ピクシブ百科事典は2023年6月13日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

目次 [非表示]

Gaius Julius Caesar

紀元前100年生 - 紀元前44年3月15日没 (56歳)


共和政ローマ期の軍人・政治家

カリスマ性、世界史への影響力、モテ度、そして借金額と色々な意味でリアルチートである。 英語名はシーザー

文才にも優れ、『ガリア戦記』等を著す。

その名は後世のヨーロッパ世界の皇帝の称号の語源となった。

英語でシーザー、フランス語でセザール、ドイツ語でカイザー、イタリア語でチェーザレ、ロシア語でツァーリ。


マルクス・リキニウス・クラッスス及びグナエウス・ポンペイウスとの第一回三頭政治と内乱を経て、ルキウス・コルネリウス・スッラに次ぐ終身独裁官(ディクタトル)となり、後の帝政の基礎を築いた。


生涯

ローマ有数の名門ユリウス氏族に連なる貴族カエサル家に生まれる。若い頃は、良家のお坊ちゃんとして属州を放浪し、戦争を見物したり現地の王様と仲良くなったりと、気ままな生活を送った。


まあ気まま、とは書いたが、当時はゴリッゴリの元老院派スッラが政権を握り、叔母が政敵トップの妻だったり、自分の奥さんがそもそも政敵要人の一人娘だったせいで粛清されかけたので、亡命していたのだが。しかも一兵卒として戦争に参加した上、英雄的行動で勲章までもらっている。


スッラの死後、帰国したものの2度続けて敗訴したためローマからまた逃亡。女性との派手な交際で莫大な借金を作る。このころから破天荒な人格であったようで、賊に誘拐された際に提示された自分の身代金に対して「安すぎるぞ!」と激怒したという自己顕示欲旺盛な逸話も残っている。(なお、開放後、兵を雇って打ち倒してその海賊は磔刑に処した。人質時に冗談で磔刑を宣言していたが、当の海賊は本気にしていなかったという・・・)


政治の表舞台に出たのは遅く、40歳頃。ガリア遠征など数多くの戦いで勝利をおさめ卓越した政治力でローマの民衆の支持を得た。


政治活動に惜しげもなくお金を費やしたために彼の借金はさらに膨れ上がり、当時のローマの国家予算の1割を占めるほどになった。ここまで来ると借金があまりに大きいため貸し手との力関係が逆転してしまい、カエサルは「この借金を返すには俺が出世するしかない」と主張。


困り果てた債権者は当時のローマきっての資産家クラッススにカエサルの保証人となることを依頼。この縁でカエサルはクラッススと親交を深め、ローマのもう一人の有力者クラッススとポンペイウスの関係を仲介。クラッスス、ポンペイウス、カエサルの3人でローマを支配する(三頭政治)。


クラッススの死後、ポンペイウスとの間で勃発したローマ内戦にも勝利し、エジプトから帰還したカエサルは終身独裁官に就任し、圧倒的な権力を手に入れローマの改革を推し進め、そのことごとくが成功。


共和制維持を危ぶんだブルータス(ブルトゥス)ら元老院派によって暗殺。寵愛していたブルータスが暗殺に加わっているのを見て「ブルータス、お前もか」(または『息子よ、お前もか』)と叫んだという。

なお、ややこしいことにブルータスという名前の人物は複数名おり、彼のいうブルータスはガリア戦争で共に従軍して活躍し、遺言状にはアウグストゥスに次ぐ後継者かつ後見人として記載されるほど重用され、暗殺現場の元老院まで同行しておきながら暗殺に加担したデキムス・ブルータスを指すという話もある。そもそもブルータスと発言したかどうかは不明だが、例えそうでなくとも、そしてどっちのブルータスを指していても、十分意味が通じてしまうのが悲哀である。(なお、後者のブルータスは、暗殺後に判明したその事実に愕然として茫然自失したという。そらそうだ)

彼の養子のオクタウィアヌスアウグストゥス)による帝政ローマへの道を築いた人物であり、「賽は投げられた」(Alea jacta est)、「来た、見た、勝った」(Veni, vidi, vici)などの格言を残した。


こぼれ話


借金王

世界史上、個人としては空前絶後の借金王である。その規模はまさに国家予算級。お洒落に、友人との遊びに、兵や市民への施しに、女性への贈り物にと惜しげもなく金を使い、その負債は若い頃から大軍を養えるレベルにまで達していたと言われる。


政界に入ってからは、人気取りのためのイベント運営や公共事業のために、借金が天文学級に膨れ上がった。属州総督の役職に就いた時は、債権回収を期待した借金取りが家に押し寄せ、身動きができなくなったりしている。


また、これだけ借金ができたのは、カエサルが破産すると債権の回収が不可能となり、ローマ経済が混乱するほどに負債が膨れ上がっていたため、金の貸し手も怯みカエサルのゆすりに屈するという逆転現象が起きていた。


そもそも決して軍事や政治に長けているとは言えないクラッススが三頭政治に加われたのも、カエサルの莫大な借金を担保してくれるほどのスーパー億万長者(一説にはローマの資産の半分を有していたとも)であったというところが大きい。


