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F-14

えふじゅうよん

アメリカ合衆国のグラマン社(現ノースロップ・グラマン社)が開発した艦上戦闘機。可変翼を採用し、強力なアビオニクスと長距離空対空ミサイルの運用能力を併せ持つ艦隊防空戦闘機として開発された。愛称は雄猫を意味する『トムキャット』。
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概要

F-14とは、グラマンF-14トムキャット戦闘機に関するイラストに付与されるタグである。


冷戦構造下、東西両陣営は核兵器を積んだ敵戦略爆撃機の撃墜に躍起になり、アメリカでもF-89、F-106など、要撃機が多数開発された。

しかし、ベトナム戦争でMiG-21に苦戦を強いられたこともあり、戦闘機にはふたたび『戦場で敵戦闘機を駆逐する』能力が求められるようになった。

その流れで、空母を含む艦隊を爆撃機から放たれる巡航ミサイルは無論、戦闘機からも守る防空戦闘機として誕生したのが、グラマン社の艦上戦闘機F-14『トムキャット』である。


巡航ミサイルの射程外から爆撃機を迎撃するため、射程130km以上のAIM-54『フェニックス』長射程空対空ミサイルと高度なレーダーFCSであるAWG-9で艦隊防空の外縁部を担う。

AIM-54は現在でもアメリカ軍がいままで制式採用してきた空対空ミサイルとしてはもっとも射程が長く、F-14以外の搭載機が実用化されなかったことから、事実上F-14の専用武装となった。

AIM-54は最大6発まで搭載できるが、この状態だと燃料がカラになっても着艦可能重量を超えてしまうため、最低でも2発は使用あるいは捨てなければ着艦できない。よって基本的な搭載数は4発となっている。


可変翼の自動制御により格闘戦能力も高く、模擬戦ではF-15にもたびたび勝利したという……

……が、コレはかなり危険である、後述※


しかし、攻撃の手段が戦略爆撃機からICBMへと変わり、さらに冷戦の終結、イージス艦の配備などにより存在意義を喪失。

可変翼の採用などで高額となったF-14を積極的に採用する必要はなくなり、制空戦闘機として同等の性能を持ち多少安いF-15に対してセールスで苦戦し、アメリカ海軍以外ではイラン空軍に採用されたのみであった。

その後、F-14はペイロードの大きさから戦闘爆撃機として活躍することになる。

もともと最低限の対地攻撃能力は備わっていたが、右主翼付け根のパイロンにAN/AAQ-25 LANTIRNポッドを装備できるように改修されたことで、レーザー誘導爆弾などを運用できるようになった。

RF-8の退役により戦術偵察機がない時期には改修によりTARPS(戦術航空偵察ポッドシステム)を装備可能として代替機となった。

対地攻撃能力を持つ機体にはボムキャット、TARPSポッドを装備した機体にはピーピング・トムの非公式愛称がついている。


湾岸戦争イラク戦争と多くの戦場を経験し、映画にも出演するなど一般にも知名度が高い戦闘機だったが、実をいうと空中戦での戦果はF-15ほど挙げていなかったりする

また、可変翼機構の複雑さからくるメンテナンス性の悪さや、ほかの機体と比べてコスト高な点が仇となり、2006年に主力の座をF/A-18に譲りアメリカ海軍からは全機退役した。

しかし、映画『トップガン』や『ファイナルカウントダウン』、漫画『エリア88』など多くのメディアで主役または準主役級の活躍をしたことからか、退役した現在でも根強いファンが多く、アニメマクロスシリーズに登場する一部の可変戦闘機の機体デザインもF-14がベースになっている。

機体の塗装パターンはエースコンバット5やマクロスなどの作品でベースになっているVF-84こと第84戦闘飛行隊(もしくはVF-103、第103戦闘攻撃飛行隊)「ジョリー・ロジャース」が有名だろう。


「トムキャット」という名称は、グラマンの戦闘機に共通する科の動物の愛称と考えられがちだが、公式には「可変翼のギミックが猫耳のようだから」とされている。

とは言え、「グラマン最後の猫」として、コンティデレート・エア・フォース所有の歴代猫と記念飛行を行ったこともある。

この際、トムキャットはレシプロ機の面々に合わせて失速直前の速度で飛ばざるを得なかったが、その速度はF4F(正確にはゼネラル・モーターズ製FM)「ワイルドキャット」にとっては全力というものだった。



