いのちの糧は、戦場にある。
概要
「機動戦士ガンダムSEED」より続く毎日放送制作ホスト・TBS系列放映ガンダムの第6作。正式名称は機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズである。
「機動戦士ガンダム00」と同じく分割二期制を採用した作品であり、第一期は2015年10月4日から2016年3月27日まで、第二期は2016年10月2日から2017年4月2日まで、全50話がいずれも毎日放送ホスト・TBS系列の日5枠で放送された。
なお、日5枠は本作を最後に終了し、アニメ枠は新設されたアニメサタデー630に移動となった。
英語表記は「MOBILESUITGUNDAMIRONBLOODEDORPHANS」。通称は鉄血、オルフェンズ、鉄オル、前述の英語表記を略したIBOなどがある。
メディアミックスとして外伝作品も展開されており、「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ月鋼」がガンダムエース及びホビージャパンに於いて展開された。
また、本編放送終了後に「インターネットラジオステーション<音泉>」にて『鉄華団放送局』のタイトルで、三日月・オーガス役の河西健吾氏とクーデリア・藍那・バーンスタイン役の寺崎裕香氏によるWEBラジオが配信された。
2015年7月3日にティザーサイトがオープン。その後7月15日に行われた新作発表の場でタイトルを含めた詳細が発表された。
監督は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(あの花)」等で知られる長井龍雪。シリーズ構成は同じく、あの花を手がけた岡田麿里。
キャラクターデザイン原案は漫画家の伊藤悠が担当し、メカニックデザインは鷲尾直広、海老川兼武、寺岡賢司ら「機動戦士ガンダム00」のスタッフに加え、「ガンダムGのレコンギスタ」の形部一平、平成仮面ライダーなど東映特撮で有名な篠原保が名を連ねる。
本作はドラマ性を前面に押し出した作風を持ち、戦場しか生きる場所を知らない少年兵達の絆や挫折、成長の物語が展開される群像劇として描かれており、劇中に登場する組織やキャラクターの多さも特徴の一つとして挙げられる。
また、和名の人物の表記に漢字を用いたり、海洋用語や仏教用語を取り入れるなど、その世界観も独特な物になっている。
また歴代の中でもかなりのリアリティがあり、シリアスなストーリーの作品である。
本作に登場するモビルスーツはインナーフレームが組み込まれている事を前提にデザインされており、プラモデルシリーズに於いてもフレーム部分を機体の系列ごとに共通ランナーにする事でこれを再現している( 大型モデルである1/100シリーズでは内部フレームの完全再現を行っているが、1/144スケールのHGシリーズでも装甲とフレームが独立した構成を採っている )。
また、本作の「ガンダム」は過去の戦争で開発された「ガンダム・フレーム」と呼ばれる専用フレームをベースにした機体として位置づけられており、このフレームを組み込んだ機体はどのような外見であってもガンダムとして定義される。
なお、主人公の機体は正規の装備が使えず、経年劣化も見られる不完全な状態から始まり、放置されたパーツや敵の装備を奪うなどして段階的に強化を遂げていき、主人公と共に成長する機体として描かれる。その為本作はリアルロボット系アニメ定番の"主人公機の乗り換え"が無い。
戦闘ではこれまでのガンダムシリーズに登場したビーム兵器ではなく実弾や質量兵器をメインとした戦闘に重きが置かれており、またナノラミネートアーマーの設定から射撃武器では無く近接戦闘用の武器での戦闘描写が多く用いられる傾向がある。モビルスーツと人間との間に戦車に該当する機動兵器「モビルワーカー」を置く事でモビルスーツの強大さやスケール感を強調している。
ストーリー
かつて「厄祭戦」と呼ばれる大きな戦争があった。その戦争が終結してから、約300年。
地球圏はそれまでの統治機構を失い、新しい支配体系をもって新たな世界が構築されていた。仮初めの平和が訪れる一方で、地球から離れた火星圏では、新たな戦いの火種が生まれつつあった。
