曖昧さ回避
- truck 主に貨物の運送に用いられる、荷台を備えた自動車。貨物自動車の事。本稿で説明。
- track 陸上やモータースポーツなど、レースに供される施設のこと。
a.陸上競技に用いられる走路。ラバーなどが敷かれ、グリップ力が高められている。
b.サーキット(racetrack)。
概要
主に物資を運ぶ手段として広く活用されている。車体の大きさや重さ、積載可能な重量、装備(架装)の状態等により様々に分類される。専門的には「自動貨車」とも呼ばれる。
近年ではタウンエース程度の大きさのトラックを生産している日本メーカーはマツダ(バン共々ボンゴを日産/三菱自動車にバネット/デリカとしてOEM供給)とトヨタ(現行タウンエース/ライトエース。但しバン共々生産はインドネシアにあるダイハツの工場で行われる逆輸入車。現地名「ダイハツ・グランマックス」)しかない模様。
一般的な構造(日本国内の主に中型・大型)
車体
駆動に必要な装備を取り付けたフレームと運転のための装置を設けたキャブ(運転室)があり、発注者の要望に応じて要求される形状の荷台が取り付けられる。場合によってはリフトや起重機などが取り付けられることがある。
エンジンがキャブの下にあるためエンジン点検時はキャブが前に倒れる構造になっている。長距離輸送目的の大型トラックでは運転席の後ろに仮眠のための寝床がある。
ただし、トラックは貨物車でありレジャー目的の自動車ではないので、布団などは自分で用意する必要がある。
かつてはキャブがエンジン後方にあるボンネットトラックも存在したが、全長が伸び、取り回しが不自由なことから現在は国内外共に前軸上にキャビンが存在するキャブオーバーが主流である。
トラックは、その用途ゆえ懸架装置(サスペンション)が固く作られているため空車時は乗り心地が悪い。そのため最近はキャブにも懸架装置が取り付けられていることがある。
また最近は、精密機器輸送のために空気ばね(エアサスペンション)を採用しているものもある。
駆動形態
駆動形式は殆どフロントエンジン・リヤドライブ(FR)である。これは、貨物の積載により軸重バランスが変化することを嫌うため。悪路を走るものについては総輪駆動の場合もある(自衛隊向けトラックに多いが、一般向けもある)。
制動装置
摩擦ブレーキとしてドラムブレーキの採用が多い。これは、ドラムブレーキはその構造上自己倍力作用が働くことと、ブレーキシューとの摩擦面積が大きく取れるためである。
ただ、ドラムブレーキは連続使用による熱に弱いが、摩擦ブレーキ以外の減速手段が多く、長い制動操作時は一般的に摩擦ブレーキをあまり使用しないので、ブレーキの制動力の強さを採っている。
前述のとおり、トラックでは摩擦ブレーキのみに頼ることは一般的な車に増して危険なので一般車でも用いられるエンジンブレーキに加え、排気管を弁で邪魔することによって排気抵抗を増やして減速する排気ブレーキや、エンジンの圧縮行程を行った後燃焼行程を行わずに排気し、圧縮損失のみを利用する圧縮開放ブレーキ、流体をかき回す抵抗や磁石を金属の近くで動かした際に生ずる金属の渦電流損失を利用するリターダなど摩擦ブレーキ以外の制動装置も一緒に装備されている。
貨物自動車における自動変速化
中型・大型の場合、後述する構造や変速機の発展の歴史からAMTといわれたり、セミATといわれたりと分類がとてもカオスな事になっているが、ここでは自動クラッチ・自動変速を行うものはオートマチックと分類して説明する。
近年、小型トラック以外に中型、大型にもオートマチック車がラインナップに現れるようになった。
ただし、基本的にマニュアルトランスミッションのギアとクラッチを、電子制御で自動的に操作するように作られていることが多い。また、プラットホームに寄せるときなど微速で動かすために、オートマチック車でありながらもクラッチペダルがある車種もある。中型車でも車体があまり大きくないものでは流体クラッチと摩擦クラッチを併用してクリープ現象を起こすようにしつつ伝達効率を低下させないようにすることもある。
ベテランドライバーとオートマチックトランスミッションの変速タイミングが違っていてドライバーが違和感を感ずることやトランスミッションのシフトスケジュールでは都合が悪いことがあるので、大抵マニュアルモード付きになっている。また、積載量が多いときや急坂の登坂では普段のクラッチ自動接続タイミングではエンストするなど都合が悪いことがあるので、運転席のダイアルでクラッチ接続までのタイミングを調整できるようになっていることがよくある。
また、中型や大型のオートマチック車は軽トラや小型トラック、乗用車のオートマチック車にあるパーキングレンジ(P)が存在しないことが多い。
ダムの工事現場や露天掘りの鉱山などで働いている巨大なダンプトラック(オフロードダンプトラック)などになると、もはや変速機自体が巨大なものとなってしまうため、エンジンで発電してモーターで駆動する方式が普通である(一部のものは変速機を積んでいることがある)。
ちなみに、三菱ふそうのキャンターは今回のモデルチェンジでDCT(デュアルクラッチトランスミッション)というマニュアルトランスミッションに似た構造のオートマチックトランスミッションを採用した。この車種ではクリープ現象を再現するために湿式多板クラッチをつかい、微速走行時は常に半クラッチ状態にし、速度が乗ってきたらクラッチをつなぐという制御を行っている。
燃費対策
これは、ハイブリッドであることの利点である回生ブレーキや発進・加速時の補助動力によるエンジン出力アシストの恩恵よりもハイブリッドであるが故の複雑化や車重増加の欠点が大きいため。
特に長距離輸送ではハイブリッドシステムの出番は殆ど無い。代わりにエンジンの熱効率向上や変速機制御の最適化、また停車時のアイドルストップといった車重を増やさない方向の改良がなされている。
逆に、小型トラックでは街中の走行が多いため、加減速が多く、回生ブレーキや出力アシストの恩恵が得られる。なので小型トラックのラインナップには大抵ハイブリッド車がある。
メーカー・車種
軽トラックの車種については軽トラの項目を参照のこと。
日本車
三菱(三菱自動車/三菱ふそうトラック・バス)
デリカ キャンター ファイター スーパーグレート ザ・グレート
いすゞ
UDトラックス(旧:日産ディーゼル)/日産
日野/トヨタ/ダイハツ
タウンエース/ライトエース/グランマックス デュトロ/ダイナ レンジャー プロフィア