三女にして末娘。通称はリラ。初代アンの実母であるバーサ・シャーリーと、初代アンのもう一人の母と言えるカスバート家のマリラ、両者の名を受け継いだ少女。アン・シリーズ第8作『アンの娘リラ』の主人公。アンの子の中では最も「健康美」に恵まれた娘。末っ子であるためかワガママで享楽的な一面を持つ。のち大戦での銃後経験および兄たちの戦死により悲しみに暮れる母たちを支えることで見違えるような精神的成長を遂げ、良識にあふれた貴婦人となっていく。
- ギルバート・フォード:リラの息子。リラの父であるギルバートの名を受け継ぐ。
ネタバレ関連タグ
ブライス夫人 アン・ブライス:表記ゆれ。特にアン・ブライスは別作品のキャラのタグとして機能しているため注意。
ギルバート・ブライス:不倶戴天の敵、のち旦那。