P.D.323年。
主人公の少年兵、三日月・オーガスが所属する民間警備会社クリュセ・ガード・セキュリティ( 以下:CGS )は、地球の一勢力の統治下にある火星都市クリュセを独立させようとする少女、クーデリア・藍那・バーンスタインの護衛任務を受ける。しかし、反乱の芽を摘み取ろうとする武力組織ギャラルホルンの襲撃を受けたCGSは、三日月ら子供達を囮にして撤退を始めてしまう。
少年達のリーダー、オルガ・イツカはこれを機に自分達を虐げてきた大人達に反旗を翻してクーデターを決意。オルガにギャラルホルンの撃退を託された三日月は、CGSの動力炉として使用されていた「厄祭戦」時代のモビルスーツ、ガンダム・バルバトスを用いて戦いに挑む。
( 公式サイトより )
主な登場人物
鉄華団/CGS参番組
ビスケット・グリフォン( CV:花江夏樹 )
ユージン・セブンスターク( CV:梅原裕一郎 )
ダンテ・モグロ( CV:濱野大輝 )
デクスター・キュラスター( CV:江越彬紀 )
ナディ・雪之丞・カッサパ( CV:斧アツシ )
メリビット・ステープルトン/ナレーション( CV:田中理恵 )
ラディーチェ・リロト( CV:深川和征 )
エンビ(CV:石上静香)
エルガー(CV:芳野由奈)
トロウ(CV:久保ユリカ)
ヒルメ(CV:大地葉)
ガット・ゼオ(CV:手塚ヒロミチ)
ディオス・ミンコ(CV:熊谷健太郎)
メイル(CV:小林裕介)
ラックス(CV:本橋大輔)
CGS
マルバ・アーケイ( CV:宝亀克寿 )
ハエダ・グンネル( CV:山口太郎 )
ササイ・ヤンカス( CV:野川雅史 )
クリュセ
クーデリア・藍那・バーンスタイン( CV:寺崎裕香 )
クッキー・グリフォン( CV:桑原由気 )
クラッカ・グリフォン( CV:千本木彩花 )
ハバ( CV:東内マリ子 )
ノーマン・バーンスタイン( CV:木下浩之 )
朋巳・バーンスタイン( CV:渡辺美佐 )
ククビータ・ウーグ( CV:斉藤貴美子 )
アリウム・ギョウジャン( CV:田中完 )
ギャラルホルン
マクギリス・ファリド/モンターク( CV:櫻井孝宏/藤原夏海 )
ガエリオ・ボードウィン/ヴィダール( CV:松風雅也/潘めぐみ )
オーリス・ステンジャ( CV:木島隆一 )
コーラル・コンラッド( CV:家中宏 )
イズナリオ・ファリド( CV:速水奨 )
ガルス・ボードウィン( CV:星野充昭 )
コーリス・ステンジャ( CV:木島隆一 )
アルミリア・ボードウィン( CV:加隈亜衣 )
ジュリエッタ・ジュリス( CV:M・A・O )
エレク・ファルク( CV:綿貫竜之介 )
ネモ・バクラザン( CV:佐々健太 )
新江・プロト( CV:相馬康一 )
テイワズ/タービンズ
マクマード・バリストン( CV:石塚運昇 )
ラフタ・フランクランド( CV:日笠陽子 )
ビルト・タービン( CV:芳野由奈 )
クロエ・タービン( CV:石上静香 )
エヴァ・タービン( CV:山村響 )
ジャスレイ・ドノミコルス( CV:竹内良太 )
ブルワーズ
ブルック・カバヤン( CV:武虎 )
夜明けの地平線団
サンドバル・ロイター( CV:楠大典 )
ドルトコロニー
サヴァラン・カヌーレ( CV:平川大輔 )
ナボナ・ミンゴ( CV:小形満 )
ソウ・カレ( CV:綿貫竜之介 )
ハジメ・ツジ( CV:相馬康一 )
アーヴラウ
アンリ・フリュウ( CV:沢海陽子 )
ラスカー・アレジ( CV:飛田展男 )
その他
秘書( CV:木村珠莉 )
オルクス( CV:乃村健次 )
登場メカニック
ガンダム・フレーム
ゲイレール・フレーム/グレイズ・フレーム
レギンレイズ・フレーム
テイワズ・フレーム/イオ・フレーム
ロディ・フレーム
ヴァルキュリア・フレーム
ヘキサ・フレーム
モビルワーカー
CGSモビルワーカー
鉄華団モビルワーカー
鉄華団モビルワーカー( 宇宙仕様 )
ギャラルホルンモビルワーカー
ユニオンモビルワーカー
HDモビルワーカー
アーヴラウモビルワーカー
SAUモビルワーカー
艦艇
ビスコー級クルーザー
