この味がいいねと
君が言ったから
七月六日は
サラダ記念日
(by俵万智)
空には星が飛んでゐる
ちやうどわたしの悩みを避けるやうに
——さやうなら、愛する人よ、わたしは遠い国へ行く
だが何処へ行かうとわたしの胸はおまへの為に燃えてゐる
(byハイネ)
世の人は
我を何とも言わば言え
我なす事は
我のみぞ知る
(by坂本龍馬)
大風起って 雲は飛揚す
威力は海内に加わって故郷に帰る
安くにか猛士を得て四方を守らしめん
(by劉邦)
皇師(こうし)百萬強虜(きょうろ)を征し
野戰攻城屍山をなす
愧ず我何の顔ありてか父老にまみえん
凱歌(がいか)今日幾人か還る
(by乃木希典)
僕はまだ子供で
ときどき
右手が人を殺す。
そのかわり
誰かの右手が
僕を殺してくれるだろう。
涙をこらえて
私は今日も
空を見上げる。
空を見上げる。
乱れ髪を
京の島田に
かえし朝
ふしていませの
君ゆりおこす
(by与謝野晶子)
朝 目が覚めて
真っ先に思い浮かぶ 君のこと
思い切って 前髪を切った
「どうしたの?」って 聞かれたくて
ピンクのスカート お花の髪飾り
さして 出かけるの
今日の私は かわいいのよ!
メルト 溶けてしまいそう
好きだなんて 絶対に言えない…
だけど メルト 目も合わせられない
恋に恋なんてしないわ わたし
だって 君のことが ……好きなの
(ryo/『メルト』より)
愛され足りないわ!
脳の裏に灼きつけて
ずっとずっとほら見つめてちょうだいな
ステロ的な 台詞じゃなくって
えっと、そう大変絢爛な!
心の臓に釘付けて
ぐっとぐっと ほら痛くはないの
May I cry? ねえ
そんなもんじゃまだ死にきれないのよ
だってだってまだ愛され足りないわ!
(ユリイ・カノン/『シテ』より)
苦しいこともあるだろう
言い度(た)いこともあるだろう
不満なこともあるだろう
腹の立つこともあるだろう
泣き度(た)いこともあるだろう
これらをじっとこらえてゆくのが男の修行である
(by山本五十六)
終わらない歌を歌おう
クソったれの世界のため
終わらない歌を歌おう
全てのクズ共のために
終わらない歌を歌おう
僕や君や彼らのため
終わらない歌を歌おう
明日には笑えるように
終わらない歌を歌おう
一人ぼっちで泣いた夜
終わらない歌を歌おう
キ●ガイあつかいされた日々
想像してごらん 国なんて無いんだと
そんなに難しくないでしょう?
殺す理由も死ぬ理由も無く
そして宗教も無い
さあ想像してごらん みんなが
ただ平和に生きているって...
僕のことを夢想家だと言うかもしれないね
でも僕一人じゃないはず
いつかあなたもみんな仲間になって
きっと世界はひとつになるんだ
想像してごらん 何も所有しないって
あなたなら出来ると思うよ
欲張ったり飢えることも無い
人はみんな兄弟なんだって
想像してごらん みんなが
世界を分かち合うんだって...
僕のことを夢想家だと言うかもしれないね
でも僕一人じゃないはず
いつかあなたもみんな仲間になって
そして世界はきっとひとつになるんだ
法律も秩序でも狂った奴が作ってる
まさに笑劇(ファルス) 不条理だけの起承転結
戦場へ!前線へ!そして死の淵まで!
命捨てた覚悟を示せよ!
忠誠を!従順を!そしてその魂を!
全て捧げ勝鬨をあげよ!
さあここに築いてみせろ!
天に届く死体(ヒト)の山に木霊する憎しみさえ
掻き消す爆発音
(アニメ『幼女戦記』/『Los! Los! Los!』より)
全て投げ出してもいいじゃないの?
