概要
「寒天」の原料は、海藻である紅藻類、特にテングサ、オゴノリの粘液質を凍結して乾燥させたものである。
現在では世界各地から色々な海藻が輸入され、様々な物性の「寒天」が作られている。食用のゼリー材料という点では、牛や豚から作られる「ゼラチン」に似ているが、化学的には全く異なる物質である。
「寒天」の種類には、粉末状の「粉末寒天」、粉末寒天を打錠した固形状の「固形寒天」、高級和菓子用として使用されることの多いフレーク状の「フレーク寒天」がある。
寒天
天然多糖類の「寒天」は、熱水により抽出することができ、加熱すると溶解し、冷やすことで凝固してゲル化する。このゲルは、再度熱を加えることで液体に戻るという熱可逆性を持っている。また1Lの水を固めるために必要な寒天はわずか10gと、非常に凝固力が高いことも「寒天」の特徴である。
歴史
江戸時代、京都の旅館「美濃屋」の主人美濃屋太郎左衛門が「トコロテン」を戸外に出しておいたところ、冬の寒さで凍結し、日中は融けて、日を経て自然乾燥状態の乾物となっていた。これで作ったところ、前よりも美しく海藻臭さが無いものができた為、太郎左衛門のひらめきによって現在の寒天の製法の原案が編み出された。名前の由来は、寒晒心太(かんざらしところてん)の意味を込めて、「寒天(かんてん)」と命名された。
そして、和菓子の原料として年々改良され発展していったのである。