概要
赤十字とは、基本原則として「人道」「公平」「中立」「独立」「奉仕」「単一」「世界性」を掲げ、ジュネーブ四条約とその追加議定書に代表される国際人道法に従う世界規模の非営利団体・非政府組織である。
国際赤十字運動とは、スイス人実業家アンリ・デュナンによって提唱・創始された国際人道運動である。
国際赤十字運動を担う主な機関としては、赤十字国際委員会(ICRC)、各国赤十字・赤新月社、国際赤十字・赤新月社連盟がある。
その主な任務は、戦時内戦の際に中立機関として戦闘員・非戦闘員の区別無く救護活動にあたること、災害時において傷病者や避難民の救護支援活動を行うこと、平時における災害対策・医療事業・社会福祉・青少年育成などの業務を行うことなどである。
赤十字マークについて
赤十字のマークは、創設者であるアンリ・デュナンの母国スイスの国旗を紅白反転させたものが基になっている。
赤十字以外の赤十字に準じるマーク
十字はキリスト教を由来とするため、非キリスト教国では使いにくい。そのため、赤十字に準じたいくつかのマークが考案された。
これらも、後述する国際法上の扱いを受ける。
- 赤水晶…赤いひし形。後述のような宗教色を排除したマークとして考案された。中心が白抜きされており、任意のマークを入れることが可能。
- 赤新月(赤三日月)…赤い三日月。主にイスラム教国で使用
- 赤盾…赤いダビデの星。イスラエルで使用
- 赤獅子太陽…赤いライオンと太陽。王政イランで使われていたが、イラン革命後は使用されていない。
赤十字マークの扱いについて
赤十字マークは、戦争や紛争の際、医療施設や救護要員を攻撃から守るために表示する記号、「保護の標章」であり、また、中立機関である赤十字社の存在を示す「表示の標章」である。単に、病院や医療行為そのものを表す記号ではない。
ジュネーブ条約締結国は「赤十字社は一国一社の原則」に従う必要があり、そのため日本国内では「赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律」が整備されている。
日本赤十字社以外の個人・法人が「赤十字」「赤新月」「赤獅子太陽」「レッドクリスタル」などの赤十字標章を使用する事は出来ない。
これに違反すると、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。
だが、実際には利用規程についての説明が違反者になされるだけで、罰則が適用された事は無いらしい。
単にイラスト内に医療行為や病院を表すものとしてうっかり描かないよう注意されたい。
どうしても使用したい場合は十字部分は赤系、背景は白系を避けた配色をする事が望ましい。
なお、国際赤十字運動を表すイラストや衛生兵などに赤十字マークをつけることは、その意義としては正しい。
その他
国際的に、日本赤十字社のように数多くの病院を運営している赤十字社は珍しいらしい。これは、常時多くの医師・看護師らを抱えているということでもあり、そのため災害救助には特別強い体制を持つ赤十字社のひとつである。
関連イラスト
関連タグ
関連リンク
赤十字マークの意味と約束事(PDF:2.3MB)
http://www.jrc.or.jp/vcms_lf/redcross080924-1.pdf
赤十字マーク誤用しないで 「法律違反」と日赤
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008050201000559.html
赤十字の基本原則 (ジャン・ピクテ著 井上忠男訳 2006年 東信堂)