概要
忍城(現在の埼玉県行田市)城主・成田氏長の長女で、東国随一の美女と言われ、兵法・武芸に秀でた姫君とされる。
彼女の祖母は近在でもその豪勇ぶりで知られた由良輝子(妙印尼)で、その娘である彼女の母親も輝子の腕っ節を受け継いでいたという。氏長も甲斐姫の母を娶った理由が「美人で剛腕だったから」と、皆目見当のつかないものであったりする。(氏長と彼女は甲斐姫が2歳のときに離縁し、甲斐姫は氏長のもとに引き取られた。のちに氏長は後妻(継母)として、猛将として知られた太田資正の娘を迎えている)
兎にも角にも、そんな豪勇の母を持って育ったためか、甲斐姫自身ものちに語り継がれるほどの戦乙女として成長していく。
天正18年(1590年)の豊臣秀吉の小田原攻めの際、甲斐姫の父・氏長と主な軍勢は本城である小田原城に入っており、忍城にはわずかな兵と城下の民達の数千人が籠城。
6月、石田三成率いる軍勢が侵攻し、水攻めをしようするも、事故で決壊し、城攻めは難航した。
そして、城門が真田昌幸・信繁率いる敵軍に突破されそうになった際、甲斐姫は自ら甲冑を着け出陣して奮戦し、敵の侵攻を食い止めた。
7月5日、本城・小田原城が秀吉に降伏し、開城。そのことを知らない忍城はその後も籠城を続けたが、15日頃になって父・氏長から降伏の指示を受け、甲斐姫達は開城した。
甲斐姫は蒲生氏郷に預けられ、彼女の武勇を知った秀吉が側室にした。
父は姫の口添えで領地を得ることができた。
また蒲生氏に身を寄せていたときに、次のような話がある。
蒲生氏に下って福井城を預かるようになった成田氏だったが、同じ時期に氏郷が上方から召し抱えた浜田将監と浜田十左衛門の兄弟が、伊達政宗の進攻に備えて氏長が福井城を留守にした隙を突いて城を乗っ取り、さらに彼の妻(甲斐姫の継母)を殺害してしまう。
この乱行に怒った甲斐姫は、わずか数十人の手勢を率いて200人以上の戦力を有する浜田兄弟と激突。最初は数に押されるも、「主に刃向かうは逆賊の非人である。忠義のためなら命を惜しまない関東武士の手並みを見るがいい」と豪語して攻勢に出る。
その勢いにひるんだ弟・十左衛門を手ずからその首を討ち取り、さらに一報を聞いた氏長と氏郷の連合軍で城を包囲。兄・将監に一騎打ちで勝ち、生け捕りにしてみせた。将監は磔ののち打首に処せられたという。
彼女の実在性を疑問視もされているが、戦国の戦乙女として人気は高い。
登場作品による甲斐姫
戦国無双シリーズ(+α)
戦国最強乙女、行きますっ!!
(CV:鈴木真仁)
戦国無双2では護衛武将として登場し、シリーズ3作目『戦国無双3』から無双武将として登場。
北条家臣・成田氏長の娘で、作中では北条家当主・北条氏康の家臣のように描かれている(但し、氏康には「成田の『せがれ』」と呼ばれ、その度に「『娘』です!!」と憤慨している)。常日頃から武芸を磨く戦姫だが、一方では「東国一の美女」と呼ばれる少女。
武器は「浪切」と銘打たれた蛇腹剣。ちなみに「浪切」とは実際に甲斐姫が振るったとされる日本刀の銘である。
鞭のように伸びる刀身で広範囲を薙いだり、敵を絡め取るといった蛇腹剣ならではの攻撃の他に
水攻めから城を守った背景をアレンジしてか、水柱を発生させたり「水」にまつわるアクションも多い。
勝気で男勝りな性格だが、年相応の女性らしい一面も持っている。
「くのいち」とは口喧嘩を繰り返しながらも、最終的には心を通わせる仲となる。
衣装は、北条軍のカラーである「赤」と「黒」を基調とした、非常に露出度の高いもの。
赤の軍装は、史実での甲斐姫が赤い着物を着て戦った逸話が背景となっている。
『4』では、氏康の娘である早川殿が登場し、彼女と共闘する場面が多いが、後に「北条家と早川殿を守るため」に西軍につき、大坂の陣では敵対する場面が描かれている。