格闘性能は


F-14は模擬戦や実戦を数多くこなしており、内にはF-15やMiG-29等ドッグファイトを得意とする機体相手でも勝利を掴んだ事がある。(当然負けもある)

この部分だけを切り取ってF-15に勝る格闘機と言われる事があるが、コレはパイロット技量に支えられたモノである事を知っていて欲しい。

どういう事かと言うと巨体に可変翼という組み合わせによりF-14は耐G性能がかなり低く、大きな動きをすると空中分解の恐れが他機種より高まるのだ。

参考までに言うとF-14は初期型のAでは制限Gが5にも届かず、B型で5.3G程度に上がり、最終型のD型にて6.5Gと国際的に見て低~並程度に収まっている。

(F-15は9G制限で大幅に違う、5~6GというのはF-104MiG-25と同程度である)

あくまでF-14は艦隊防空機で主敵は艦隊に向かってくる数多の攻撃機&爆撃機であり、敵戦闘機と格闘戦を念頭に設計した訳では無い、格闘戦もやってやれなくは無いという事である。


実際過去に模擬戦でF-15含む他機種を相手に勝利を収めた時はクルクルと旋回戦闘を繰り返すのではなく、自機背後を敵機に取られてからエアブレーキ&上昇高AOAにて巨体を全て使った減速により敵機を押し出し→敵機が遠ざかる前にガンやミサイルロックにて撃墜判定というパターンがかなり多い。

この行為でも機体にかかるGは高く、またA型ではコンプレッサーストールと裏合わせの技であり、機体分解と操縦不能の狭間にあるその技を模擬戦にて何度も使用したF-14のパイロット達は平均技量が高いと言えるだろう。

また制限Gは絶対ルールではない、米海軍ではA型で通常6G運用する部隊があったり、イラン空軍では7G運用まで許されていたとの証言もあったりする、パイロットにとっては撃墜されるより機体が歪んででも生きたいのは当然と言えるのだ。

(最後に制限G≠破壊Gである。制限Gはコレを超えたら故障や歪みが起きるので使用は大体ココまでに抑えてねの数字で、破壊Gはその数字に至ったら翼や機体が折れたり分解する数字である。概ね制限Gの2倍未満が破壊G数字となるが機体により多少個体差があり、例としてF-14で言えば11Gまで耐え空港に生還した機体もあれば9Gで翼が折れたものもある。)


イランに嫁いだペルシャ猫

イランのF-14


2015年現在、F-14を運用しているのはイスラム革命前に機体を購入したイラン空軍のみである。

アメリカからの部品供与を絶たれた今も、部品の国産化やロシアの技術協力により、一定の稼動状態を維持している模様である。

イラン空軍仕様のF-14は、通常は機首下に装備されている赤外線センサーポッド(IRST)を搭載しておらず、この取り付け基部は小さな突起状のカバーで覆っている。初期に引き渡された機は装備していたがのちに取り外され、イラン空軍機の識別点となった。

本国でもエンジンの取り扱いには苦労していたが、これはイランでも同様で、これに起因する墜落事故も起こっている。


イランではその地理上「強力なレーダーを搭載した防空戦闘機」が求められており、F-14はこれに合致する戦闘機であった。が、イラン革命により搭乗員など関係者は投獄(&拷問)され、めぼしい部品はおろか、専門の整備員にすら事欠く有様となってしまった。

だが、状況は変わった。

1980年、イラク軍は川を越えてイラン領に侵入。イラン・イラク戦争の始まりである。

ここに及んでイランの空が無防備になってしまっていたことに気づいた革命政府は、投獄していた戦闘機パイロットたちを至急開放し、防衛戦に参加させることにしたのだった。


ここから先は、これまで多くが憶測でしかなかった部分である。

後述の書籍の価値を担保するため、あえて多くを明らかにはしないが、結論からいえば『大活躍であった』ということができる。

F-15に比べれば身重なものの、格闘戦では20mmバルカンやAIM-9の威力も相まって向かうところ敵なし相手が複数でも怖くないと評価され、AIM-54は優れた兵器といわれ、なんと1発で3機撃墜(+損傷1機)した例もあるという。F-14はこのように優れた威力を発揮したものだから、戦争末期になるとイラク軍機が相手をF-14と知ったとたん「F-14だ!逃げろ!逃げろ!」と、戦闘放棄して逃げ出したことまであったのも、当然であろう(湾岸戦争で本家アメリカのトムキャットが戦果を挙げられなかったのも大体このせい)。