used to be 諦めるのは easy
(倖田來未/『Can We go back』より)
ゴールまで届け
王になるここで
クライマックスコーデ
飛車角王手
(byドン横の王)
ボーボボ「赤い花はきれいだぜ(中略)黄色い花はきれいだぜ…」
天の助「ああっー!やめてくれー!読まないでくれー!」「俺の人生の汚点!」
(『ボボボーボ・ボーボボ』より)
概要
詩のこと。一般的な用法ではなんとなく叙情詩系を指す傾向があるが、形式に関わらず空想的だったりロマンチック傾向なものもその範疇に加えられる場合も多い。
冒頭にもあるように、一口に詩やポエムといっても、純粋な詩歌と楽曲用に書き下したものとがある。
また、それらを意図してなくても結果的に「そんな雰囲気」になっている会話や文章を指すこともある。こちらは美文調とも。
ただし、洋の東西や民族・文化圏を問わずに古い時代ほど「声に出して読んだ時にリズミカルに聞こえる」事が重視される傾向が有り、たとえば音節数の制限(日本における五・七・五・七・七や中国における五言絶句・七言絶句など)や韻を踏むなどの細かい規則が有った。また、芝居の台詞や現代でいう小説なども、古い時代のものほど、話し言葉ではなく詩やポエムの形式で記述される傾向が有る。(例えば、シェイクスピア劇の台詞も形式としてはポエムに分類される)
内容は、ロマンや恋愛、成功や挫折、情熱や哲学、ヤケクソ、感傷や悲しみ、ふと目に入った日常の一コマ…ectと実に様々。
背景も、自身の教訓としてのものや、ついノリと勢いで書き出してしまったものから、なかには民族を挙げた総力戦で自分の息子2人を含めた数万人もの戦死者を出してしまった将軍の慟哭なんてヘビーなものから、異性不純交遊で逮捕された際にお茶の間に晒されてしまった過去の痛い言動なんていうどうしようのないもんまである。
小説よりも短い為、絵や漫画の中に登場することもある(台詞がポエム風になっているなど)。
pixivでは、絵もしくは説明文にポエムが記述されている作品に「ポエム」タグが付けられやすい。
文学にはまった勢いで自ら詩作に及ぶこともあるだろうが、それを書き溜めたポエム帳が後に黒歴史ノートと化す可能性も大いにある。
新選組副長であった土方歳三の実家では、彼の若い頃のポエム帳(※当時は俳句)が展示されているという…。
また、戦時中の連合艦隊司令長官であった山本五十六の死後、彼の個人的な趣味でしかなかったオリジナルの万葉集パロが一時的に名将の名句として世間に出回る事態になった、という逸話もある。
そして、両名とも当時からその出来栄えは下手の横好きレベルという評価だったというからさもありなん……
それでいて山本は冒頭にもあるけっこう含蓄に富んだ詩文も作っているのだから、本当になんなんだか……
皆さんも、自分のポエム帳の管理にはお気をつけください。もしかしたら、周囲の善意で自分の葬式の時に(以下略)
効果と欠点
ぶっちゃけ、漢のロマンや乙女のドリームを全開にするための様式美といえる。
前述のように、厨ニ色バリバリで恥ずかしいレベルであっても作り手の本質を少なからず投影しているため、出来栄えは二の次としても個人の人間性を研究するためにクローズアップされることもある。
戦前において、国内でどうしてあれほどまでにポエムが大流行したかといえば、当時の歌謡曲業界自体がどちらかといえばオトナ向けの下世話な体質で、また教育界も修身などのお堅い体質であったことから、
砕けたイメージで若い情熱を代弁しかつピュアな心を震わせる数少ない手段を誰にもがポエムに求めるようになっていったのだという。
戦後、ポップスの隆盛によりそうした役割は浜崎あゆみや西野カナなどの人気アーティストの楽曲に取って代わられ、純粋な詩文は一部の文学趣味の手段としてのみ用いられるようになり今日にいたる。
(『女學生手帳』より)
海外においても事情はほとんど同じ。特に欧米においてはビートルズなどのロック関連のヒットが、中華圏ではテレサ・テンの熱狂的な支持による影響が語られることが多い。
西洋や東アジアでは、古くから支配階層の間で美文調の表現や詩作が半ば必至の教養として用いられてきた歴史がある。
アーサー王みたいによく調べるとヤベー奴なのに美文調の叙事詩で語られていたり、曹操や豊臣秀吉みたいに明らかにそんなキャラじゃないのに詩作に励んでいたりするのはそんな事情がある。
ここまで詩作が重んじされてきた背景には、古代からの言霊信仰で一種の祝詞としての側面として用いられていたという指摘もある。(『逆説の日本史』ほか)
ただし、実際にはそこまで堅苦しいものではなく、現代風に例えるならパリピやリア充がインスタなんかでいいね!を集める位のノリだったのでは?とも言われている。
(※諸説あり)
美しい、幻想的で、繊細な、あるいは情熱的な、逆に悲痛な情緒風景を演出できる一方で、物事の主題や結論等がぼやけて見えにくくなるという欠点がある。
現在でもポエム的な文体で有名なのは村上春樹の作品やケータイ小説などがあり、ピュアなユーザーのハートを唸らせ続けているが、その一方であまりにも湾曲な表現や情緒描写に極振りする様子について行けず「意味不明&理解不能」と拒絶反応を示されたり、「ただひたすらにオシャンティですね、としか……」などと思考停止状態になってしまう事例もたくさんある。
事実上、「分かる人には分かる」類いのジャンルとしては読む人を選ぶ種類といえ、手段としても非常に諸刃の剣といえる。
比喩表現では、「何かを語っているようで何も語っていない抽象的な言葉」といった皮肉として用いられる。フリーライターの中川淳一郎は、その本質を自己陶酔と定義し、対義語を自虐であると評した。
このため、場合によっては相手に悪感情や混乱を与えて紛らわしい結果になるため、公的な場では下手に詩文的な表現にするのは避けたほうが良い。
加えて、中川は現在のネット界ではナルシスト化したユーザーや意識高い系を中心にこうしたきちんとした文章に見せかけてよく見ると事実上のポエムと判断せざるを得ない「中身が無い文章」が乱造されていると喝破している。(参考)
例…食べログに「店長の心意気に感動した!(中略)明日も良い天気になりそうだ…」みたいにレビューするなど。
エッセイ『日本人の知らない日本語』によると、中国では現代でも公文書を古式に則って美文調に仕上げるという風習が残っており、作中では日本語学校の生徒である中国人留学生が大学の自己推薦文やロシア人生徒へ向けたラブレターをポエミーに仕立ててしまい、失敗するエピソードがある。
ポエマーも参照されたし。
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