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デアリングタクト

でありんぐたくと

2017年生まれの日本の競走馬。牝馬。主な勝ち鞍は2020年の牝馬三冠(桜花賞・優駿牝馬(オークス)・秋華賞)で、日本競馬史上初となる無敗での牝馬三冠を達成した。
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夢はきっと叶う

誰がここまでの活躍を予想しただろうか。

桜花賞。オークス。秋華賞。

大きな夢をひたむきな走りで実現させる。

夢はきっと叶う。彼女がそれを教えてくれた。


JRAヒーロー列伝No.86「デアリングタクト」より


曖昧さ回避

本馬をモチーフとしたウマ娘プリティーダービーに登場するウマ娘。→デアリングタクト(ウマ娘)


プロフィール

生年月日2017年4月15日
性別
欧字表記Daring Tact
香港表記謀勇兼備
毛色青鹿毛
エピファネイア
デアリングバード
母の父キングカメハメハ
5代内のインブリードサンデーサイレンス4×3 / Hail to Reason5×5 / Northern Dancer5×5
競走成績11戦5勝
産地北海道日高町
生産牧場長谷川牧場
管理調教師杉山晴紀
馬主(株)ノルマンディーサラブレッドレーシング
主な勝鞍2020年牝馬三冠(桜花賞優駿牝馬オークス)・秋華賞
主な表彰2020年JRA賞最優秀3歳牝馬

2017年4月15日生まれ(20世代)。

父は菊花賞ジャパンカップを制したエピファネイア

母母のデアリングハートGⅢを3勝しており、2005年桜花賞は3着。このレースはエピファネイアの母シーザリオが2着になっており、奇しくも両祖母が同じレースに出走していた。

母父のキングカメハメハは2004年のNHKマイルカップ東京優駿日本ダービー)を制した史上初の変則二冠馬。種牡馬としても数々のGⅠホースを輩出し、2010年・11年と2年連続でリーディングサイアーに輝いた名馬である。


そんな馬達を祖に持つ彼女が良血馬なのは確かだが、母のデアリングバードは未勝利馬。繁殖牝馬として日高の小さな牧場・長谷川牧場にセリで落札された後デアリングタクトもそこで産まれた。

小柄である為か当歳のセレクトセールは買い手がつかず主取。翌1歳に1200万円で落札されるも、セレクトセールの牝馬の平均落札価格(3000万円)に比べれば安価であった。

馬主はノルマンディーサラブレッドレーシング。創設から10年にも満たない比較的新しいクラブであるが、母体の岡田スタッドはスマートファルコンなどといった名馬を輩出している名門牧場で、代表はあのマイネル軍団総帥こと岡田繁幸氏の実弟でもある。


馬名は父と母の名前から連想したもので、「大胆な+Tactics(戦法)」の意。


現役時代

2歳(2019年)

過酷な環境で知られる岡田スタッドえりも分場での昼夜放牧、ノルマンディーファームでの騎乗訓練を経て、当時37歳の若手調教師・杉山晴紀率いる杉山晴紀厩舎に入厩。杉山調教師曰く、デアリングタクトは「手がかからない優等生タイプ」で、素直な性格だったという。


ゲート試験を一発合格すると、11月16日に開催された京都競馬場での新馬戦(芝1600m内回り)で鞍上に松山弘平を迎えてデビュー。松山騎手も29歳と騎手の中では比較的若手だが、2018年~2020年にかけて東西の騎手で上位10位以内に入るトップジョッキーである。以降も彼がデアリングタクトの手綱を握ることとなる。

レースでは最後の直線で前の馬達に塞がれるも、外に出ると残り200m前後で一気にスパートを掛けて1.5馬身差で勝利。


3歳(2020年)

2月のリステッド競走・エルフィンSに出走。十年以上前はウオッカやアグネスフローラといった名馬を輩出したレースであった。そのようなレースで、デアリングタクトは最後の直線に入って後方から三番手と先頭から大きく差を付けられていた。しかし、直線で馬群を一気に抜き去る追い込みを見せて4馬身差をつけて勝利。ウオッカの記録を0.1秒上回るレースレコードとなった。


桜花賞

新女王誕生!デアリングタクト!

三冠初戦、桜花賞では2歳女王・レシステンシアに続く二番人気に推された。

しかし雨による重馬場に加え、逃げ自慢のレシステンシア・スマイルカナによる二頭の逃げで両馬から大きく離されてしまい、今までの追い込みが通用するのかと思われた。

それでもデアリングタクトの猛追は重馬場でも発揮し、最後の最後でレシステンシアを抜いて勝利。

無敗の桜花賞勝利・3戦目での桜花賞勝利は前例があれど、同時達成は史上初であった。

生産者は勿論、クラブにとっても初のGⅠタイトル獲得。ケイティブレイブで地方GⅠを勝利している杉山厩舎にとっても初の芝GⅠ勝利。

また、父エピファネイアにとっても、初年度産駒によるGⅠ勝利と嬉しい結果となった。


スペシャルウィーク⇒シーザリオ⇒エピファネイア⇒デアリングタクトで、史上3例目の親子4代GI制覇も達成。


優駿牝馬

63年振りの夢かなったデアリングタクト!!

