魔男のイチ
まだんのいち
物語
その世界での魔法は「知性ある生き物」と定義され、魔法が示す困難な試練を克服できた人間は魔法を習得できた。魔法を会得した者は別の魔法を狩る者となり、社会的にも役職として成り立ち、人々は敬意を込めて彼女たちを「魔女」と呼んだ。
ある時、辺境の山で深淵の魔女・デスカラスは長年にわたって災害を振り撒いてきた危険な魔法「王の魔法(キング・ウロロ)」に戦いを挑んだが、苦戦を強いられ追い詰められてしまう。するとそこに、場違いな乱入者が現れて状況が一変してしまう。
その者の名はイチ。その山で幼い頃から生きてきた狩人の少年だった。イチはデスカラスが手こずったウロコを倒してしまい、その直後にイチの姿は魔女のような姿に変身してしまう。
ここで余談だが、魔法は魔力を持っている女性が習得できるものとされ、可能性は極めて低いが奇跡でも起こらない限り、男の魔法の習得は絶対不可能というのがこの世界の常識であった。
ところが、イチは男にもかかわらず魔法を習得・会得してしまったことで世界の常識が覆ってしまった。史上初の「魔男(まだん)」の誕生である。
登場人物
山奥に暮らす猟師の少年。独特の価値観を抱いて生きている。王の魔法を仕留めたことにより世界で唯一魔法の使える男となった。
別名「深淵の魔女」。褐色肌の女性。王の魔法を追ってとある山奥にやって来た。王の魔法が「女では殺すことのできない」存在だったため追い詰められるも、通りすがりのイチが王の魔法を殺したことで面子に傷が付いてしまう。
別名「黄金の魔女」。デスカラスの上司にあたるようで、彼女に鏡を通して指示を送る。
- 王の魔法(キング・ウロロ)
今まですべての魔女を返り討ちにしてきた魔法。通称「ウロロ」。大地を荒らす強力な力を持ち、女性に殺せないという特性を持つ。そのため男性のイチに殺され、「イチの魔法」となる。現在は弱体化してイチに憑りついている。
別名「追求の魔女」。魔女研(魔女及び魔法研究学部)の統括責任者。珍しい研究対象に対してはタガが外れてしまう性格。
魔女研所属の魔女候補生。師匠であるシラベドンナに振り回される不憫な人。