また、強力なレーダーを生かして他の機体に情報を伝達するAWACS的な運用もなされたという。


かつてF-14を有名なものにせしめた映画『トップガン』は、現在でも続編の話が現れては消えるが、まさに映画さながらの大活躍した事例が、地球の裏側で起こったのである。

アメリカはいまからでもイランと国交正常化して、この内容を『トップガン2』にしたほうがいいだろう。トム・クルーズはグラマンの技師役で出演するとして。


…そんなことを言っていたら、『トップガン』の30年越しの続編であるトップガン_マーヴェリックの制作が決定、実に36年ぶりの続編が上映に至った。果たしてペルシャ猫に出番は来たか…? 結論から言うと、来た。 その内容はぜひ本編で見てみよう!


ともあれ、イラン向け最終号機はついに引き渡されず、米海軍が差し押さえたうえで米本土で長らくテスト機材として使われていたが、実戦部隊の退役とともに運用を終了している。


なお、イラン空軍への部品の流出を防ぐため、アメリカの各地で展示されているF-14はエンジンや電子機器といった重要な部品は除去されており、ダミーへと入れ替えられている。(とはいうものの闇ルートで大量に横流しされ、イラン空軍機の稼働率が米海軍退役後の2006年以降大幅に上がっているのは皮肉。)


参考文献:『イラン空軍のF-14トムキャット飛行隊』(大日本絵画・2016年)


発展の系譜

F-14A

TF-30エンジンを装備する基本型。478機生産され、うち79機がイランに引き渡された。

本来の売買契約では80機の売却となっていたが、引渡し完了以前にイラン革命が勃発。

大使館占拠事件などもあって、引き渡し前だった最後の1機がアメリカに留置された。

ちなみに、その機は海軍にて使用された。

TARPS偵察ポッドにより、偵察任務にも使用できる。

F-14Aには中央翼前縁にグローブベーンと呼ばれる引き込み式の小翼があり、音速飛行時に展開することでトリム抵抗を減らし操縦性を改善させる効果があるが、F-14を運用するにあたり超音速飛行はそれほど重要ではないと判断されたことからF-14Bで封印され、F-14Dでは完全に廃止されている。

少なくとも1機がイランの手によってAIM-54とともにソビエトに引き渡されたともいわれており、その情報はMiG-31の開発に生かされたともいわれているが、開発時期的にありえない話である。


F-14B

パワー不足など問題の多かったTF-30エンジンを、F-110エンジンに換装した機体。

実はそれ以前にもF-401エンジンに換装する計画があり、そちらもF-14Bとなっている(エンジンが不良でお流れとなった)。

どちらにしても、F-14Bはエンジン換装のみであり、電子機器はそのままである。

当初はF-14A+と呼ばれた。

新造38機、A型からの改造が32機。計70機が生産された。


F-14C

初代F-14Bのようなエンジン換装に加え、電子機器も交換した全天候攻撃機型。

A型同様に偵察任務も可能。

計画のみで中止となったが、以降の改修型のもとになった。


F-14D

TOP GUN MAVERICK F-14D

B型のようなエンジン換装に加え、レーダーFCSをAN/APG-71に換装した型。

ただでさえ高価な機体が、さらに高価になった。

結局F/A-18の数をそろえることに重点を置かれたため、新造37機、A型からの改造機(F-14D(R))が18機と、計55機のみの配備に留まる。

非公式愛称はスーパートムキャット


スーパートムキャット21

NATF(F-22N)や、A-12の計画中止を受けて計画された発展改良型。

スーパークルーズ能力の付与や改良型航空電子装置の搭載、マルチロール化し、21世紀でも通用する戦闘機を作り上げる計画。

F/A-18E/Fが採用されたこともあり、計画中止。


F-14AM

イランでは独自にアップグレードを行ったF-14AMへと改良がされている。

AIM-54は当然ながら現在撃ち尽くしていて、ミサイル本体はおろか部品もほとんど存在せず、代わりとなるFakour90やMaqsoudといった長射程空対空ミサイルを搭載している。Fakour90は余った部品とほかのミサイルの部品を組み合わせたAIM-54の改造型とのこと。

エンジンは一部で噂がされているロシア製ではなく、オリジナルのままである。


ちなみに現在も現役で、ISILに対する空爆を行なったロシア空軍のTu-95のイラン領空内飛行時に護衛として飛行している。


関連イラスト

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Four Wings as OneF-14




関連タグ

戦闘機

F-111:この失敗の経験が、F-14開発に生かされた。

ちょっとコンビニ行ってくる


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