ハーフビーク級戦艦
スキップジャック級大型戦艦
歳星
ハンマーヘッド
モビルアーマー
専門用語
- 厄祭戦
およそ300年前に終結した一大戦争。
この大戦によってそれまで地球圏に存在していた統治機構は解体され、その後形成されたアーブラウ、SAU、アフリカンユニオン、オセアニア連邦の4つの経済圏による拮抗状態によって仮初の平和が生み出され、またギャラルホルンによる治安維持も行われるようになった。
機械の自動化を推し進めた機械化思想が戦乱の発端であり、戦争の無人化と効率化の末に生み出された大型無人兵器モビルアーマーによる人類の虐殺が、人類対モビルアーマーという構図を作り出し、モビルアーマーに対するカウンターであるモビルスーツ、そしてそれを制御する為の阿頼耶識システムが生み出された。
大戦の影響は当時の文明を衰退させる程の被害を生み出し、特に月は荒廃する程に破壊され、その破片はラグランジュポイントに「ルナズドロップ」と呼ばれる小惑星群を形成している。
また、戦後はモビルアーマーに繋がる無人兵器の廃絶、機械化技術をタブー視する風潮がギャラルホルンによって築き上げられた。
- P.D.(ポスト・ディザスター)
この世界で用いられている暦号。厄祭戦終結の際にギャラルホルンによって制定された。
本編一期はP.D.323年、二期は325年の情勢を描いている。
現実世界よりも未来に位置するだけあり、同性婚の容認など、社会的に成熟している部分もあるのだが、それ以上に後述した宇宙移民差別・前述の機械化手術を受けた人間への差別など、「新しい差別」と呼ぶべき問題が深刻化しており、明るい未来とは呼び難くなっている(もっとも、いい大人でも同性愛に対する偏見を口にしてしまうこともあるあたり、ある程度マイノリティな扱いであることには、依然として変わりないらしい)。
- モビルスーツ
頭頂高18m前後の人型機動兵器。高密度レアアロイ製のインナー・フレームに装甲や武装を組み付ける事で構成される。
エイハブ・リアクターやナノラミネートアーマーといった高等技術を搭載し、数ある兵器の中でもとりわけ強力な存在として君臨しているが、一方で動力炉であるエイハブ・リアクターの製造技術がギャラルホルンによって独占されている為、兵器としては広く普及しておらず、新規に機体を開発出来るのもギャラルホルンに限られているが、一部の勢力や武装組織などではその有用性が再認識されつつあり、厄祭戦時代の機体をサルベージして再運用する動きも目立ちつつある。
フレームやリアクターは百年単位の時間を経ても殆ど劣化する事が無く、製造当時の技術力の高さが窺える。損傷が軽微な機体であれば十分なメンテナンスを行う事で短期間の内に実戦投入可能な程。
加えて基本フレームや装甲、インターフェイスなどの規格はある程度共通化されており、他陣営の装備・パーツを容易に流用出来る汎用性を持つ。300年前の機体であるガンダム・バルバトスにも現用機の装備をある程度融通させる事が出来ている事から、規格そのものは当時から殆ど変化していないことが窺える。
- ガンダム・フレーム
厄祭戦時に開発されたモビルスーツ用インナー・フレーム。
詳細はガンダム・フレームの項目を参照。
- モビルワーカー
厄祭戦後、モビルスーツという兵器が希少化する中で各勢力で幅広く運用されている車両型機動兵器。
エイハブ・リアクターではなく水素エンジンで駆動する為、戦闘能力ではモビルスーツに遠く及ばないものの、モビルスーツよりも安価で数が揃えやすいという利点がある。
平地や宇宙空間ではモビルスーツに太刀打ち出来ないが、エイハブ・リアクターの持ち込みが制限されている市街地ではモビルワーカーが戦力の中心として使用される。
CGSの運用する機体は性能や武装面のスペックで他勢力の機体に劣るが、パーツの換装によって宇宙/地上双方での運用や、運搬用キャリアとしての利用が可能。
- モビルアーマー
厄祭戦を引き起こした大型自律無人兵器。無人化が進む戦争で効率化を求めるあまり、後発の兵器であるモビルスーツをも上回る機体サイズと、地形すらも変える程の戦闘力を持つに至った。