莫大な私財を惜しげもなくバラまいたため、民衆にも大変に人気があったようだ。ただし原資は借金。出世払いで帳消しになったので結果オーライ。


ハゲの女たらし

元老院議員として政治家キャリアをスタートさせた頃のカエサル評は「借金王」や「ハゲの女たらし」と散々なものであった。

批判者どころか部下から凱旋時に「妻を隠せ!薬缶頭(ハゲ)の女たらしのお通りだ!」と呼ばれる有様である。

むろん、兵士から馬鹿にされていたとかそういうわけではなく、あくまで凱旋式における伝統芸。他の将軍もいろいろ言われている。

とはいえカエサル自身はその口上はあんまりだと嘆いたらしいが、部下からはスルーされたとのこと。『また髪の話してる』


「ハゲ」編

政敵からはよくハゲ頭を攻撃の的にされていた。がっちりとした精悍な男だったが、当時のイケメンの基準である「長身の優男」ではなかったので、いろいろ苦労していたらしい。

ハゲを誤魔化すために髪を短くしており、その髪型はシーザーカットと呼ばれ、現代でもヨーロッパ人男性の典型的な髪型として残っている。

戦勝の業績により月桂冠をどこでも被っていて良いとされたときにはハゲが目立たなくなるためいたく喜んだとか。



「女たらし」編

古今の英雄の例に漏れず、カエサルもとても女好きだったようである。

一説には当時の元老院議員の3分の1が妻を寝取られたと言われている。

ある時などは政敵が汚職疑惑を追及中にカエサルの元へとどけられた手紙をカエサル本人が止めるのも聞かずに「これは汚職の証拠に違いない!」と読み上げた結果、その政敵の姉がカエサルに贈ったラブレターだった為に議会場の大爆笑の中「この女たらし!」と悔し紛れに罵倒するしかなくなり疑惑も解消されたと言うもはやギャグとしか思えない事をやっている。

・・・と一見すると笑い話だが、この”汚職”というのは貧民救済をお題目に『全市民の借金帳消し』を掲げた”カティリナの陰謀”という、汚職どころか数千名のローマ市民軍による武装蜂起にまで発展したクーデター未遂であり、既に借金王として有名だったカエサルも危うく政治生命どころか一味として極刑に処されかねない大疑惑である。英雄色を好むというが、色を好んだせいで命を拾う英雄もなかなかいない。

ジェームズ・ボンドもビックリである。カエサルはローマ的なイケメンではないが中身の魅力で女を落としているのであろう。人間やっぱり中身が大事。

中でも一番の有名な女性はエジプト女王クレオパトラであろう。が、カエサルはアントニウスのような愚行は起こさず、自身の利益にならないこと以外は個人的な関係に終始した。遺書にクレオパトラとの間にできた子が全く言及されず、彼女を落胆させたことがその象徴的な例である。

法律上の正妻も最後まで決して無下に扱わず、政敵ですら触れていない辺り、恐らく(女性本人の)恨みすらも買ってない、稀に見る女たらしである。


ローマ軍団の指揮官として

カエサルは軍事面でも卓越した才能を持っていた。

ただハンニバルやナポレオンのように天才的な戦術思想を持っていたわけではなく、ローマ軍団の強みを生かし、また現地の状況に応じて臨機応変に対応することに長ける、いわゆる戦略に特化したタイプ。

特にガリア戦争においては、軍事のみならず諸部族との折衝も重要な要素であったため、政治能力にたけたカエサルはここを最大限に活用することで何度も窮地を脱している。

その為、同じく戦略に長けたウェルキンゲトリクスはカエサルにとって最大の敵であった。


文筆家として

彼が著した『ガリア戦記』は、古代ラテン語散文として最高峰と位置付けられるほどの名著である。なにせ不倶戴天の政敵であった大弁論家キケロですら絶賛しているのだから。

記述も独特で、まるで第三者が報告しているかのように『カエサル』や三人称といった引用句を多用しているため、回顧録とは違う文字通りの『戦記物』として読み応えがある作品になっている。

選挙に向けたプロパガンダも兼ねているので多少色が入っていることも否めないが、同時代のローマ人に向けている=極端な脚色は従軍者等で速攻でバレるので、比較的公平な描写も特徴。

またガリア人やゲルマン人に対して、野蛮な部族という描写に終始せず、反乱理由に対しての正当性を語り、章の大半を割いてまで文化や風俗について詳細するなど、学術的な意味でも史料価値が非常に高い一品となっている。

むろん、かの”女たらし”もこの文学的才能をもって多くの女性を虜にしたに違いないだろう、会議中に恋文やりとりするぐらいだし。

惜しむらしくは、彼の後継者たるアウグストゥスが神格化した際、『神として相応しくない』とガリア戦記や内乱記といったもの以外の作品を破棄させてしまったため、そういった恋文などは殆ど残っていない。


関連タグ

歴代ローマ皇帝 カエサル アウグストゥス/オクタウィアヌス

古代ローマ ローマ帝国 独裁官

ガリア戦記

歴史 イタリア ローマ クレオパトラ ブルータス

表記揺れ等

ユリウス・カエサル ジュリアス・シーザー英語読み)


カエサル(GuP):『ガールズ&パンツァー』の登場人物・鈴木貴子

ガイウス・ユリウス・カエサル(ノブナガ・ザ・フール):『ノブナガ・ザ・フール』の登場人物。

ガイウス・ユリウス・カエサル(Fate)オンラインゲームFate/GrandOrder』に登場するサーヴァント

カエサル(ラヴヘブン)乙女ゲームラヴヘブン』に登場する偉人

シーザーレジェンドガンダムSDガンダムワールドヒーローズの登場人物。英語読みの「シーザー」で読んでいるが、モデル自体は同一人物なので記載。

関連記事

親記事

古代ローマ こだいろーま

子記事

兄弟記事

pixivに投稿されたイラスト pixivでイラストを見る

pixivに投稿された小説 pixivで小説を見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 106809

コメント

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました