概要
学名「タイタヌス・スキュラ」。英名は「シラ」。
PVでクモや甲殻類を思わせる六本の脚が確認された怪獣の正体。(日本未発売のKOM小説版では8本。)
一見すると硬い甲殻で覆われた節足動物のようであり形態学的にもカニに近いそうだが、生物学的にはむしろイカなどの頭足類に近いとされており、口には牙の代わりに無数の触手を垂らしており、頭足類共通の「カラストンビ」と呼ばれるクチバシも備わっている模様(ざっくり言うと「カニの脚を生やしたオウムガイ」といったタイタンらしい)。
水中でも活動可能な上、脚の可動域もかなり広いらしく、海中を進む際は姿勢を流線型にして実際のイカのように遊泳移動するとされ、その遊泳スピードはゴジラよりも速い。
食性は腐肉食性。モナークの指定する固有性質は「生体腐食(bio-corrosive)」で、怪獣の死骸を食べるとその栄養分を致死性の水性バクテリアに変換するという厄介な生態をしており、他の怪獣が死んだ場合はスキュラが来る前に解体する必要があるという。それ以外にも『ゴジラ:ドミニオン』での描写を見ると、ゴジラやMUTOと同じく放射性物質も餌としているらしい。
コミック『Godzilla x Kong: The Hunted 』では、原発を破壊したあと口から霧を放出し、再び吸い戻すという方式で放射性物質を摂取していた。
DCコミックとモンスターバースのコラボ漫画『Justice League vs. Godzilla vs. Kong』によればこの霧は有毒で、フラッシュの超高速移動を妨げた。
『ゴジラxコング:新たなる帝国』の冒頭では、口から糸のようなものを噴射する場面があったが、これがどのようなものなのかは不明。
劇中では目立った環境影響能力は見せなかったが、設定によると世界中の海水を冷却して南極の氷が解けるスピードを下げ、海面レベルを安定させていたことから、当初は液体窒素のようなものを身体から分泌する冷凍系の能力を持っているのではないかと推測されていた。
しかし実際の能力は体内と外界の熱比を変換できる「熱交換」であり、しかも核エネルギーを吸収した後は逆に過剰な熱を体外に放散し、環境破壊を引き起こす。
こうした厄介な生態に加え、性格もゴジラに何度も闘いを挑むほど非常に狂暴で好戦的であったことからタイタンでは地球環境に悪影響を与えかねない危険な存在「破壊者」に分類されている。
しかし、ゴジラは「懲りない雌」「退けば良い」と称しており、後に事件を起こすまで排除するべき脅威とは見做していなかった。
また、イースター島の神話との関連性も発見されているほかかの悪名高き邪神クトゥルフの原型と言われており、伝承通りならばかなり高い知性を持っていると思われる。
活躍
キング・オブ・モンスターズ
アメリカ・アリゾナ州の油田奥部でMONARCHに発見され、周囲に第67前哨基地が建設され、監視下に置かれていた。
2019年に復活したキングギドラの咆哮に呼応して覚醒し暴れ回ったが、ゴジラがギドラとの戦いに勝利を収め、王座を奪還すると、ゴジラの下に現れて恭順の意を示した。
その後はエンドロールにて流れる記事でギリシャに拠点を変えるも、人間に追われて湖に姿を消したと報じられている。
ゴジラ:ドミニオン
本作では、空腹のあまりジョージア州・ティビー島沖に不発弾として沈んでいた核弾頭を食べに現れた。
だが、これが爆発して自然が穢されることを良しとしないゴジラと衝突、空腹のあまりゴジラの警告を無視して戦闘になるも、最終的にはその圧倒的な力に敵わず敗走した。なお、これ以前にもゴジラに挑戦していたことがあったらしく、この時はゴジラも「またこの雌が性懲りもなく挑戦してきた」と呆れていた。(同時にゴジラは「以前のように退いてくれればよいが」とも語っており、殺すのは本意でないことがうかがえる。)
Godzilla x Kong: The Hunted
その後も懲りずにゴジラへの下剋上のために世界各地の原子力施設を襲撃、大量の核物質を接種してパワーアップを図る。
さらにスキュラは、冷却による海面レベル安定の役割を放棄し、海洋温暖化とオゾン層の破壊を引き起こすようになる。
ゴジラは騒動を終息させるべく奔走するが、移動速度がゴジラより速いスキュラに追いつくことができない。やがてゴジラはローマでスキュラに追いつき、『ゴジラ×コング』の冒頭へと繋がっていく。
ゴジラxコング:新たなる帝国
赤みを帯びた体色の姿へと変貌しており、物語の冒頭でイタリア・ローマを襲撃。糸塊を吐きつけ、脚で建物や人を踏み潰すなどして暴れていたが、それを察知し出現したゴジラとまたしても激突。
今度こそ勝てると踏んだのか猛然とゴジラに突進するスキュラだったが、同じく突進してきたゴジラからアッパーを食らいそのまま脚を掴まれて投げ飛ばされる。そして再び突進しながら飛び上がって踏みつけてきたゴジラに対し脚を突き立て抵抗するが、ドミニオンでの事件の時には効いたはずの刺突が一切通用しなかった。
そうして完全に抑え込まれ、既に万事休すとなりながらも悪足掻きで口の触手をゴジラの口に絡み付かせて放射熱線発射を阻止しようとしたがこれも通用せず、至近距離で顔面に熱線を浴びせられ、大量の黄色い体液を辺りに撒き散らしながら原形を留めない程に爆散して絶命。
警告を無視した挙げ句に敗北し、情けをかけられてもなお性懲りもなく挑み続けた彼女だったが、最後にはその命をもって怪獣王の力を思い知ることとなった。
余談
- 予告編等での登場当初は日本東宝ゴジラシリーズのクモンガやデストロイア、『髑髏島の巨神』に登場したバンブースパイダーとの関連があるのではと言われていた。
- マイケル・ドハティ曰く「生態系を広げるために追加した怪獣」とのこと。
- 名前の元ネタに当たるギリシャ神話ではテュポーンの娘だとされているが、移転先のギリシャでは同名の怪獣が暴れていたらしく、その関係性が注目されている。
- 実はモスラ、ティアマト、シーモと同じく数少ない雌の怪獣でもある(MUTOのように雄の個体も存在するのかは不明)。
- 監督のアダム・ウィンガードは「スキュラの一件のせいでゴジラは精神的余裕がなくより利己的になっており、何の罪もないタイタンを殺すほどに追い詰められていた」と語っている。スキュラ戦後に映画でゴジラが殺したタイタンはティアマットだけであることを考えると、何の罪もないタイタンとはティアマットのことであると思われ、ティアマットが殺害されたのはスキュラが要因の一つであるらしい。
関連項目
ゲゾラ:先輩イカ怪獣。極端に低い体温により海水を冷却する能力がある。