二戦目のオークスでは一転して良馬場に。

レシステンシアは不在(NHKマイルCに出走)であったが、もう一頭の逃げ馬であるスマイルカナが相変わらず逃げる展開となった。他の馬がスマイルカナに追いつく頃にはデアリングタクトは前が塞がった状態で中々抜け出すことが出来なかった。しかし、騎手の指示に応えるように馬群の隙間から抜け出すと、先頭を走っていたウインマイティー・ウインマリリンの二頭を抜けて勝利。

無敗の牝馬二冠自体は2006年にカワカミプリンセスオークス秋華賞)が達成しているが、春の無敗牝馬二冠はミスオンワード以来63年振りの快挙である。(※)



秋華賞

夏の休養を挟んで秋は秋華賞への直行が8月末にオーナー側より決定。

史上初となる無敗の牝馬三冠への期待は勿論のこと、フェブラリーステークス以来となる(条件付きであるが)競馬場に観客を入れての開催ということもあり注目が集まった。最終的に単勝オッズは1.4倍にまでなった。

レースは後方から5,6番手で始まったが、徐々に位置を上げていく。コーナーを回ると最後の200mで先頭に立ち、横にいたマジックキャッスルや外から追い込んでくる馬達をかわして勝利。

鞍上の松山弘平は馬上で「3」を示すハンドサインを出し、三冠をアピール。

史上初となる無敗の三冠牝馬がここ誕生した。

また、5戦での牝馬三冠達成は史上最少キャリアであった他、鞍上の松山は30歳で牝馬三冠ジョッキーの最年少記録を塗り替えるなど、とにかく初物尽くしのオンパレードであった。


ジャパンカップ

秋華賞後、陣営は次走にジャパンカップを選択する。後に同期のクラシック三冠馬コントレイル、そして、芝GⅠ8勝の新記録を打ち立てた先輩三冠牝馬アーモンドアイが引退レースとしてジャパンカップに出ることを表明し、最初で最後となる三冠馬3頭の直接対決が実現した。


デアリングタクトは3枠5番からのスタートとなる。

キセキが大逃げを打つ中で、コントレイルと共に中団から様子を窺うと、最後の直線で脚を伸ばすが、一足先に抜け出たアーモンドアイを捉えられず、その1馬身1/4離されたコントレイルにクビ差及ばなかったが、カレンブーケドールをハナ差で制し3着に入り、三冠馬3頭が上位を独占する結果となった。

コントレイルと共に初黒星を喫したことで史上初の無敗四冠は逃すも、牝馬三冠を獲った実力は遺憾なく発揮した。


4歳(2021年)

4歳シーズンは香港・沙田競馬場で行われる国際G1競走クイーンエリザベス2世カップを目指し、初戦はG2金鯱賞を選択。レースではグローリーヴェイズキセキといったG1馬がいるなかで単勝1.4倍の1番人気に支持される。1枠1番から出走して道中は6番手を進み、直線では外に持ち出して追い込んだが、先頭の10番人気ギベオンを捉えきれず、2着に敗れた。

次戦は予定通りクイーンエリザベス2世カップへ挑む。本番では単勝1.7倍の一番人気に支持される。レースでは好スタートを切り、先頭から3番手に付けるか、最後の直線で同じく日本から参戦したラヴズオンリーユーにかわされ、更にゴール前でグローリーヴェイズにも抜かれ3着に終わる。

その次は宝塚記念を視野に入れていたが、帰国後に行ったエコー検査の結果、右前肢繋靱帯炎を発症していることが判明。予定していた宝塚記念参戦は絶望的となり、長期休養に入った。


陣営は復帰を目指し、幹細胞移植療法による治療を決定。手術を受け、以後長いリハビリと調教に励むこととなる。


5歳(2022年)

5歳シーズンに突入した2022年。着々と復帰に向けた動きを進めるデアリングタクトは、同年ヴィクトリアマイルにて一年以上振りにレースに復帰。ヴィクトリアマイル後は、4歳時に出走が叶わなかった春のグランプリ・宝塚記念を目指すことが公表された。

そして来たる5月15日のヴィクトリアマイル本番。無敗の桜花賞馬ソダシや20年大阪杯勝ち馬レイパパレ、前年エリザベス女王杯勝ち馬アカイイト、19年阪神JF勝ち馬レシステンシアと、G1馬5頭が並ぶハイレベルなレースとなる中、デアリングタクトは内でレースを進めるが、最終直線で伸びを欠き6着と掲示板に届かなかった。

とはいえ、競走馬にとって不治の病と言われる繋靭帯炎を発症した上に一年以上の休養明けであることを考えれば上々の結果であり、レース内容も決して悪くなくこれからに期待が持てるものであった。

  • ちなみに、もし勝利していれば「364日のブランク明けでG1勝利」したトウカイテイオーの大記録を大幅更新する384日になる、としてネットでは密かに話題になっていた(外部リンク)。

