概要
銃の悪魔が人間の死体に乗り移って魔人化した姿。
顔の上半分は拳銃に変化しており、後頭部からは撃鉄が、左腕からは自動小銃が生えている。
マキマ曰く、銃の悪魔が激戦の果てに逃亡し、真近にいた人間の死体に乗り移って発生。
本来魔人の人格は悪魔のものなのだが、銃の悪魔自体の人格や知性が希薄だった為か、魔人としては例外的にあくまで人間側の意識や人格で行動しているのが特徴。その為に、銃の悪魔がアメリカ大統領と交わした契約も実質無視して行動しており、最早一種の暴走状態と化している。
それ故に厳密には、一概に銃の悪魔が人間を乗っ取ったとも言い難く、むしろ逆に銃の悪魔が人間側の意識に取り込まれている状態とも言える。魔人としてはかなり歪な存在である。
一方で、意識は人間側なのだがその意識は既に変性しており、その人物の幼少期の記憶や願望と悪魔の殺戮衝動が混同した結果、自分や周りの者を全て遊んでいる子供として認識し、本人は遊びのつもりで無邪気に周囲の人間に攻撃を仕掛け、際限なく破壊と殺戮を繰り返す。
能力
顔ないし左手の銃口から強力なエネルギーを発射したり銃撃が行える。
その戦闘力は高く、人間を一撃で消し炭にして家を数件をまとめてなぎ倒しながら攻撃する等、単純な火力だけでなく膂力や突進力なども凄まじい。作中で登場した魔人の中でも間違いなく最強格である。
ただし、他の魔人の例に漏れず銃の悪魔の頃に比べれば戦闘力は下がっている。また、あくまでただの魔人に過ぎないのでデンジら武器人間のような不死身でもない。
作中での活動
誕生後はそのまま早川家を訪れ、上記の通り遊びのつもりで無邪気にデンジらを砲撃。
その正体を察したデンジから意思疎通を試みられるも、一切の会話が通じないまま住宅街とそこに住む多くの住民を巻き込んでしまい、そのまま破壊と殺戮を展開し続ける。
その圧倒的な戦闘力と、デンジ本人の戦意が低かったのもあって、一時はデンジを戦闘不能状態まで追い詰めるが、助けを求める民間人によって蘇生されたデンジと再戦し、最後の最後に変性した意識のままでデンジの悲しみを悟って遊ぶ(戦う)気を無くし、そのまま敗北を受け入れ胴体を貫かれる。
そして、今際の際に自分の望みを思い出して笑みを浮かべながら死亡した。
「そうだった…」
「オレ…キャッチボールがしたいんだった」
正体
この先ネタバレ注意
「ふふふ…」
「早川アキ…」
「お前は最悪の死に方をしただろう」
「チェンソーの少年にとってね」
未来の悪魔が見下ろし嘲笑した銃の魔人の正体……
それは銃の悪魔と支配の悪魔の戦いに巻き込まれ、支配の悪魔に操られて利用され命を落としたアキの成れの果ての姿だった。デンジが戦闘を最後まで躊躇って説得をしようとしたのはこの為である。
かつて未来の悪魔が予言した「最悪の死に方」とは、アキにとっての最悪の死に方ではなく、兄同然の存在をその手にかける事となったデンジにとっての「最悪の死に方」であり、その為にデンジはその後しばらくは何を食べても吐いてしまう程の、大きなトラウマを背負う事となる。
そして、後にアキが銃の魔人になったのは偶然ではなく、ある人物がデンジの心を破壊する為に意図的に仕組んだ事だった事実が明らかになる。そう全ては真の悪魔の差し金であり、その目的の為にアキはおろか、銃の悪魔やそれを差し向けたアメリカすらも利用されていたに過ぎなかったのである。
余談
アキが銃の魔人になるという伏線や銃を思わせる要素は、作中の各所に散りばめられている。
- ジャンプフェスタ2021の作者コメントによると、アキの名前は有名な銃である「AK47」の型番から採られており、最初から銃の魔人になる運命だったことがわかる。この銃は中国が作成した56式自動歩槍がテロリストなどに使用され、世界で一番人を殺した武器とも言われており、恐怖の存在として相応しい銃と言える。
- アキの特徴的な髪型は魔人化した際に撃鉄に変化しており、この髪型も銃の魔人への変化を匂わせる描写であった可能性が高い。
- 単行本4巻の表紙のアキの背後には射撃用の標的が描かれている。
- 未来の悪魔が提示した「アキの最高の死に方を見る為にアキの右目に住む」という契約条件は、アキ自身の死に様は描写されていないため一見矛盾しているが、実際に見たかったのは「銃の魔人と化したアキを手にかける時のデンジの姿」であったため、契約条件と矛盾していない。つまり、この契約内容自体が未来の悪魔がアキの銃の魔人化した先の未来まで見ていたことの伏線になっている。
『モンスターストライク』とのコラボで登場した「公安対魔特異4課 早川アキ」は「マーキングミサイル」という銃弾を飛ばす友情コンボが搭載されている。