「人を殺す」事をコンセプトとしており、人口密集地を優先的に攻撃するようプログラムされている。300年前に大量に実戦に投入され、当時の人口の四分の一を消し去った。
随伴機としてモビルワーカーに似た機動兵器「プルーマ」を制御下に置いており、これによる物量戦の展開が可能。また、プルーマにはモビルアーマー本体の修理・補給能力を持ち、モビルアーマーもプルーマを生産する為のプラントとして機能する為、長期間の戦闘を継続する事が出来る。
モビルスーツは本来このモビルアーマーに対抗する為に開発された物であり、ギャラルホルン首脳部であるセブンスターズの席次も当時のモビルアーマーの討伐数によって決められている。
- エイハブ・リアクター
厄祭戦以前にエイハブ・バーラエナが開発した相転移炉。モビルスーツや宇宙艦艇、基地施設などの動力として幅広く利用されている。
炉心内の真空素子が相転移する際に発生するエイハブ粒子によって慣性制御が可能となっており、モビルスーツの高機動戦闘時におけるGの緩和や戦艦の重力制御に利用され、ナノラミネートアーマーと共にモビルスーツに高い戦闘能力を付与する一因となっている。
モビルスーツ用の物であっても基地設備の電力をまかなえる程の高出力を発揮する一方で、稼働中は通信障害を伴う「エイハブ・ウェーブ」と呼ばれる磁気嵐が発生する。
製造されたリアクターは全てワンオフ品であり、同型のモビルスーツに搭載されているリアクターであってもエイハブ・ウェーブの波形が異なる為、これによって個体を判別する事が可能。
物理的に破壊する事は不可能であり、またリアクターの耐用年数も極めて長い。
製造は太陽などの恒星にプラントを建造して行われているが、戦後その製造技術はギャラルホルンによって独占されており、テイワズなどの勢力は戦場跡から発掘した物を転用している。しかし、稼働しているリアクターをサルベージするには、同じくリアクターから発生した重力によって形成された暗礁宙域を探索する必要があるなど、危険が伴う。
- エイハブ粒子
エイハブ・リアクター内で生成される重力因子を持った粒子。
リアクター内の真空素子が相転移する際、エネルギーと共に発生するが、存在時間が極めて短く、発生から100万分の1秒にも満たない時間で崩壊し、エイハブ・ウェーブを伴いながらニュートリノやミュー粒子などの素粒子に変化する。
粒子によって発生する重力はリアクターの出力によって増減し、大型リアクターを搭載した宇宙船はリアクター内部のリキッドメタルを艦内に循環させる事で指向性を持った微小重力を制御し、艦内に擬似重力を発生させている。
粒子崩壊に伴い発生する素粒子を推進力として利用する「エイハブ・スラスター」も開発されており、一般的な熱相転移スラスターと比較して出力で劣る一方、推進剤の充填が必要無い分エネルギー効率に優れる。
また、粒子を圧縮する事でナノラミネートアーマーを分解する「γナノラミネート反応」を発生させる事も出来るが、エイハブ粒子の安定した圧縮は厄祭戦当時の技術であっても困難を極めた。
- エイハブ・ウェーブ
エイハブ粒子が時間崩壊を起こした際に発生する無数の素粒子が周囲に飛散する事で引き起こされる磁気嵐。その影響は最大で半径数十キロメートルにも及ぶ。
エイハブ・ウェーブ影響下では電波障害が発生し、LCSを除く無線通信やレーダー機器の使用が困難となる為、HMDを使用する戦闘機や精密誘導機器は使用不可能。その為、戦闘では有視界距離に於けるモビルスーツによる白兵戦が主流となる。
電波障害によるライフラインの停止の危険もある為、エイハブ・リアクターの市街地への持ち込みは禁止されており、宇宙空間に於いてもコクーンを利用しなければ長距離の通信は不可能。また、艦船がエイハブ・リアクターを動力源としている為、スペースコロニーでは有線による通信手段が確立されている。
なお、エイハブ・ウェーブは発生源から超高速で飛来し続ける物である為、発生源となるリアクターが停止すれば僅かな時間で観測されなくなる。
- ナノラミネートアーマー
エイハブ・リアクターから発せられるエイハブ・ウェーブの波形に反応し、外部からの衝撃に適した積層分子配列を形成する特殊金属塗料を利用した塗膜型の装甲。モビルスーツや戦艦の表面に蒸着する形で利用される。
