概要
著者：川口士 イラスト:よし☆ヲ
既刊は7巻。アニメ化が発表されている。
柳井伸彦による漫画版が月刊コミックフラッパー2011年11月号より連載されている。
こちらは既刊3巻。
ストーリー
竜より与えられし武具を振るい、戦場を駆ける美しき少女たち――“戦姫”。王の下、７人の戦姫は７つの領地を治め、“ジスタートの七戦姫”として隣国に恐れられていた。ブリューヌ王国の小貴族の少年ティグルは、ある時かりだされた戦で、一人の戦姫と出会う。白銀の髪に紅の瞳、幻想的な美しさと他を圧する威容をあわせもつ少女、“銀閃の風姫”エレン。敵の総大将であるエレンを討ちとろうとするティグルだったが、彼女の人間離れした剣技の前に失敗してしまう。しかし、弓の腕に一目惚れしたというエレンに、「きみは、わたしの捕虜（もの）だ」と宣言されてしまい……!?
主な登場人物
ブリューヌ王国
ティグルヴルムド=ヴォルン
本作の主人公。ブリューヌ王国北部の辺境・アルサスを治める伯爵。16歳。くすんだ赤い色の髪を持つ。その名は先祖からいただいたものだが「ブリューヌ人にしては長い（エレン談）」こともあり、周囲には「ティグル」という名で呼ばせることが多い。
高い視力とずば抜けた弓矢の腕を持つ。その腕は一般的に最大射程が約250メートルと言われている弓で300メートル先の目標を正確に射抜くほど。
ティッタ
ティグル付きの侍女。15歳。ツインテールにまとめた栗色の髪が特徴。ティグルの幼馴染であり妹のような存在。
元々は巫女の娘として生まれ、彼女自身も巫女となるための修行をしていたが、領主の屋敷で働いていた伯母のところに行くことを好んだのがきっかけでティグルと親しくなる。11歳の時に侍女となる意志を母に伝え反対にあうも、ティグルの口添えにより希望を叶えた。現在ティグルの屋敷に常に勤めている侍女は彼女のみで、彼の身辺の世話を一手に担う。
バートラン
ティグルの側仕えの老人。アルサスの領主がティグルの父ウルスである時からヴォルン家に仕えており、従軍経験は豊富。ティグルのことは生まれた時から知っており、息子に対するような愛情を持って接している.
ティグルが戦いに身を投じてからも、ティッタ同様ティグルに付いていき彼のサポートを行なっている。
マスハス＝ローダント
ブリューヌ北部のオード地方を領地とする伯爵で、灰色の髭を生やしたずんぐりとした体躯の初老の男性。55歳。ティグルの父ウルスの親友にしてティグルの恩人であり、後見人と言える存在。
年齢を重ねている貴族だけあって、貫禄のある振る舞いと豊富な知識で若いティグルを支える。また他の貴族や王宮の人間等に顔が利き、宰相のボードワンとも親交がある。
ジェラール＝オージェ
オージェ子爵の息子で、くせのある褐色の髪と父同様の青銅色の瞳を持つ二十代半ばの青年。父と共にティグルの軍に加わる。
皮肉屋かつ、楽観的なものの見方をしないリアリスト的な性格で、父であるオージェが認める存在であるティグルに対してものっけからは信用せず、彼に厳しい意見をぶつけてその人となりを計っていた。
ジスタート王国
エレオノーラ=ヴィルターリア
本作のヒロイン。ブリューヌと山一つ隔てた隣国・ジスタート王国が誇る七戦姫の一人。ティグルが治めるアルサスと隣接するライトメリッツ公国の主。16歳。銀の髪と赤い瞳を持つ。親しい者には「エレン」と呼ばせている。
風を操る大剣・アリファールを持ち、常に先陣を切るその姿から『銀閃の風姫（シルヴフラウ）』『剣の舞姫（メルティス）』などの二つ名を持つ。アリファールの力に頼らずとも、自分を狙ってきた矢を剣で叩き落すなどその技術も高い。また、ディナントの戦いでは寡兵をもって敵の後衛に夜襲を仕掛けるなど、大胆かつ的確な戦術指揮能力も持つ。反面、単騎で突撃する傾向も少なからず見られる。
リュドミラ=ルリエ
ジスタートの七戦姫の一人。ライトメリッツの南にあるオルミュッツ公国を治める。16歳。青い髪をショートヘアにまとめている。愛称はミラ。
