曖昧さ回避
- 徳島駅(徳島県徳島市)と阿波海南駅(海部郡海陽町)を結ぶ四国旅客鉄道(JR四国)の鉄道路線(地方交通線)。
- 1の牟岐駅近くにある牟岐バス停(牟岐営業所)(徳島県海部郡牟岐町)と海の駅東洋町バス停(高知県安芸郡東洋町)を結ぶ徳島バス南部(南部バス)の路線系統名。
本項では1について記載する。
路線データ
路線名 | 牟岐線 |
---|---|
路線区間 | 徳島〜阿波海南 |
路線愛称 | 阿波室戸シーサイドライン |
路線記号 | M |
ラインカラー | エメラルドグリーン |
路線距離 | 77.8km |
軌間 | 1,067mm |
駅数 | 29駅 |
最高速度 | 110km/h |
非電化区間 | 全線 |
単線区間 | 全線 |
閉塞方式 | 特殊自動閉塞式(電子符号照査式) |
保安装置 | ATS-SS |
運転指令所 | 徳島CTC |
第一種鉄道事業者 | 四国旅客鉄道(JR四国) |
概要
徳島駅と阿波海南駅を結ぶ四国旅客鉄道(JR四国)の鉄道路線の一つで、地方交通線。徳島県内で完結する。
元は徳島駅〜海部駅(海陽町)間の路線だったが、直通運転を行っていた阿佐海岸鉄道阿佐東線のDMV化にあたり、工事を行う為2020年(令和2年)11月1日に阿波海南駅〜海部駅間が移管された。
また2002年(平成14年)7月1日から阿佐海岸鉄道と共に阿波室戸シーサイドラインという路線愛称が使用されているが、阿佐海岸鉄道のDMV化に伴い牟岐線内のみの愛称に変更されている。
沿革
1913年(大正2年)4月20日に阿波国共同汽船によって徳島駅〜小松島駅間が開業した事が始まり。当時鉄道院が路線を借り上げる形で運行していた。
1916年(大正5年)12月15日には阿南鉄道によって中田駅〜古庄駅間が開業した。
1917年(大正6年)9月1日に阿波国共同汽船の路線を国有化し小松島軽便線となった。なお5年後の1922年(大正11年)9月2日には小松島線に改称されている。
1936年(昭和11年)3月27日、牟岐線として羽ノ浦駅〜桑野駅間が開業。同年7月1日には阿南鉄道の区間が牟岐線に編入され、同時に羽ノ浦駅〜古庄駅間の旅客営業が廃止された。
第二次世界大戦末期の1945年(昭和20年)7月30日、那珂川橋梁を走行中の列車が、アメリカ軍のグラマンF6F戦闘機(ヘルキャット)による機銃掃射を受け脱線。30名の死者を出した。現場付近には2005年(平成17年)に慰霊碑が設置された。
1961年(昭和36年)4月1日には貨物支線が廃止。また徳島駅〜牟岐駅間を牟岐線、中田駅〜小松島駅間を小松島線と改めた。
1973年(昭和48年)10月1日に牟岐駅〜海部駅間が延伸され全線開通した。
国鉄末期の1982年(昭和57年)11月15日に中田駅〜阿南駅間、1984年(昭和59年)2月1日には全線の貨物営業が廃止された。また1985年(昭和60年)3月14日には第一次特定地方交通線に選ばれていた小松島線が廃止された。
1987年(昭和63年)4月1日、国鉄分割民営化に伴いJR四国が第一種鉄道事業者として継承。
1990年(平成2年)11月21日には高速化により最高速度が110km/hまで引き上げられた。これにより急行「阿波」に代わり特急「うずしお」の乗り入れを開始。
1992年(平成4年)3月26日には阿佐海岸鉄道阿佐東線が開通し、同線との直通運転を開始した。
1999年(平成11年)3月13日のダイヤ改正で特急「うずしお」が徳島駅で系統分割され、牟岐線区間は「むろと」として運行される事となった。