モビルスーツのカラーリングもこの塗料によって決定され、また色によって塗料の価格も異なる( 最も安価なものは白色。高価な色は紫となっているが、価格の差は戦場での被視認性の差であり、価格による防御性能の差は殆ど無い )。
瞬間的な衝撃に対して極めて高い耐性を有する為、射撃兵装では致命傷を与えるのは難しく、ビーム兵器による攻撃も塗料の鏡面効果によって拡散・反射させる。
その一方で衝撃の持続時間が( 銃火器と比較して相対的にではあるが )長い質量を用いた打撃=格闘戦闘は有効であり、また長時間高熱にさらされた場合は塗膜自体が融解するため、モビルスーツ同士の戦闘では打撃武器による格闘戦が、対艦戦に於いてはナパームによる熱攻撃が展開される事が多い。
高い防御力を誇る一方で射撃兵装の攻撃であっても被弾し続ければ塗膜の剥離によって防御力は低下していき、特に高熱に晒されるスラスター周辺はナノラミネートアーマーの消耗が激しい。
また、エイハブ・ウェーブに反応して硬化する性質上、エイハブ・リアクターが停止した状態ではその恩恵を受ける事はできない。
- 阿頼耶識( アラヤシキ )システム
ナノマシンを利用した旧世代の生体接続式有機マン・マシン・インターフェイス。
詳細は阿頼耶識システムの項目を参照。
- ダインスレイヴ
モビルスーツの構造材にも使用されているレアアロイで製錬された特殊弾丸を電磁誘導で撃ち出すレールガン。
テラフォーミングされた火星の大気圏外から地表に居るMSを狙い撃つことが出来るほど優れた精度と超射程を持っている。
射撃兵装でありながらナノラミネートアーマーの防御を突破する事が出来る強力な兵器である為、厄祭戦後は人道的観点からギャラルホルンによって運用に制限を儲けられている。
ただしダインスレイヴ本体はあくまで強力なレールガンでしかなく、通常弾頭の発射母体としての使用に関しては明確に違反行為とは規定されていないようである。
禁止兵器として扱われているが、既に製造されていたダインスレイヴや特殊弾丸・制作に必要な設計図等のデータの全てが破棄されたわけではなく、ギャラルホルン自体は使用可能な状態のダインスレイヴや特殊弾丸を相当数保有しており、発掘された厄災戦時代のMSに残されていたデータを利用して特殊弾丸が制作された例もある。
- ハーフメタル
火星圏などで産出されるレアメタル。
エイハブ・ウェーブの干渉を受ける事が無い性質から主にエイハブ・リアクターの影響下に置かれる電子機器に用いられる( 逆にエイハブ・リアクターを搭載した兵器がこの鉱脈に落着した場合、その存在を感知する事は出来なくなる )。
ハーフメタルの採掘は火星の基幹産業だが、その採掘・貿易に関する権利は地球経済圏によって独占されており、クーデリアはこの自由化を掲げ、それに伴う火星圏の経済的自立を目的としている。
- アリアドネ
エイハブ・ウェーブの影響下で惑星間航行を可能とする管制システム及び、その中継器によって形成される航宙路の総称。
エイハブ・リアクターを搭載した「コクーン」と呼ばれる自律型の宇宙灯台を、約100万キロ間隔で配置し、それらを辿る事で航路を形成する。
コクーンは常に特定波形のエイハブ・ウェーブを発生させており、航行する船舶はその反応を感知する事でコクーンの位置を特定する事が出来る。同時に、コクーン同士も隣り合うコクーンの位置をエイハブ・ウェーブで常に感知する事で座標を把握しており、何らかの原因で座標にずれが生じた場合は搭載されたエイハブ・スラスターにより自動で指定座標に復帰する。
コクーンは通信を中継する為のアンテナとしても機能し、これを介する事で離れた場所に連絡を送る事が出来るが、その性質上地球と圏外圏の間でスムーズに情報を共有出来ない( 地球-火星間で約15分~20分のタイムラグがある )欠点を持つ。
厄祭戦以前に設置された物であり、戦後はギャラルホルンによって管理されているが、一方で「曰く付きの荷物」を運ぶ必要のある非合法な商船はアリアドネの外周ルートや戦時中に放棄された管理外コクーンを経由する「裏ルート」を形成しており、そこを狙った海賊行為も横行している。
- LCS
