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MiG-31

みーぐとりーっつぁちあぢーん

ミコヤン・グレヴィッチ設計局の開発した防空戦闘機。MiG-25の発展型で強力なレーダーを装備する。専門のオペレーターを同乗させて、搭乗員は2名となる。最高速度はMiG-25と変わらないが、燃費のいい新型エンジンと再設計された機体構造のおかげで、実用性が高まっている。
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フォックスバットの後継

開発は1968年、MiG-25が公開された翌年から始まった。

当初は単にMiG-25の性能向上計画であった。


計画の目玉は、燃費を改善したターボファンエンジン、新型レーダーの搭載である。

この新型レーダーは「ザスロン(障壁)」と呼ばれ、MiG-31は世界で初めてフェーズドアレイレーダーを搭載した戦闘機として知られるようになった。


フェーズドアレイレーダーとは

通常のレーダーは、アンテナの正面しか走査することができない。

しかし、フェイズドアレイレーダーは走査する方向(電波の飛ぶ方向)を電子的に制御できる。

通常はレドームの中を扇風機のように回るレーダーアンテナだが、このレーダーに限っては回す必要が無いのだ。

レーダーの有効範囲は、アンテナの大きさに依るところが大きい。

レドーム一杯までアンテナを大きくできるフェイズドアレイレーダーは、探知距離に優れるという事になる。


改良点

・まったく新しいレーダーを搭載し、その操作員のための席も増設。

・機体の設計をやり直し、スチールの使用を減らしてチタンを増量。

・燃費・出力に優れるターボファンエンジンに換装。

・主翼の平面形を変更、胴体も延長して燃料タンクを増設。

・赤外線スキャナーと機関砲を搭載。

・後に空中給油装置を搭載するようになった。

ターボファンジェットエンジンの理論限界速度がマッハ3.4前後のため、最高速度マッハ2.83に抑えた設計となっている。


世界最長の射程(第2弾)

機体の下部には最大射程距離160kmを誇るR-33空対空ミサイル(NATO名:AA-9「アラモ」)を最大4発備え、更に両翼にはMiG-25同様にR-40やR-60といったミサイルを搭載できる。

MiG-25には無かったGSh-6-23機関砲も搭載しており、最後は機銃掃射で片を付ける。

ただし、MiG-25と同じく格闘戦には不向きであり、あくまで威嚇射撃・最後のトドメ専用と考えられる。


強力なレーダーと長距離AAMの組み合わせがF-14に類似していることもあって、一部では「イランから非公式に譲渡されたF-14とAIM-54を参考にした」とまことしやかに言われているが、イランがF-14の採用を決定した翌年の1975年にMiG-31は初飛行を行っており、ソ連防空軍への部隊配備が開始されたのはイラン革命で親米パーレビ王朝が倒れた翌年(1980年)である。

航空機の開発が長い年月を要することを考慮に入れれば、それが荒唐無稽な話であるということは容易に理解できよう。


実際、「艦隊防空戦闘機」として開発されたF-14とMiG-31は、強力な機載レーダーと長射程ミサイルを搭載する点こそ似ているが、F-14では長距離レーダー索敵をE-2に依存しており、またMiG-31は索敵から迎撃までを編隊内だけ(=地上レーダー施設の支援なし)で行う点は相違している。


空母機動艦隊の外周防空を求められたF-14、そして地上基地だけでは網羅しきれない防空の補助として求められたロシア流防空戦闘機の違いがここにある。参考にしたとすれば実際の運用に関する部分となるが、これもF-14というよりはTu-128(前任機)のような使い方をしており、やはり似ているだけで関係はなさそうである。


迎撃専用機の憂鬱

このように、迎撃機としては世界でも第一級の能力を持つMiG-31ではあるが、現時点ではロシア航空宇宙軍及びロシア海軍航空隊とカザフスタン防空軍の2か国以外での運用は無い。高度な電子装置による維持の難しさや、潰しのきかない機能、高価な維持費のせいだと考えられる。


ミグは『MiG-31E』(MiG-31の輸出型)を提案するなど、輸出への意欲はあるようなのだが、防空戦闘機はその国の事情に一致した防空システムの一端であるため、売却しようにも見合った相手が居ないために輸出実績はない。[


中国やイランが購入の意欲を見せたものの、政治的事情などにより断念している。


MiG-31BM / MiG-31BSM

後期量産型『MiG-31B』および(初期量産型MiG-31改修機である)『MiG-31BS』をベースに改修された大幅な能力向上型マルチロール型機。『MiG-31BM(MiG-31B改修型) / MiG-31BSM(MiG-31BS改修型)』では機体重量増加に伴い、エンジンも『アビアドビガーテルD-30F-6ターボファンエンジン』(ドライ時93.0kN、アフターバーナー時151.9kN)×2基から推力増強型『アビアドビガーテルD-30F-6Mターボファンエンジン』×2基に換装済み。新造機としては製造されておらず、2010年より69機が改修されている。


2022年2月24日に勃発したロシアウクライナ侵攻においては、『マッハ2.35での超音速巡航能力と高度2万メートルの高々度偵察能力で実戦での戦果を挙げている』


MiG-31の現況

1970年代末期に配備が開始されて以来、半世紀近くもの間ロシアの空を守って来たMiG-31はソ連崩壊後のロシア防空軍でも依然として主力を務めており、現在配備されているMiG-31は対地攻撃も可能なMiG-31BSMやMiG-31BMといったマルチロール型への改修が細々ながらも続けられており、能力の拡充には余念がない様子である。


関連タグ

戦闘機 ソ連 ロシア MiG-25

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