ヒステリアモード
ひすてりあもーど
概要
医学的な正式名称は『ヒステリア・サヴァン・シンドローム』であり、名称は遠山金一が独自に名付けたもの。HSSとも略される。正式名称は、返對と書いて(へんたい)と読むため、キンジの祖父の鐵と雪花以外は「ヒステリアモード」またはHSSと呼んでいる。現実ではサヴァン症候群に当てはまり一種の発達障害に分類される。
性的興奮によってβエンドルフィンが一定以上分泌されると、神経伝達物質を媒介し大脳・小脳・精髄といった中枢神経系の活動を劇的に促進させる。この覚醒した状態では思考力・判断力・反射神経・視力・聴力などが通常の30倍にまで向上し、常人離れした活動を可能にする。ただし、女性の事を最優先で考えることで物事の優先順位付けが正しく出来なくなったり、(特にキンジの場合は)女性にキザな言動を取ってしまうなどの反作用がある。
元々は遠山家だけに伝わる能力であったが、金一がイ・ウーに潜入した際に他のメンバーに伝授したため、理子やジャンヌなどには能力の一部概要については知られている。また、父の遺伝子は国外に流出しているため、戦闘能力上昇作用に目をつけたアメリカの組織によってジーサードやかなめ、かなでが生み出された。
正体・欠点
本来は、「女性を守って、魅力的な男性を演じて子孫を残す」能力である。故に前述のように異性のことを最優先で考えてしまう上に女性にキザな言動や対応を取ってしまうなどの作用が出る。
逆に女なら「男が守りたくなるような女になり、男心をくすぐるような仕草をするようになる」になるため、戦闘能力が下がるようになる。つまり男はより強くなるが、女は格段に弱くなってしまう(ただし、女性でも思考力・判断力の上昇は起こる為、戦闘には向かないだけで全くの無意味というわけではない。また、女性でも本人が男性であるという認識があれば戦闘力も向上するが、恋心などで女性であることを認識してしまうと戦闘力は低下する)。また、年齢と共に子孫繁栄の意志は衰えていくため、加齢と共に性能は低下していく(10代後半が最も性能を発揮できる年頃とされる)と言われている。
對卒
遠山家の人間に発症する固有の病。過度にHSSを使い続けることで神経伝達物質の亢進によって大脳新皮質が負担し、いずれ脳卒中を起こして死に至る。祖父の鐵からも「返對して頭の奥だけに痛みが生じたら、それは死に至る病だから覚悟せよ」と忠告された程の危険な病であるが、遠山家の人間すべてに症状が現れるわけではない。
キンジの父である遠山金叉もこの病にかかっていたらしく、對卒が原因で殉職することになったのではと言われている。しかし、金叉は對卒を克服し、アメリカで現在もなお生きていたことが判明。その克服方法を知るため、キンジは今も激しい戦いの中に身を投じている。
種類
ヒステリアモードは、状況に応じて様々な派生が存在する。
- ヒステリア・ノルマーレ
通常のヒステリアモード。
- ヒステリア・ベルセ
女性を他の男性に取られた際に覚醒し、女を奪い返すためのヒステリアモード。ノルマーレの1.7倍(およそ50倍)の効果を発揮するが、思考が攻撃一辺倒になり状況把握が正確に行えなくるというデメリットもある。(ワトソン戦ではその為に苦戦を強いられた。)
- ヒステリア・アゴニザンテ
死の危機に瀕した際に発現するヒステリアモード。4巻では金一が、16巻ではキンジが発動させた。ヒステリアモードの力を手にしたシャーロックも発動した。
- ヒステリア・レガルメンテ
ベルセを何度も経験した者が複数の女性を傷つけられた際に発現するヒステリアモードで、通称「王者のHSS」。効果は通常の1.2×傷つけられた女性の数分の累乗倍で、初めて発言した11巻でのジーサード戦では、アリア、白雪、理子、ジャンヌ・かなめの5人が傷付けられたことにより、75倍のヒステリアモードでジーサードと対峙した。
- 夢ヒス
眠っている際に発現するヒステリアモード。外伝作品AAでは、風魔の夢を見たことで発現した。
- ヒステリア・ワイズマン
しばらく性的興奮がしなくなるかわりに体にあまり力が入らなくなり攻撃力が皆無になる。遠山家に伝わる秘中の秘技。「キャストオブテーブル」で発動させた。
- メザヒス
軽度の刺激のため、かかりが甘いヒステリアモード。
- ヒステリア・レヴェリ
直接ではなく妄想による性的興奮で発現するヒステリアモード。ただし、発動時間が数分と短い事や、イメージした女の特性に戦い方が引きずられやすいといった点がある。また、對卒の症状がでる危険性が上がってしまう(これはレヴェリに関わらず長時間のHSSなら起き得ることでもある)。22巻でキンジが初めて発動した。
- ヒステリア・ムンディオ
子孫を残すためではなく、女性を守るためのヒステリアモードで、別名「家長のHSS」。27巻で金一が発動した。
- ヒステリア・マテルノ
女性専用かつ母親が子どもを守るために発動するヒステリアモード。別名「母性のHSS」。34巻で雪花が発動した。
その他のヒステリアモード
発動キーはβエンドルフィンであるため、異性に対する興奮以外でもヒステリアモードになることは可能である。
- 金一の場合
女装してカナになることで性的興奮を引き起こし、ヒステリアモードになる事が出来る。また、そのヒステリアモードを何週間も続けることが可能。ただ、ヒステリアモードが切れた後は何日も眠ったまま起きなかったり、身も心も女になり切ってしまうといった側面もある。
- ジーサードの場合
絵画や音楽などの「芸術」による興奮でβエンドルフィンを分泌させてヒステリアモードになれる他、ロスアラモスが作成した紙のような薬を口内に張り付ける事でもヒステリアモードになる事が出来る。
- 雪花の場合
自身が男性であるという認識をすることで戦闘能力を向上させた。ただし、彼女自身が女性であると自覚したことで一時的に弱体化したが、代わりにヒステリア・マテルノが発現した。
他にも、金一から力を得たブラドは人間を虐待することで、初代遠山金四郎景元は肌を人前に露出することでヒステリアモードになっていたといわれる。