LaserCommunicationSystem。エイハブ・ウェーブの影響を受けにくい短距離レーザー通信システム。アリアドネもこのシステムを使用してネットワークを形成している。
可視光に波長が近い光を利用しており、その有効半径は百万キロにも及ぶが、通信対象との間に遮蔽物がある場合は通信が阻害される欠点を持つ。
端的に言えば光通信による糸電話のようなものであり、中継器を利用すれば長距離の通信が可能となる。戦闘では通信を中継するドローンを展開し、障害物を跨いだ通信を行う事が常套手段となっている。
- ナノミラーチャフ
ナノラミネートアーマーに使用される粉末状の素材を利用したチャフ。LCSによる通信や光学探知を阻害するが、最大出力のLCSまでは妨害する事は出来ず、チャフ自体もナパームによって容易に焼却出来る為、実戦向けの装備ではないとされている。
- 鉄華団
火星の民間警備会社「クリュセ・ガード・セキュリティ( CGS )」の参番組に所属する少年兵オルガ・イツカを中心に結成した武装組織。
詳細は鉄華団の項目を参照。
- 圏外圏
地球圏外の人類生存圏。火星や木星圏などが該当する。
エイハブ・リアクターが発するエイハブ・ウェーブの影響によって、圏外圏と地球圏の間でスムーズな情報交換が行えず、ギャラルホルン本部による監視の目が届きにくい事もあって治安が安定せず社会問題の温床となっている。また、ギャラルホルン以外でモビルスーツを保有する組織も複数存在している。
地球圏と比較してサイバネティック技術に対する嫌悪感は薄く、また阿頼耶識システムを用いる組織も少なからず存在する。
- 火星
太陽系第四惑星。
テラフォーミングの成功により大気圏が形成され、地球と同程度の環境が整えられている。
戦後開催されたマルタ会議によって制定された条約により、地球の四大勢力による分割統治が行われている。また、その際に交わされたEM経済協定( 経済支援を盾にした実質的な産業製品の独占 )を背景に搾取と圧政が敷かれ、支配層以外の一般住民は細々とした生活を強いられるようになった。その結果、現在は基幹産業であるハーフメタル以外は資源の枯渇に直面しており、一部からは「出涸らし」とも揶揄される。
格差と圧政の反動から各地では独立運動が活発化しており、治安は良いとは言えず、またこの貧困は人身売買やストリートチルドレン、少年兵、識字率の低下といった社会問題を生み出している。
- クリュセ
火星に在る独立自治都市。代表首相はノーマン・バーンスタイン。
CGSもこの都市に属する民間警備会社である。
地球のロシア一帯に領土を持つアーブラウの統治下にあるが、EM経済協定に起因する一方的な搾取を背景に、地球からの分離・独立の機運が高く、クーデリア・藍那・バーンスタインも代表首相の娘という立場にありながらクリュセ独立運動に携わっている。
- ヒューマンデブリ
地球の支配体制によって生まれた人身売買されている孤児たちの総称。
詳細はヒューマンデブリの項目を参照。
- ギャラルホルン
地球を統治する各国連合の総意を受けて設立された軍事組織。
詳細はギャラルホルンの項目を参照。
- セブンスターズ
ギャラルホルンを束ねる7つの家門。
過去に厄祭戦を終結へと導いたギャラルホルン創始者達の末裔であり、イシュー家を第一席としてファリド、ボードウィン、エリオン、クジャン、バクラザン、ファルクの七家が名を連ねる。
その席次は厄災戦当時にモビルアーマー撃墜によって授与されていた「七星勲章」の数で決定されており、モビルアーマー全てが駆逐されたとされる戦後は一切席次が変わる事はなく固定されていた。
- 地球外縁軌道統制統合艦隊
カルタ・イシュー率いるギャラルホルンの地球低軌道直掩艦隊。
詳細は地球外縁軌道統制統合艦隊の項目を参照。
- 月外縁軌道統合艦隊アリアンロッド
地球圏外からの外敵の侵攻を阻止する目的で設立されたギャラルホルン最大規模の宇宙艦隊。
詳細は月外縁軌道統合艦隊アリアンロッドの項目を参照。
- テイワズ
木星圏を中心に小惑星帯の開発や運送を担う企業複合体。
詳細はテイワズの項目を参照。
- タービンズ
テイワズの輸送部門を担当する下部組織。
詳細はタービンズの項目を参照。
