Divi:Sion
でぃびじょん
※パヴァーヌ2章以降〜最終編の展開に関して重大なネタバレを含みます
概要
Divi:Sionとは、ゲーム「ブルーアーカイブ」に登場する不可解な軍隊、あるいは追従者と呼ばれる不気味なデザインのロボットの軍団を指す。
キヴォトスのロボットとは違って、深海魚を連想させる見た目の「無名の守護者」は、無名の司祭と関連がある「廃墟」を根城にしているようだ。
リオによると、「名もなき神々の王女」とアリスの体を操るKeyを指揮官としていているらしい。
電源ボタンや接続ポートがなく、表面に継ぎ目すらないという見た目をしている。
軍隊を構成するロボットには以下の様な種類が存在することも判明している。
- 無名の守護者Type.F
クモに似た脚を持つ4足歩行型のロボット。
サイズは全高1mあるかないかだが、最も数が多い。
戦闘では前衛に立ち敵に紫の光弾を撃つ。
- 無名の守護者Type.M
球体状のボディに不気味な触手のようなものを持つクラゲの様なロボット。
守護者の中で唯一立ち絵がある。立ち絵では分からなかったが、全高4~5メートル程と大きい。
宙に浮きながら紫の光弾を撃つ他、味方を回復するレーザーを撃つヒーラーの役割も持っている。
- 無名の守護者Type.B
6本の足と尻尾を持つ、ハサミを持たない巨大なサソリのようなロボット。
現在登場している守護者の中でも最も巨大かつ頑丈。
頭部から紫の光弾を連射したり、尻尾から強力な光弾を発射する。
ディビジョンとの名称重複
- 「『廃墟』の工場をコントロールするAI『ディビジョン』がデカグラマトンにハッキングされたことで、工場ごとデカグラマトンの預言者『ケセド』を名乗り始めたらしい」と、作中(総力戦ケセド前口上)にて黒服が語る
- 『Divi:Sion Systemへ、ようこそお越しくださいました。』と表示する「廃墟」のコンピューターからG.Bibleと共にモモイのゲーム機に転送された何かによって、画面上に「Divi:Sion」と表示される
これら序盤シナリオの要素から、サービス初期段階では「Divi:Sionはケセドと関係のあるAIあるいは後のシナリオでケセドとなる存在、ひいてはアリス(より正確に表せば初期状態としてのAL-1S)もデカグラマトンと何らかの関連を持った出自の存在なのではないか?」と推測されていた。
しかし、後に調査を行ったヒマリはユーザー側の推測を裏切る形で「両者は無関係」と結論づけている。
実際にその後のシナリオ中で明かされるゲーム機に転送された「何か」の正体は上述のKeyであり、その出自を含めてケセドとの繋がりは描写されていない。
つまり、第一部最終編を経た2023年現在においても、
①ロボット型の兵器(無限の軍隊)を生産していた軍需工場管理AIであり、後にデカグラマトンの預言者ケセドとして活動を始めた「ディビジョン」
②AL-1Sと共に発掘され、後に半ば生物のような見た目の兵器(無名の守護者)を無数に操ったAI「Divi:Sion」
これらほぼ同音・類似能力の存在が別個の概念であるまま作中に並立している状態にある。
創作上の名称としては、通常避けられるであろう(紛らわしい)表記の重複と言える。
グローバル版(英語)においてディビジョンは「Division」表記であり、「きわめて似た表記ではあるがまったく別の名称」としての混乱がより深刻なものとなっている。
パヴァーヌ1章・2章のリリース間隔が一年半以上離れていた(少なからぬ古参ユーザーが1章に含まれる細かな記述を忘れてしまっていた)現実の事情も災いし、2023年現在においてもユーザーコミュニティ内に両者についての誤解・混同が数多く残されている状態にある。
名称重複を説明し得る考察
上述の奇妙な状態を説明すべく、ユーザーコミュニティ側で複数仮説が立てられている。
製造元説
画面に表示された「Divi:Sion」は特定のAIを指す名称ではなく、所属組織を指した名称などであったのかもしれない。
Keyのクラッキングを受けて、エリドゥの管制室で同様の文字が画面に表示されている点は一つの根拠となる。
ケセドの解説文には「廃墟のいたるところに放置された軍需工場の生産自動化システムAI」とも記載されている。
この場合、「組織Divi:Sionの管理する工場の1つが偶然デカグラマトンに乗っ取られ、当該工場の管理AIがケセドを名乗り始めた。その工場は黒服の知る空間でもあった」と考えられる。
あるいはDivi:Sionという語の側が、メーカーロゴなど一般的なアプリケーション起動画面(いわゆるスプラッシュスクリーン)に過ぎなかったのかもしれない。この場合、本編中でいかにも重要そうに表示されていたDivi:Sionの文字は作中において特段注目すべき意味を持たなかった単なる意匠であり、注目すべきはゲーム機に起動画面が表示された要素そのものであった事になる。
廃墟におけるアナウンスがDivi:Sion Systemであった点はどちらの説の根拠としても加味できるだろう。
本当に無関係説
単に名前が似ているだけの無関係のAIが乗っ取られたのかもしれない。
現実の英単語としてのdivisionは、軍隊用語としてなら陸軍師団(≒大軍)を指す。ディビジョンに関してもDivi:Sionに関しても無数の兵器を操るという点では英単語本来の用法を踏襲しており、一般名詞としての英単語から別個に定められた名称であったのかもしれない。
