概要
中国北方工業公司(ノリンコ社)が製造を担当し、現在までに1,000万~1,500万挺が製造されたといわれている。
当初はクローンモデルだったが、中ソ対立によるソ連との関係が悪化して以降は他のソ連製の兵器の例に漏れずデッドコピーとして製造されており、ロシアとの関係が改善しAK-47の生産元が民営化されて以降も中国の独自開発と主張してライセンス料の支払いをノリンコ側は拒否している。
中華人民解放軍全体で使用された他、様々な国の軍隊や武装勢力に供与された。
世界中に出回るAKのほとんどがこの56式であった。
特徴
折り畳み式のスパイク型銃剣を標準装備している(輸出型は無い)のと、フロントサイト上部がリング状のガードで覆われている点がオリジナルと異なる。
銃剣をスパイク型としたのは分厚い防寒具でも貫通しやすくするためで、リングガードはフロントサイトを茂みなどで引っかけないためである。
オリジナルよりも使いやすいとの評価もある一方、製造工場によって設計に差異があり、部品に互換性が無いなど統一性に欠ける。時代が進むにつれ、レシーバーがプレス加工になり、フォアエンドやストックがプラスチックになるなど改良が進むが、内部構造は「56式」のまま変わらなかった。
サイドスイング式フォールディングストックモデルや短銃身モデルなど独自のバリエーションも多数存在する。
実戦投入
中国から北ベトナム軍などの共産主義的な政権や武装組織への援助が行われた場合、必ずといって良いほど56式とそのバリエーションが供与された。
またアフガニスタン紛争ではソ連との関係が冷え込み、西側との関係改善を行っていた時期でも有った事からM16の中国製デッドコピーであるCQ311と共に相当数の56式がムジャヒディンの手に渡りソ連兵の命を奪ったものと見られている。
現在はそこからさらに第三国の軍事政権やゲリラ、民兵、テロリストへと流れ、大きな社会問題にもなっている。(直接武器供与の無い国にまで出回っている)
そのせいか、現地だとアメリカの安物のピストル以下の値段で売買されていることもある。
また、マスコミ等でAK47と紹介されているのはだいたいこの56式かAKMである。
評判
「人によっては単発で数十発撃っただけで照準が定まらなくなる、バヨネットのせいで重く数あるAKのコピーの中では駄作の部類に入る」という意見もあれば「150m以内では普通に当たってちゃんと使える」という意見も存在する。
忘れないでほしいがあの無敵のAK伝説を作り上げたのはオリジナルではなくこの56式や他のコピー品たちである。(それだけ元も優れているということだが。)
余談
近年はロシア側のライセンス管理が厳しくなったことで違法コピーが問題視されたが、中国側は独自の設計だとして押し通している。
実際相違点は多いが、意図的に設計を改変している可能性もある(もっとも、同様の例はポーランドやブルガリアなどでも見られる)
変わったところでは、フィンランドが予備役用に相当数を輸入・配備している。(フィンランドは正式採用しているライフルの前身がAKのコピーだったため、安くて操作性が同じという点が強かったのだろう。)