概要
古い提灯がパカッと割れて、その割れた部分が口になり長い舌を飛び出して提灯の上部分には
一つ目あるいは二つの目が開いているのが一般的な姿である。
大変有名な妖怪である反面、具体的な伝承はほとんど残されておらず、山形県の昔話で、古びた提灯のある神社に提灯お化けが現れて人を脅かし、提灯を片付けるとお化けは現れなくなったと伝わっている程度である。妖怪漫画家・水木しげるの著書では、人を驚かしてその魂を吸い取るものとされているが、一次出典となる古典などの資料の名は挙げられていない。昭和・平成以降妖怪関連の書籍によっては、絵画上でのみ存在する妖怪として分類されている。民間伝承にある妖怪ではなく、子供向けに創作された妖怪とする説もある。
提灯の化けた付喪神(歳月を経た器物が化けた妖怪)との見方もあるが、伝承上においては提灯の妖怪は、器物としてよりもむしろ、送り提灯や提灯火のように怪火として伝わっていることの方が多い。
古典の妖怪画においては、葛飾北斎の『百物語』にある「お岩さん」や、歌川国芳の『神谷伊右エ門 於岩のばうこん』などが知られる。これは怪談『四谷怪談』において、四谷の女性・お岩が伊右衛門に殺され、そのお岩の霊が提灯に乗り移って怪異を現すという、歌舞伎の演出でも見られる「提灯お岩(ちょうちんおいわ)」を描いたものである。また鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にある不落不落は、石燕による解説文では狐火の妖怪とされているが、画図では提灯として描かれているために提灯お化けの一種だとする説もある