フィクションとしては若干不自然だが、この場合はそれ以上考察に発展の余地も無い。
遠縁説
Keyの出自であるかつてキヴォトスにおいて一定支配力を有していた旧勢力がデカグラマトンの起源とも関わる旧ゲマトリアとの繋がりを持ち、デカグラマトン・ディビジョン(ケセドとなる以前の軍需工場AI)・Keyは遠縁関係にあたる存在であったのかもしれない。
ただし、この場合は最終編へと続く一連の事件において無名の司祭側がディビジョンを現ゲマトリア経由で利用可能な兵器以上に位置付けていない描写が説明困難になる。
設定変更説
シナリオ製作中の設定変更によって生じてしまったやむを得ない齟齬(ボツ要素)であるのかもしれない。
ミレニアムに関する初期構想からの変動
アリスの所属校であるミレニアムに関して、初期構想段階ではそもそもアリスが存在しなかったと思しき原案イラスト(代名詞であるレールガンも生塩ノアの武器であった)が公開されている。件の"ノア"については
- 作中の重要ワード「ウトナピシュティムの本船」は現実において「ノアの方舟」の原型である
- キヴォトスの行政における最重要区画はDistrict of Utonapishtimである
- 名前が判明する遥か以前から起動時ローディング画面にてユウカと並んでおり、ゲーム中の所属もユウカと同格の執行部(セミナー)である
といかにも作中で活躍しそうな周辺要素に反し、実際はメインストーリーの重要シーンにまるで参加せず(上記要素から予想される物語上の役割は概ねアリスが担い)、宙に浮いたような扱いの登場キャラクターとなっている。
パヴァーヌ編1章と2章の実装には間に多くのシナリオ実装を挟んで年単位の開きがあった。アリスらに関する設定が内部で二転三転した可能性も十分に考えられる。
- 現在は否定された考察・余談であるが、サービス開始から長らくシナリオ中でミレニアム生と他校生の共演機会が不自然なほど少ない状態が続き、当初はパヴァーヌ編のみ時系列が異なる可能性すら考察されていた。ミレニアム周りの扱いが開発チーム内で難産にあったと仮定するなら、当初の状況にも一定の説明が付く。
初期構想からの設定変更で本来の出番を失ったらしきキャラクターは他にもゲーム中に登場しており、ブルアカに関しては一般的なゲームよりも没要素がユーザーの前に露出しやすい傾向にある。
シナリオにおけるG.Bible描写の消滅
そもそもゲーム開発部の面々が廃墟で探していたのはDivi:Sionでもアリスでもなく伝説的なゲームの聖書としての「G.Bible」であり、実際にDivi:Sionの回収も当該プログラムのダウンロードに紛れ込む形であった。
しかし、G.Bibleにまつわるストーリーライン(G.BibleとDivi:Sionの根本的な関係、なぜG.Bibleが危険な廃墟に廃棄されていたのか)はパヴァーヌ編2章以降において完全に失われている。
- 仮に後の描写をそのまま整合すると、「現在のキヴォトスを激しく憎悪し、機会さえあればあらゆる平行世界すら滅ぼさんと侵攻を試みる敵性勢力が切り札となり得る兵器の起動キーを神ゲー制作マニュアルに偽装して廃墟の一角に隠していた」というたいへんシュールな説明となってしまう。
上記要素が導く推論として、「(レールガンのみならず)当初ノアに予定されていたより大きな役割がいずれかの時点でアリスへとスライド、当初アリスに予定されていたG.Bible関係のシナリオが玉突き的に押し出され続行不能になってしまった」のかもしれない。
ベータテストからの性能変更
さらに、現実のスマホゲームにおける古参ユーザーにとってのアリスは「ベータテストと正式サービスで性能が大きく変わったキャラクター」としても認知されている。ベータテスト時のアリスはケセドに噛み合うゲーム内性能=貫通属性を与えられていたが、サービス開始後に正式実装されたアリスは全く関係のない攻撃属性・スキルへと変更されていた。
ゲーム内性能の変更も合わせて導かれるより踏み込んだ推測として、当初のシナリオでは「紆余曲折あった末にケセドと化した伝説的なゲームの聖書G.Bible/Divi:Sion」と「モモイのクソゲーによって自我を得、ゲームを愛することで成長した元兵器のアリス」の対照的な両者が対峙するような展開を予定していたのかもしれない。
黒服の間違い説
作中設定レベルで「黒服が間違っていた」のかもしれない。
黒服が語る"裏事情"の数々には、理由は不明ながら(ディビジョンをケセドへと感化した存在であるデカグラマトンの起源も含めて)作中描写と噛み合わない情報も繰り返し含まれている。
最終編に至っては事前の警告が直後に描かれるシーンで実現しない(明確に説明を間違える)ケースすら登場し、キヴォトスにおける重要な要素について理解できていないとも読める不自然な描写となっている。
「キヴォトスの裏事情を掘り下げる黒服の発言は往々にして不完全である」を前提とする場合、ディビジョン(ケセド)の出自に触れた発言についても無批判に真実とは見なせないことになる。
上記仮説の総括として
諸説並んでいるものの、2023年現在Divi:Sion以上にケセド側の出自が不明瞭であり、全ては推測の域を出ない。
いずれにせよ、「現時点では少なくともDivi:Sionがケセドまたはデカグラマトンと協力関係にあると思われるような描写は作品の内外を問わず見られず、酷似した名称についても特に公式の言及は無い」が唯一確実な説明である。