2002年7月1日から阿波室戸シーサイドラインの愛称を使用開始。
2008年(平成20年)3月15日ダイヤ改正で阿佐海岸鉄道への直通運転が中止されたが、2009年(平成21年)12月1日ダイヤ改正で直通運転を再開した。しかし2019年(平成31年)3月16日ダイヤ改正で再び直通運転を終了した。
2020年7月18日から阿佐海岸鉄道のDMV化工事に伴い牟岐駅〜海部駅間が運休となり、阿波海南駅〜海部駅間のJRとしての列車運行が終了。同年11月1日に阿波海南駅〜牟岐駅間の第一種鉄道事業が廃止され、同区間は阿佐海岸鉄道に転換された。翌2021年(令和3年)2月1日に牟岐駅〜阿波海南駅間の列車運行が再開された。
2022年4月1日から徳島バスの高速バス「室戸・生見・阿南大阪線」との「並行モード連携モデル」が開始され、JRの乗車券類で牟岐線阿南駅〜浅川駅間で並走する徳島バスの阿南駅バス停〜浅川バス停間を利用できるようになった。なお2023年(令和5年)5月20日には阿波海南駅付近に設置されている海部高校前バス停まで利用範囲が拡張された。
運行形態
特急「むろと」
詳細は「むろと」の項も参照。
徳島駅〜牟岐駅間に朝に上り「2号」・夜に下り「1号」の1往復が運行されている。なお「2号」は阿波海南駅始発であり、牟岐駅まで普通列車として運行された後種別と列車番号を変えて特急「むろと2号」として徳島駅まで運行される。
2019年3月16日ダイヤ改正以前は日中にも設定されていた他、徳島駅〜阿南駅間に区間列車として「ホームエクスプレス阿南」が運行されていた。
かつて上り列車の一部は海部駅や阿佐海岸鉄道甲浦駅発で設定されていた事もあり、それらは牟岐駅まで普通列車として運行された。
また2014年(平成26年)3月15日ダイヤ改正まで徳島線と直通運転を行っていた。当初は特急「剣山」が乗り入れていたが、徳島駅での誤乗防止の観点から末期は徳島線から牟岐線に向かう列車は牟岐線特急の愛称「むろと」、牟岐線から徳島線に向かう列車は徳島線特急の愛称「剣山」を名乗った。
普通
基本的に徳島駅〜阿南駅間で30分、阿南駅〜阿波海南間で1〜2時間間隔のパターンダイヤが組まれている。
全線通しの運行の他徳島駅〜阿南駅・桑野駅・牟岐駅間や牟岐駅〜阿波海南駅間の区間列車が設定されている。
また高徳線板野駅・鳴門線鳴門駅・徳島線阿波池田駅発着の直通列車も設定されている。
なお朝に設定されている牟岐駅〜阿波海南駅間の1往復は前述の特急「むろと2号」となる列車の為、キハ185系特急形気動車が使用される。
臨時特急「やくおうじ」
日和佐駅が最寄りの四国八十八箇所第二十三番札所「医王山無量寿院薬王寺」へのアクセス列車であり、2019年までは高徳線高松駅発着で運行されていた。
駅一覧
●:停車 ○:「むろと」のみ停車
△:上り「むろと」の普通列車区間 レ:通過
駅番号 | 駅名 | 特急 | 乗換路線 | 備考 |
---|---|---|---|---|
M00 | 徳島 | ● |
| |
M01 | 阿波富田 | ○ | ||
M02 | 二軒屋 | レ | ||
M03 | 文化の森 | レ | ||
M04 | 地蔵橋 | レ | ||
M05 | 中田 | レ | ||
M06 | 南小松島 | ● | ||
M07 | 阿波赤石 | レ | ||
M08 | 立江 | レ | ||
M09 | 羽ノ浦 | ● | ||
M10 | 西原 | レ | ||
M11 | 阿波中島 | レ | ||
M12 | 阿南 | ● | 徳島バス(阿南駅) | 当駅発着あり |
