概要
役目は行司の記事を参照。
武士みたいな名前だがそれもそのはずで、初代は江戸時代半ばまでさかのぼる。
以来弟子たち(式守家)の中から三役を裁く行司が立行司になる時襲名されるのが通例…というか義務となっており、現在までに41代続いている。
なおツートップと書いたが実際には木村庄之助の方が格上(つまり伊之助はNo.2)で、これが空位になった場合は伊之助が襲名。そして41代が38代木村庄之助を継いだため、2024年の一月場所からは伊之助は不在になった。
ちなみに両方不在になった場合は先に伊之助を襲名することが定められており、これを経てようやく「木村庄之助」の名を継ぐ事が許される。なのでその期間中は木村が不在になる。
まさかの不祥事
時は2017年、第40代が巡業先の宿泊先で未成年行司にセクハラ(無理矢理キスした)という事件が発生。これにより彼は翌年初場所から3場所の出場停止処分を受け、処分が明けた2018年5月31日付で退職した。
伊之助あれこれ
- 出番
結びの二番(最後から二番目の取組)を裁く。結びの一番は木村が担うが、いない場合はそのまま伊之助の出番。逆に伊之助がいなければ木村が二番とも裁く。
木村と伊之助は短刀を携えているが、これは「もし横綱の大一番で誤審(刺し違え)があったら切腹する」という覚悟のあらわれ。
流石に現代では切腹とはならないものの、理事長に進退を伺うのがしきたり。そのくらい責任重大なのだ。
- 伊之助カラー
メイン画像ではオレンジ色だが、伊之助の軍配の房・装束の菊綴(きくとじ。和装の襟や袖にあるポンポン)は紫白と決められている。
ちなみに木村は紫一色で、三役の行司がオレンジ色。装束の色については特に決まっていない(素材は定められており、夏が麻布、冬が絹)。
- 草履
三役以上の行司たちは草履を履く事が許されるが、これは昭和35(1960)年から。元々は立行司である伊之助と木村(あと三役行司の一部)の特権だった。
- 軍配
初代が使っていた由緒ある逸品で、20代目からは代々受け継がれている(譲り団扇という)。
普段は相撲博物館に収蔵されていて、必要な時にレンタル。
表の漢字6文字は解読不能だが、裏には「いにしへの ことりつかひの おもかけを 今ここに見る 御世そめてたき」と書かれているらしい。