レース後、脚の状態に特に悪化なども見られなかったことから、次走は予定通り宝塚記念に出走。

こちらもヴィクトリアマイル同様、昨年の年度代表馬エフフォーリア、21年菊花賞・22年天皇賞(春)勝ち馬タイトルホルダー、22年ドバイターフ勝ち馬パンサラッサ、22年大阪杯勝ち馬ポタジェのGⅠ馬5頭という錚々たる面子に加え、悲願のGⅠ制覇を目指すディープボンド、その小ささで人気を集めるアイドルホースメロディーレーンなどが出走を予定していた。


6月26日のレース本番ではオーソリティが出走除外となり、17頭立てでのレースとなる。

デアリングタクトは4枠7番でスタート。序盤はエフフォーリアのすぐ横にぴったりと貼り付き、有力馬を内に閉じ込めつつ脚を貯め、最後の直線で外に持ち出し、前へと上がっていく。結果は勝ち馬のタイトルホルダーとヒシイグアスには届かなかったものの、ゴール寸前でディープボンドをハナ差でかわして3着。

名だたる実力馬たちが揃うレースにおいて底力を見せる内容となるとともに、復活の兆しが見られるものとなった。


秋の復帰戦はオールカマー。宝塚記念時よりも良化しているとの陣営のコメントもあってか2.0倍の1番人気に推された。五分のスタートから控えて中団後方に付け3,4コーナー中間から捲って上がって行き直線大外に持ち出して追い込むが、内々を進んだ馬が上位を占めるトラックバイアスの中終始外々を回った影響か伸び悩み、6着に敗れた。


秋の次走となったエリザベス女王杯では、再び内枠となる2枠4番で出走。馬群に呑まれたことも影響し、オールカマーと同じ6着に敗れた(奇しくも、このレースの勝ち馬はオールカマーの勝ち馬・ジェラルディーナであった)。


更に中1週でジャパンカップに参戦。鞍上はこれまでデビューから全てで鞍上を務めてきた松山弘平から短期免許で来日していたT.マーカンドに乗り替わり5番人気に支持される。道中はダノンベルーガを見る位置で進め、直線シャフリヤールに進路をカットされ勢いをそがれたシーンもあったが、上がり最速タイの末脚で4着まで追い込んだ。中1週かつ残りわずか数秒だけで上がり最速タイムと4着をマークしたのだから「負けて尚強し」と言えるであろう(なお、本来の主戦騎手である松山の乗るシャドウディーヴァはラストランながら12着に敗れていた)。


6歳(2023年)

サウジアラビア・キングアブドゥルアジーズ競馬場で開催されるGIIIネオムターフCで始動する予定だったが、左前肢の歩様に乱れが出たため、遠征を取りやめ。計画も一旦白紙に戻し春の番組での再始動を予定していた。だが、4月以降の重賞に参戦する様子もなく、調整に専念する形となっていたが、5月12日、馬主側から北海道・オカダスタッド(日高町)へ移動することが明かされた。これにより、春は全休という結果となり、秋(9月)以降の復帰を目指すべく、仕切り直しを図っていたが、再起へ向け調教中の10月5日右前肢繋靱帯炎を再発、残念ながら復帰を諦め競走馬から引退し、岡田スタッド(新ひだか町)で繁殖牝馬となることがノルマンディーファームから発表された。

また、繁殖初年度はベンバトルを種付けするの予定との事。


余談

史上初の無敗三冠牝馬を成し遂げた彼女であるが、牡馬も含んだ場合の史上初無敗三冠を成し遂げたシンボリルドルフとどこか共通点が多かったりもする。

  • 史上初の無敗三冠を達成(タクトは牝馬三冠、ルドルフは牡馬三冠)。
  • 繋靭帯炎に悩まされた(ルドルフはこれがきっかけで引退に追い込まれ、タクトは一度は幹細胞移植で復活するも2年後に再発し引退と相成った)。
  • 最低着順が6着
    • ルドルフはレース中の怪我でラストランとなったレースで、タクトは復活した22年以降宝塚記念とジャパンカップ以外は6着となっている(宝塚記念2022は3着、ジャパンカップ2022は4着)。

JRA機関雑誌「優駿」2020年9月号の特集「二冠馬の夏休み」によると、額に2本の「角」と形容される突起がある。また、洗い場で水の入ったバケツを近づけると、飲まずに「鼻うがい」をするという。


関連イラスト

(左から順にウインマリリン、デゼル、デアリングタクト)

オークス2020


オリジナルウマ娘

デアリングタクト オリジナルウマ娘化

ウマ娘「デアリングタクト」


2022年7月20日、追加されたサポートカードに...?


関連項目

競走馬 三冠牝馬

コントレイル:同期の無敗三冠馬。こちらは長期休養を要するような大きな怪我もなく、一足先に引退となっている。


脚注

※:ミスオンワードは三冠獲得のために、最終戦となる菊花賞に出走するも大敗に終わった。1957年当時、牡馬も牝馬も三冠レース最終戦は菊花賞。秋華賞はおろか、その前身のエリザベス女王杯・ビクトリアカップといった牝馬三冠最終戦は存在しなかった。

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