概要
4機の旅客機(アメリカン航空11便、ユナイテッド航空175便、アメリカン航空77便、ユナイテッド航空93便)がほぼ同時にハイジャックされ、自爆テロに用いられたテロ事件。
アメリカン航空11便とユナイテッド航空175便がニューヨークのワールドトレードセンター(WTC)、アメリカン航空77便がワシントンD.C.の国防総省ペンタゴンに追突。ユナイテッド航空93便は標的に到達出来ず、ピッツバーグ近郊に墜落した。
・犯行内容は以下の通り。
1. 離陸した旅客機のコックピットに当時持ち込みが許された小型の刃物を片手に乱入し、パイロットを襲いハイジャックする。
2. その間に乗員乗客に爆弾(偽物だったとも)を見せて大人しくさせ、後部に追いやる。
3. パイロット養成所で訓練を受けた操縦役が奪い取った操縦桿を握り、共犯者達が操縦役の守護と乗客乗員の監視(必要とあらば刺傷)を行う。
4. 旅客機で目標に突入し破壊する。
アメリカ本土が大規模な攻撃を受けたのは旧日本軍による真珠湾攻撃以来の出来事であり、アメリカ国民のみならず世界中に衝撃を与えた。しかも正規軍相手でなく、少数のゲリラによるテロ攻撃によって象徴的な建造物複数の完全倒壊と記録的な死者を出すという、史上未曽有の事態であった。
事件はアメリカが標榜した「テロとの戦い」の名のもとに「アフガニスタン侵攻」や「イラク戦争」の引き金となった。中東情勢の不安定化や対テロ戦争が泥沼化したことにより、ソ連崩壊から続いてきたアメリカの一極支配が弱まるきっかけとなった。
事件の影響
自爆兵器として用いられた場合の航空機の恐るべき威力が明らかとなった事件であり、現代の念入りな手荷物検査や堅牢なコックピットのドアなど、数々の安全対策はこの事件をきっかけとするものも多い。
また一時期世界中で航空機に対する不信感が増加し、航空業界が経営面で大打撃を受けることとなる。逆に自動車需要は急増したわけだが、交通量の増加に比例して交通事故の死傷者も増加している。この件は航空機の安全性の証明としてしばしば用いられる。
世界最大の兵力を持ちながらテロを未然に阻止できなかったことで米国がモットーとしてきた「強い」「大きい」「正義」というものが揺らぐこととなり、冷戦下より続いてきた全面核戦争・総力戦という思想の時代の終焉でもあったといえる。
実行犯
実行犯は、メンバーの多くが世界各地に散らばり、過去にも幾度かの反米テロを起こしているウサマ・ビンラディン率いるイスラム教原理主義組織「アルカイダ」のメンバー19名とされている。
ハイジャックされた旅客機:
ボーイング767のアメリカン航空11便
目標:
ワールドトレードセンターの北棟
操縦役:
モハメド・アタ
共犯者:
- アブドロアジズ・アルオマリ
- ワリド・アルシェフリ
- ワイル・アルシェフリ
- サダム・アルスカミ
結果:
目標に激突
ハイジャックされた旅客機:
ボーイング767のユナイテッド航空175便
目標:
ワールドトレードセンターの南棟
操縦役:
マーワン・アルシェヒ
共犯者:
- ファイヤーズ・バニハンマド
- ムハンド・アルシャフリ
- ハムザ・アルガムディ
- アフマド・アルガムディ
結果:
目標に激突
ハイジャックされた旅客機:
ボーイング757のアメリカン航空77便
目標:
国防総省ペンタゴン
操縦役:
ヘイニー・ハンジュール
共犯者:
- ハリド・アルミンザル
- マージアド・ムカド
- ナワーフ・アルハーズミ
- サリーム・アルハーズミ
結果:
目標に突入
ハイジャックされた旅客機:
ボーイング757のユナイテッド航空93便
目標:
合衆国議会議事堂か大統領官邸ホワイトハウス(真偽は不明)
操縦役:
ズィアド・ジャッラー
共犯者:
- サイード・アルガムディ
- アフメド・アルナミ
- アフマド・アルハズナウィ
結果:
乗客と乗員の抵抗により目標に到達できず途中で墜落
余談
この手の事件が起きるとよく陰謀論が唱えられたりするが(実際、ここの記事も一時期陰謀論で埋まっていた)これらの説には科学的に説明できない点も多くあり、提唱者の個人的感情が含まれている場合もあり、また情報源などがはっきりしていない場合があるため鵜呑みにしてはいけないだろう。もっとも、公式発表でも当てにならない物はあるが…(例:第二次世界大戦中の大本営発表など)
都市伝説レベルの話としてアルカイダの逸話として、こんな話が伝わっている。
9.11ワールドトレードセンター(9・11テロ事件)の少し前にこんなエピソードがある。ある男性が日本に駐留していたアルカイダを名乗る人々にそれと知らずに道を聞かれ外国人だから、という理由で道案内をし、自販機で飲み物を買い与えた所その後に彼等の1人は笑顔で握手をしつつ彼にこう言った。
「9月11日にワールドトレードセンタービルに近寄ってはならない。日本人だからと言うのもあるが親切にしてくれた君にだから教えるのだ。これをなるべく多くの人々に知らせるんだ。我々への飲み物の提供と道案内に深く感謝する。」