氷を操る槍・ラヴィアスを振るうため、『凍漣の雪姫（ミーチェリア）』という二つ名を持つ。
真面目かつ聡明であり、戦姫としての誇りも高い。施政者としても軍の指揮者としても確かな実力の持ち主だが、それゆえに高慢であり、劣る者を見下す傾向もある。
ジャムを入れた紅茶（チャイ）が好物で、それを自分で淹れるのが趣味。
ソフィーヤ=オベルタス
ジスタートの七戦姫の一人。年齢は20歳前後。緑柱石色の瞳、緩やかなウェーブを描く淡い金髪の美女。長身で起伏に富んだ抜群のスタイルの持ち主でもある。愛称はソフィー。『光華の耀姫(ブレスヴェート)』という二つ名を持つ。
いかにも深窓の姫君といった評価がぴったりの、おっとりとして穏やかな性格。だが一方で怒らせると冗談ではすまないらしく、エレンとリュドミラの喧嘩もあっさりと収めてしまう。
竜を愛でるのが好きで、エレンの飼っているルーニエが特にお気に入り。それ故にエレンとは友好的な関係を築いている。
アレクサンドラ=アルシャーヴィン
ジスタートの七戦姫の一人。エレンが戦姫に選ばれた際に、必要なことを教えてくれた人物。病に冒されているが、それでもエレンが剣の勝負で勝てたのは一度だけだという。『煌炎の朧姫（ファルプラム）』という二つ名を持つ。
愛称はサーシャ。
病に冒される以前は、現在の戦姫の中でも異例とも強さを誇っていた。
エリザヴェータ=フォミナ
ジスタートの七戦姫の一人。金色の右目と碧色の左目を持つ『異彩虹瞳』と呼ばれる少女。17歳。『雷渦の閃姫（イースグリーフ）』という二つ名を持つ。
七年前に当時傭兵団の下働きだったエレンと出会っており、互いに戦姫になった際に再会したがエレンはそのことに気付いていない。
一年前に起きた疫病と貴族の着服問題でエレンとは確執があり、彼女からの評価は低い。
ヴァレンティナ=グリンカ＝エステス
ジスタートの七戦姫の一人。年齢は20歳前後、青みがかった長い黒髪の儚い雰囲気を持った女性。『虚影の幻姫（ツェルヴィーデ）』という二つ名を持つ。
ジスタート王家の傍系の貴族の出身。アスヴァールのかつての女王であったゼフィーリアのような女王となることを目標としている。
大鎌・メザンティスは一瞬でどこへでも移動できる能力を持ち、遠くへ行くほど体力を使うとされるが実際には『銀の流星軍』の砦へと潜入したりと周囲には偽っている。
オルガ=タム
ジスタートの七戦姫の一人。年齢は14歳。薄紅色の髪と艶のない黒真珠のような瞳が特徴的な少女。『羅轟の月姫（バルディッシュ）』という二つ名を持つ。
元々はジスタートの東部に位置するブレストの東端の草原に住む騎馬の民の長の孫娘。12歳の時に『崩呪の弦武』戦斧・ムマによって戦姫に選ばれブレストの地を統治する事になったが、自分の住んでいた草原とジスタ－トの国としての大きさの違いを思い知らされ自信を喪失。置手紙を残しムマと共に2年近く放浪の旅をしている。
リムアリーシャ
エレンの股肱の臣。長い金髪をサイドテールにまとめている。エレンとは彼女が戦姫となる以前からの付き合いであることが示唆されている。愛称は「リム」。
ディナントの戦いでティグルに馬を討たれた二人のうちの一人。当初はエレンがティグルを捕虜としたこと自体が気に入らず、彼に厳しい目を向けていたが（エレンに彼を殺すよう進言したことも）、テナルディエ軍撃退後の奮闘振りを見て考えを改めていく。
ルーリック
エレンに仕える騎士。秀麗な顔立ちの優男で、年齢は21歳。ライトメリッツ一の弓の使い手であり、270アルシンまで矢を飛ばした記録を持つ。
ティグルがエレンの捕虜となり、弓の技量を披露することになった際、圧倒的な技量の差を見せ付けられる。その弓技に感服した事と、ティグルを貶めようとした罰で死刑になるところをティグルからの口添えによって救われた事で、以降は彼に完全に心酔するようになる。また、それまでは肩まで伸ばしていた艶のある黒髪を、この件のけじめとして完全に剃り落とし、以降は見事なまでの禿頭がトレードマークとなる。