M13 | 見能林 | レ | ||
M14 | 阿波橘 | ○ | 徳島バス(橘営業所)※ | |
M15 | 桑野 | ● | 当駅発着あり | |
M16 | 新野 | ○ | レ | |
M17 | 阿波福井 | レ | ||
M18 | 由岐 | ● | 徳島バス | |
(臨)田井ノ浜 | レ | 夏季のみ営業 | ||
M19 | 木岐 | レ | ||
M20 | 北河内 | レ | ||
M21 | 日和佐 | ● | 徳島バス | |
M22 | 山河内 | レ | ||
M23 | 辺川 | レ | ||
M24 | 牟岐 | ● | 徳島バス | 当駅発着あり |
M25 | 鯖瀬 | △ | ||
M26 | 浅川 | △ | 徳島バス | |
M27 | 阿波海南 | △ |
|
※距離は約1.5km程離れている。
廃止区間
阿佐海岸鉄道転換区間(2020年11月1日廃止)
駅番号 | 駅名 | 乗換路線 | 備考 |
---|---|---|---|
M27 | 阿波海南 | 現存 | |
M28 | 海部 | 阿佐海岸鉄道阿佐東線(AK28) |
貨物支線(1961年4月1日廃止)
現存区間の廃止駅
- 富田浦駅(※1):徳島駅〜二軒屋駅(※2)間。1941年(昭和16年)8月10日廃止。
- 丈六駅(※1):地蔵橋駅〜中田駅間。1941年8月10日廃止。
- 金磯駅:南小松島駅〜阿波赤石駅間。1962年7月18日廃止。
※1:小松島線時代の廃止駅
※2:阿波富田駅は未開業
使用車両
現在の使用車両
自社車両
高松運転所所属の特急形気動車。
牟岐線内においては現在特急「むろと」及び牟岐駅〜阿波海南駅間の普通列車(上りは牟岐駅から特急「むろと2号」)・臨時特急「やくおうじ」で運用されているが、かつては特急「うずしお」「ホームエクスプレス阿南」「剣山」、牟岐駅から特急となる上り普通列車でも運用されていた。
徳島運転所所属の一般形気動車。かつては全線で運用され阿佐海岸鉄道にも乗り入れていたが車両の置き換えが進んでおり、現在の定期運用区間は徳島駅〜桑野駅間である。
徳島運転所所属の一般形気動車。全線で使用されている。
JR西日本所属
吹田総合車両所京都支所所属・下関総合車両所新山口支所常駐の事業用気動車(検測車)。
JR四国が自社の検測車を保有していない為、検測の為稀に牟岐線に入線する。
過去の使用車両
国鉄民営化後の車両のみ記載。
自社車両
高松運転所所属の特急形気動車。
通常牟岐線では運用されないが、団体列車として海部駅まで入線した。
高松運転所所属の急行形気動車。
民営化直後に急行「むろと」「阿波」として運用されていたが、牟岐線優等列車が特急「うずしお」に統一された為運用を終了した。
阿佐海岸鉄道所属
全て宍喰車庫に所属する気動車。
阿佐東線開業時から使用している車両。土佐くろしお鉄道中村線・宿毛線用TKT-8000形をベースとしている。
牟岐線直通列車として牟岐駅〜海部駅間で運用されていたが、ASA-200形は2008年6月30日に宍喰車庫内で脱線事故を起こし同年11月18日に廃車。
ASA-100形も2019年3月16日ダイヤ改正で直通運転の終了と共に牟岐線での運用が終了した。
上述の事故で廃車となったASA-200形の代替として、2005年(平成17年)の台風での被災以降休止・事故と同年に廃止された高千穂鉄道高千穂線のTR-200形を譲受・改番した。
2019年3月16日ダイヤ改正で直通運転の終了と共に牟岐線での運用が終了した。
イラストは高千穂鉄道TR-200形時代のもの。