雌タイタン達の憂鬱
めすたいたんたちのゆううつ
注意!
本記事では「ゴジラxコング:新たなる帝国」のネタバレを含みます。必ず本編を観賞してからの閲覧をお勧めします。
概要
前作で敵対していたゴジラとコングが協力し、地上世界と地下空洞世界の支配を目論むスカーキングと壮絶な死闘を繰り広げられた作品として話題を呼んだゴジラxコング:新たなる帝国(以後、「当作」または「新たなる帝国」)。
意外にも当作ではゴジラやコング、スカーキングの他にもモスラを始めとした雌怪獣(タイタン)が数多く登場しているが、劇中を見てみると、どの雌タイタンも何かと惨い扱いを受けている描写が多く、本編を見たファンの中にはそんな雌怪獣たちの扱いに同情した人も少なくない。
怪獣女王「あなたはまず人の話を聞きなさい。あなたはすぐ殴り返すのやめなさい。あなたは人生考え直しなさい」
海竜姫「ちょっとあなた!この扱いはあんまりじゃなくて!? 私何かしましたか!?」
クモ女「いくらなんでもやりすぎでしょ!!」
(上記の台詞はイメージです)
果たして当作に出てきた雌怪獣たちは一体どのような扱いだったのだろうか…?
「新たなる帝国」に登場する雌怪獣(タイタン)リスト
言わずと知れたタイタンの女王。前々作「キング・オブ・モンスターズにおいてゴジラと共にギドラと戦った事もある。
他の雌タイタン達と比べ、それほど雑な扱いを受けた訳ではないが、地球に脅威をもたらすギドラやスカーキングの横暴を止めようと出向いたり、出会うとすぐに喧嘩ばかりするゴジラやコングの仲裁に入るなど、日頃から問題ばかり起こしているタイタンの王達からいつも手を焼かされている。
数いるタイタンの中でも温厚な彼女ではあるが、内心では結構ストレス溜まっているのかもしれない。
因みにゴジラは以前の20倍ものパワーアップを果たしたにもかかわらず一撃でモスラに制止させられた他、コング相手にあれほどキレていたにもかかわらず、モスラが出てくるとあっさり休戦している事から、ある意味ゴジラにとって唯一頭が上がらない存在とも言える。
日本でも語られていたゴジラキラーはここでも健在だった。
当作においてスカーキングと共にゴジラ・コングと対決するメイン怪獣の一匹。
劇中ではコングの片手に重傷を与えるなど、一見するとかなり危険な存在に見えるが、実際はスカーキングによって無理矢理使役させられているだけで、本来は悪意はない。
イーヴィス族の伝説によると、かなり太古からスカーキングに使役させられている事がわかり、相当な屈辱を味わってきた事は想像に難しくないだろう。
最終的にコングとスーコの手によって、ようやくスカーキングの束縛から解放され、これまでの積年の恨みと言わんばかりにスカーキングを氷漬けにし、コングに叩き潰してもらう形で引導を渡した。
その後はコングとイイ感じな関係を結んでおり、後述の雌タイタン達と比べれば、扱いはまだマシな方かもしれない。
前々作「キング・オブ・モンスターズ」においてギドラに復活させられたタイタンの一体。
今回ではローマにおいてゴジラと戦闘、倒されてしまった。
尚、スキュラはこれ以前にも「ドミニオン」においてゴジラと戦った事がある(詳細は後述)。
同じく「キング・オブ・モンスターズ」においてギドラに復活させられたタイタンの一体(スキュラと違い、映像での登場はこれが初)。及び当作における最大の被害者。
太陽風の影響で莫大なエネルギーを溜め込んでいたため、新たな脅威に備えエネルギーを必要としていたゴジラに目をつけられてしまい、棲家の一部を破壊された挙句、熱線の直撃を受けて無惨にもぶつ切りになってしまった。
当作を観たファンの中には「何も悪い事していないのに可哀そう」と哀れむ声が相次いだ。
因みにティアマットもスキュラと同様、「ドミニオン」でゴジラと一度戦った事がある(詳細は後述)。
補足
上記を見る限り、何とも散々な目に遭っている雌タイタン達ではあるが、ゴジラを仲裁しに来たモスラとスカーキングにこき使われたシーモはまだしも、一方でスキュラとティアマットに至っては「彼女達にも落ち度はあった」 「単なるゴジラへの逆恨みでしかない」という声もある。
特にスキュラに至っては前作「ゴジラVSコング」の前日談であるコミック『ゴジラ・ドミニオン』において、(空腹だったとはいえ)不発弾として沈んでいた核弾頭を食べに現れた際、これが爆発して自然が穢されることを良しとしないゴジラから警告を受けたにもかかわらずそれを無視(その後、結局ゴジラによって成敗された)。しかもこれ以後も懲りずにゴジラに挑戦していたことがあったらしく(その際、下剋上として世界各地の原子力施設を襲撃、大量の核物質を接種してパワーアップを図ったうえ、冷却による海面レベル安定の役割を放棄し、海洋温暖化とオゾン層の破壊を引き起こしてしまっている)、これには流石のゴジラも堪忍袋の緒が切れるのも当然である。
またティアマットに至っても、当作で太陽風のエネルギーを溜め込んでいた理由がスキュラと同様に『ドミニオン』で一度敗れたゴジラにリベンジするための準備だった可能性もあり、もしそれが正しければ、いずれゴジラとの戦いは避けられなかったかもしれない。
実際に他の怪獣や海洋生物を無闇に殺し回るなどの凶暴性を有していた事から、以前よりゴジラから危険視されており、将来的な敵を一石二鳥=片方を倒すついでにもう一方に対処するエネルギー補給という名目で対処に当たった可能性もある。
今一度言うが、ゴジラがタイタンと日々戦っているのは「地球の生態系を守るという王としての務め」を全うしているだけであり、決してギドラやスカーキングの様に縦横無尽に他のタイタンを傷つけたり、殺しまくっているわけではない(実際、当初のスキュラに対しても「ドミニオン」において「以前のように退いてくれればよいが」と大目に見てくれていた)。
とはいえ、「スカーキングとの決戦前に協力を仰ごうと説得に来ただけ」のコングの話をまともに聞こうともせずに喧嘩をおっぱじめるなど、当作においてゴジラに全く落ち度がないとは言い切れず(実際、モスラが仲裁に入らなければ間違いなくコングは殺されていた)、前々作において一度はゴジラに跪いたものの前述のスキュラやティアマット(及び前作でゴジラに負けたコング)達の視線からすれば、ゴジラは「誇り高き王者」というよりは『(スカーキング同様に)自分に従わない相手を容赦なく力でねじ伏せるガキ大将』、もしくは『何かと自分達を厳しく取り締まる野蛮な風紀委員長』みたいなぐらいしか思われていないのかもしれない。
この様な立場は周囲から好かれないという認識があるが、これについては人間社会に限らず怪獣の世界でも同じなのだろうか…?
- ただし、コングの一件に関してはスカーキングとの再戦を前に気が立っていた時に、自分の領域に無闇に踏み入れない限り続く停戦関係にあったはずのコングに領域を侵害された挙句、その領域の王である自分以外に使う権限が無いアルファコールを使用されたため(事実上の宣戦布告)、ゴジラが攻撃を仕掛けるも当然の行為だった。