また、「流浪演武」では菓子作りが得意な事が判明し、ぼたもちを愛してやまない立花誾千代に手作りのぼたもちを振舞っている(なお、調理中に「煮上がった小豆に、塩を大量にぶちこむ」という、一見すると怪しげな調理法をしているが、結果としては「塩が小豆の甘さを引き立てている」と誾千代に絶賛されている)。
『無双OROCHI2』では孫尚香と友情を築き、かぐやの事を「かぐちん」と呼び慕っている。
また、DLC配信のシナリオ・三方ヶ原遊山戦では、他者と関わりを持とうとしない王異に対し、「できる限り傍にいてあげたい」と語っている。
ゲーム中でアクションとして使われることはないが、必殺・熊殺しという技を持つ。要はチョークスリーパー(に近い表現がされている)。
卑弥呼との陣地会話では、これを使って男性を無理矢理手中に収めるなどと言ったとんでもない会話に発展した事もあった。
なお、異界でも美男子にときめく事があり、ネメアに対してうっとりする場面も見られた(「尻に見惚れた」という描写もあったりはするが…)。
カイヒメ
での初期ポケモンはバオップでベストリンクはダルマッカ(ヒヒダルマ)。
つまり、みずタイプと思いきや、全く正反対のほのおタイプだったのだ。赤い衣装から連想したのだろうか?
彼女だけに限らないが、髪の毛が爆発したり本編よりもコミカルな表情も見せる。
ブショー進化後は、髪飾りがヒヒダルマの眉毛っぽくなる。
『戦国大戦』シリーズ
Ver1.2より、北条家所属の武将として参戦。
スーパーレア版(参考画像左)と戦国大戦カードイラストコンテスト2で採用された戦国数寄版(参考画像右)がある。
更に、 Ver2.0でSS仕様として追加された3枚目の甲斐姫が存在する。
以下、Ver1.2におけるスーパーレア版、及び戦国数寄版について記述する。
スーパーレア(SR)仕様解説
コストは2で、女性武将としては高めの武力7、及第点の統率4に特技「気合」「魅力」を持つ優秀なスペックを備えた騎馬隊。「気合」を持った女性武将は彼女が最初となった。
計略「戦場の綺羅星」は武力・移動速度を上げると同時に、
突撃準備中の被ダメージを大幅に軽減する。
破壊力に乏しい一方で迎撃によるカウンターダメージも減らす為、
超絶強化計略の中でも防衛向きの特殊な存在。
「乱世を生きる女の覚悟、甘く見るな!」
戦国数寄(BSS)仕様(イラストコンテスト版)解説
スペックはコスト1.5、武力5/統率3の騎馬隊で、特技「魅力」を持つ。
SRの自身と比べるとコストが0.5下がった代わりに、武力が2、統率が1下がり、
特技「気合」が削除されている。
計略「戦場の双子星」は双陣系計略となっており、
甲斐姫のみ、及び甲斐姫を含めて3部隊以上だと、甲斐姫の武力が1しか上がらない。しかし甲斐姫を含めてちょうど2部隊だと甲斐姫の武力が4、対象となる部隊の武力が3上昇し、更に両者の移動速度を底上げする効果が追加される。
「ちょっと相手が悪かったようね
……ご愁傷様」
『のぼうの城』
演:榮倉奈々
本作のヒロインとして登場。
容姿の整ったで関東一円に名の知れた美少女であるとともに、近臣たちから「あれはやめておけ」と忠告が入るほどの武辺者。
性格は気の強いおてんば娘で、剛毅な坂東武者たちを気押すほどのエネルギーに溢れている。
オリジナルエピソードとして、忍城の城下で農民に無礼を働いた加勢侍(専門技術を持った一代限りの奉公人)を手ずから討ち取っている。その際に斬った首が刀を収めてから落ちたという凄まじい剣の腕前を披露している。
またこの事件の後処理を成田長親が自ら買って出た経緯から、長親に惚れている。
なお、本作では彼女の出陣シーンは存在していない。