しかし、最近ではISILとの関連が繋がっている事が明らかとなり、上述の「アフガニスタン侵攻」や「イラク戦争」だけでなく、テロや侵略などの出来事は、この事件が全ての始まりと言える。
よく言われる「WTCの倒壊の仕方がおかしい」という論だが、アメリカの超高層は壁全体で強度を支える構造になっていることから、不自然ではない。実はこの構造は、地震国の日本では禁止されている(日本はとにかく梁と柱で支える構造でなければならない)。日本で爆破解体が多用されないのは日本の高層ビルは爆破で破壊するのが困難だからというのが最大の理由である。
また航空機そのものがジュラルミン(鉄などと比べると意外と燃えやすい)でできていることや、突入した機体には大量の航空燃料が搭載されていた事を考えれば、加熱されて発火・超高温燃焼したことも不自然ではない。
どういう事かというと、燃料を多く積んでいればその重量分、衝突時の威力が増しそれ自体が構造へのダメージを増す。航空燃料で焼かれたために、耐熱素材ではないビルの骨組みや壁といった構造材が熱に耐えられず強度が激減してしまい、脆くなった構造材が建物自身の重量を支えきれなくなって崩れたのだ。
当時の映像を見ると倒壊というより「崩れ去る」という方が正確な潰れ方をしているが、これは内部を燃やされて強度を失ったからであり、爆破解体において行われる「計算して内側に崩す」「建物上部を槌のように落として崩す」に近い。
ちなみに鉄の溶融温度1500℃・アルミの燃焼温度約2500℃。
WTC崩壊後も火災は長期間にわたり続き、完全に鎮火したのは100日後であった。以下はテロ当日の日暮れ時に撮影された黒煙が立ち上るロウアー・マンハッタンの様子。
日本での反応
わずか10日前の9月1日に歌舞伎町ビル火災が発生しており、これが原因不明の未解決事件となっていることに加えて、前日から接近していた台風15号と16号や日本初の狂牛病報道で、そちらに尽力している最中であった。
日本は9月11日の22時を僅かに回ったところだった。
この頃、22時台はNHK『ニュース10』とテレビ朝日『ニュースステーション』がニュースワイドとして覇を争っていた。そして奇しくも、両者ともニューヨークからの生中継で放送を開始した。
ところが、民放であるニュースステーションはオープニングを終えてCMに入ってしまう。その直後に1機目が突入した。NHKニュース10はその瞬間を全国放送することになった。最初は純粋な事故と思われたが、生中継で状況を伝えている最中に2機目が突入。テロであることが判明し、NHKは全局(総合テレビ、教育テレビ(現Eテレ)、BS1、BS2(現BSプレミアム)、BS-Hi(現在は廃止)、ラジオ第1、ラジオ第2、FM)サイマル放送体勢に突入する。
在京キー局で一番切替が遅かったのはあそこだったのは言うまでもない。
ちなみに日本で彼等ムスリムは各地の日本の町中にモスクと墓地を作っており、それが各地で軋轢を生んでいる。しかしながら差別がほとんど無く戦争の不安の無い日本はある意味において彼等からはイスラム約束の安住の聖地と呼ばれていると言う。もちろん、この事件が元で日本に避難して来たムスリムも相当数に登る。その数、現時点でおよそ23万人。彼等は彼等で日本に永住し日本に骨を埋めるつもりで住んでいる。
もちろんアルカイダも決してこれを軽視してはおらず、それ故にイスラム約束の聖地日本へのテロ攻撃を強くイスラムの戒律によって禁じている。もっともこれは日本に住むイスラム教徒のヘイトを買わない為もあると考えられるだろう。
米エンターテイメントへの影響
事件後、ワールドトレードセンターを舞台にする予定だった映画やテロを彷彿とさせるシーンなどが脚本変更や製作中止といった影響を受けている。
- ワールドトレードセンターの窓ふきがテロリストと闘うという内容だったジャッキー・チェンの映画は制作中止となった。
- ワールドトレードセンターがクライマックスのバトルの舞台となる「メン・イン・ブラック2」の脚本は変更となった。
- 「オーシャンズ11」はホテルを爆破するシーンがあるため撮り直しとなった。
- アメコミヒーローの「スパイダーマン」は、実写映画が修正のため公開を延期した他、テロから2か月後の12月に9.11を題材にした物語が描かれ、テロを防げなかったことで市民から非難を浴び、無力な自身を戒めながら救助に向かっていた。
- 同じく「スーパーマン」は、現場で実際に闘っている消防士やレスキューを見上げて「すごい!」と感嘆する姿が描かれた。
- 当時カートゥーンネットワークで初回放送さていれた英語吹き替え版『機動戦士ガンダム』(ファーストガンダム)は、戦争や暴力的コンテンツを排除する方針から放送中止となっている。
関連タグ
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