- ブルワーズ
地球-火星間航路で暗躍する名の知れた宇宙海賊。
詳細はブルワーズの項目を参照。
- ドルトカンパニー
アフリカンユニオンの公営企業。スペースコロニー群「ドルトコロニー」を保有する程の規模を誇る。
地球圏を拠点とする企業である為、経営陣はほぼ地球出身者によって独占されており、経営陣と労働組合との格差は圏外圏とほぼ遜色無く、両者の間に軋轢を生んでいる。
ドルトコロニーは地球から約150万キロメートル離れたL7宙域に位置し、地球-コロニー間の移動はおよそ2~3日程。全長60キロメートル、直系10キロメートルの工業コロニー8基からなるコロニー群となる。
- モンターク商会
仮面の人物、モンタークことマクギリス・ファリドが代表を務める地球圏の企業。
企業としての歴史は古く、100年以上続く老舗として知られている。
地球圏に辿り着いた鉄華団と協力関係を築き、以降はマクギリスが鉄華団と接触する為の窓口としての役割を担う。
- アドモス商会
アーヴラウ代表使命選挙の後、クーデリアが設立した企業。
アーヴラウ統治下の植民地でハーフメタルの採掘・一次加工を取りまとめ、火星の経済的独立及び未就労者への雇用提供を行う。
また、鉄華団とも提携しており、孤児院や学校の設立・経営にも乗り出している他、金銭の取扱いに疎い一部の鉄華団団員の銀行口座を預かる場としても機能している。
- 夜明けの地平線団
火星-地球間航路を住処とし、艦艇10隻、構成員3000人以上を抱え込む大規模な海賊組織。団長はサンドバル・ロイター。
戦力としてモビルワーカーはもちろん、ユーゴーやガルム・ロディといった複数のモビルスーツも保有する。モビルスーツパイロットは一部ヒューマン・デブリによって賄われているが、パイロットの大半をヒューマン・デブリに頼っていたブルワーズとは違い、パイロットには正規の団員も多い。
テイワズの商船やギャラルホルンの艦に対しても容赦無く攻撃を行うが、一方で蛮行を行うのみならず、緻密な策で敵を翻弄するなど策略にも長ける為、各方面から危険視されている。
- ヘパイストス
月のラグランジュポイントを拠点とする企業。
夜明けの地平線団が使用するモビルスーツ用のマシンガンやロングライフルなどはここで設計・開発が行われている。
各話リスト
第一期
話数 | サブタイトル | 予告担当キャラ |
---|---|---|
CGS編 | ||
第一話 | 鉄と血と | アトラ・ミクスタ |
第二話 | バルバトス | クッキー&クラッカ |
第三話 | 散華 | ユージン・セブンスターク |
鉄血編 | ||
第四話 | 命の値段 | ビスケット・グリフォン |
第五話 | 赤い空の向こう | ノルバ・シノ |
第六話 | 彼等について | ナディ・雪之丞・カッサパ |
テイワズ編 | ||
第七話 | いさなとり | ラフタ・フランクランド |
第八話 | 寄り添うかたち | タカキ・ウノ |
第九話 | 盃 | 昭弘・アルトランド |
ブルワーズ編 | ||
第十話 | 明日からの手紙 | チャド・チャダーン |
第十一話 | ヒューマン・デブリ | クダル・カデル |
第十二話 | 暗礁 | 名瀬・タービン |
第十三話 | 葬送 | ライド・マッス |
コロニー編 | ||
第十四話 | 希望を運ぶ船 | 仮面の男 |
第十五話 | 足跡のゆくえ | フミタン・アドモス |
第十六話 | フミタン・アドモス | アイン・ダルトン |
第十七話 | クーデリアの決意 | ヤマギ・ギルマトン |
地球降下編 | ||
第十八話 | 声 | ダンテ・モグロ |
第十九話 | 願いの重力 | アジー・グルミン |
第二十話 | 相棒 | カルタ・イシュー |
第二十一話 | 還るべき場所 | ガエリオ・ボードウィン |
地球編 | ||
第二十二話 | まだ還れない | オルガ・イツカ |
第二十三話 | 最後の嘘 | 三日月・オーガス |
第二十四話 | 未来の報酬 | クーデリア・藍那・バーンスタイン |
第二十五話 | 鉄華団 | - |
第二期
話数 | サブタイトル | 予告担当キャラ |
