誘導分岐
- 植物の一種。農業用。
- 1.の麻の葉や茎から採れる繊維。
- 花穂の部位から薬理成分カンナビノイドを分泌し、海外では薬として使用される。大麻の項を参照されたし。
- 麻の実。脂肪分を多く含み、煎ると香ばしい。古代中国では五穀の一つとされた。小鳥の餌や七味唐辛子などに入っている。
概要
植物として
狭義ではアサ科アサ属の一年生の草本。中央アジア原産とされる。英語名Cannabis。
広義では同様の扱い方をするジュート、マニラ麻、サイザル麻なども「麻」と呼ばれるが、これらはそもそも科からして違うことに注意されたし。
ジュートはシナノキ科(野菜として有名なモロヘイヤとは近縁)、マニラ麻はバショウ科、サイザル麻はキジカクシ科(園芸植物のリュウゼツランによく似た見た目をしている)である。
きわめて強い生命力を持ち、容易に生息し成長する。通常の高さは2~3m程度であり、条件によってはこれよりもさらに成長する。
茎および花にいわゆる麻薬成分であるテトラヒドロカンナビノールを含み、これを人が摂取すると陶酔様の症状が出る。後述するアサ農家はアサ畑で作業すると陶酔様の症状が出ることを経験的に知っており、「麻酔い」と呼んでいたという。
利用
茎から丈夫な繊維を取ることができる。紡いで糸にし、ロープにしたり布に織ったりする。麻の布は吸湿性が良く、夏向きの服に適した素材であるが、しわが寄りやすく、また処理によっては独特のごわごわとした触感があることがある。
前出の通り悪環境にも強く栽培がきわめて容易であり、荒れ地に適当に種をまくだけで育ってきて収穫できる程とされていたため、貧農が多かった北海道地方や東北地方で特によく栽培されており、これらが野生化もしている。特に北海道では麻生(あさぶ、札幌市)、大麻(おおあさ、江別市)などアサと関係があると考えられる地名が残っている(ただし、これらの地名は当記事で述べている麻ではなく、アマ〔亜麻〕に由来すると考えられるものもある。麻と同様、亜麻も繊維をとる目的で北海道で広く栽培されていた)。
種子はヘンプシード、ヘンプナッツと呼ばれ、食用にすることができる。種子には前出のような麻薬成分はほとんど含まれておらず、独特の香味を楽しむことができる。他のナッツ類同様に脂肪分とタンパク質に富み、栄養価も高い。「麻子仁」(ましにん)という生薬でもあり、効果は穏やかな便秘解消とのことである。漢方薬にそのルーツを持つ七味唐辛子にも「麻の実」(おのみ)として使用されるが、海外では麻薬規制関係の法律との兼ね合いからゴマで代用されることも多い。
また、種子は鳥の餌としてよく利用される。発芽しないよう加熱処理された種子については日本では特に流通規制はなく、通信販売などで容易に購入することができる。
茎及び葉、花を乾燥する等の加工をすることにより、麻薬として利用される。これについての詳細は大麻および薬物、麻薬の項などに譲るが、一つだけ注記するとすれば、麻薬用途と繊維用途は育て方がまったく異なるため、繊維用途と偽って麻薬用途で育てることはほぼ不可能である(そもそも今日においては繊維用途は品種改良により麻薬成分の含有量を下げたものが使われることが殆どである)。
関連タグ
綿:同じく植物から造ることができる繊維。