---|---|---|
第二十六話 | 新しい血 | アトラ・ミクスタ |
第二十七話 | 嫉心の渦中で | イオク・クジャン |
第二十八話 | 夜明け前の戦い | ザック・ロウ |
第二十九話 | 出世の引き金 | タカキ・ウノ |
第三十話 | アーブラウ防衛軍発足式典 | ガラン・モッサ |
第三十一話 | 無音の戦争 | 昭弘・アルトランド |
第三十二話 | 友よ | ジュリエッタ・ジュリス |
第三十三話 | 火星の王 | チャド・チャダーン |
第三十四話 | ヴィダール立つ | ヤマギ・ギルマトン |
第三十五話 | 目覚めし厄祭 | ライド・マッス |
第三十六話 | 穢れた羽 | ノルバ・シノ |
第三十七話 | クリュセ防衛戦 | マクマード・バリストン |
第三十八話 | 天使を狩る者 | アミダ・アルカ |
第三十九話 | 助言 | 名瀬・タービン |
第四十話 | 燃ゆる太陽に照らされて | ラフタ・フランクランド |
第四十一話 | 人として当たり前の | ジャスレイ・ドノミコルス |
第四十二話 | 落とし前 | ヴィダール |
第四十三話 | たどりついた真意 | 石動・カミーチェ |
第四十四話 | 魂を手にした男 | ユージン・セブンスターク |
第四十五話 | これが最後なら | ラスタル・エリオン |
第四十六話 | 誰が為 | マクギリス・ファリド |
第四十七話 | 生け贄 | オルガ・イツカ |
第四十八話 | 約束 | 三日月・オーガス |
第四十九話 | マクギリス・ファリド | クーデリア・藍那・バーンスタイン |
第五十話 | 彼らの居場所 | - |
スタッフ
企画 | サンライズ |
---|---|
原作 | 矢立肇・富野由悠季 |
監督 | 長井龍雪 |
シリーズ構成 | 岡田麿里 |
キャラクターデザイン原案 | 伊藤悠 |
キャラクターデザイン | 千葉道徳 |
メカデザイン | 鷲尾直広・海老川兼武・形部一平・寺岡賢司・篠原保 |
美術 | 草薙 |
音楽 | 横山克 |
音響監督 | 明田川仁 |
企画協力 | バンダイホビー事業部 |
制作 | MBS・サンライズ |
主題歌
オープニングテーマ
Raiseyourflag(第2話~第13話)※第1話のみED
作詞:KamikazeBoy、Jean-KenJohnny
作曲:KamikazeBoy
編曲・歌:MANWITHAMISSION
Survivor(第14話~第25話)
作詞・作曲:田邊駿一
歌:BLUEENCOUNT
RAGEOFDUST
(第27話~第38話)※第26話のみED
作詞:MOMIKEN
作曲:UZ
編曲:UZ、KohsukeOshima
歌:SPYAIR
Fighter
( 第39話~第50話 )
作詞・作曲:谷口鮪
編曲・歌:KANA-BOON
エンディングテーマ
(第2話~第13話,第21話)
作曲・編曲:鷺巣詩郎
作詞・歌:MISIA
STEEL-鉄血の絆-
(第14話~第18話,第20話,第22話~第25話)
作詞:唐沢美帆
作曲・編曲:宮崎誠
歌:TRUE
戦火の灯火
(第19話)
作詞・作曲:黒うさP
編曲:倉内達矢
歌:鈴華ゆう子
少年の果て
(第27話~第38話)
作詞:谷山紀章
作曲・編曲:飯塚昌明
フリージア
(第39話~第50話)
作曲:岩見直明
編曲:トオミヨウ
作詞・歌:Uru
関連イラスト
外部リンク
『鉄血の情報局』 |V-STORAGEonline×機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ
『鉄華団放送局』 |インターネットラジオステーション<音泉>
関連項目
シリーズ
ガンダムGのレコンギスタ/ガンダムビルドファイターズトライ←機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ(一期)→機動戦士ガンダムユニコーンRE:0096→機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ(二期)→機動戦士ガンダムTwilightAXIS