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ホッキョククジラの編集履歴

2014-06-15 10:27:01 バージョン

ホッキョククジラ

ほっきょくくじら

ヒゲクジラ亜目セミクジラ科ホッキョククジラ属に属するクジラ。他のクジラが採餌や繁殖のために移動を行うのと異なり、一生を肥沃な北極海で過ごす。近縁種にセミクジラ属がある。

概要

体格はがっしりしていて暗色の体色をしている。全長20mに達し、雌は雄よりも大きくなる。肉の脂肪層は他のいかなる動物よりも厚く、平均43-50cmに及ぶ。背びれをもたず、強く湾曲した下顎と細い上顎をもつ。髭板の長さは3mを超え、これはヒゲクジラの中でも最も長い。この髭板は水中の小さな獲物を濾し取るために用いられる。

このクジラは非常に骨太な頭蓋骨をもち、呼吸する際にこれを使って氷を下から砕いている。イヌイットによると、彼らはこの方法で60cmの氷の下から浮上することが出来るらしい。


分布と生態

ホッキョククジラはヒゲクジラの中で唯一、生涯を北極海およびその周辺で過ごす種であり、ベーリング海南西部で冬季を過ごしている様子がアラスカ沖で見かけられる。ホッキョククジラは春になると流氷の開口部を追って北へ移動し、オキアミや動物プランクトンを餌としながらチュクチ海やボーフォート海へ向かう。泳ぐのが遅く、たいていは単独または最大6頭程度の小さな群で移動を行う。

社会性で攻撃的ではなく、脅威を感じたときには氷の下に逃げこむ。一度の潜水で40分ほど海面下に潜っていられるものの、深くまで潜水を行うとは考えられていない。彼らの天敵は人間とシャチのみである。

普段は北極から離れることはないが、1966年に幼獣が大阪湾に迷い込んだ事もある。


繁殖と寿命

高度な発声能力をもち、移動・採餌および集団行動の際のコミュニケーションのために水中音を使用している。長く繰り返される音声を発することもあり、これは求愛の歌であると考えられている。習性としては他に、水上に飛び上がって体を水面に打ちつけるブリーチング、尾びれで水面を打つテール・スラッピング、体を垂直にして水面から顔を出すスパイホッピングなどがある。繁殖行動は一つがいの間、あるいは数頭の雄と1-2頭の雌からなる集団内で行われる。

繁殖は3月から8月にかけて観察される。繁殖活動は10-15歳程度になった頃から行われるようになる。メスは3~4年に一度、13~14ヶ月間の妊娠期間の後に出産する。ホッキョククジラの新生児は全長4.5m、平均体重1tほどで、最初の一年で9mほどに成長する。

寿命はかつて他のクジラと同程度の60-70年ほどと考えられていたが、最近の詳細な研究により少なくとも数頭の個体は150-200年程度生きているという信頼のおける結論が得られた。その証拠に、2006年に捕獲された個体に、1890年代の銛が刺さっていた。別の報告によると、90歳の雌がなおも繁殖可能であるらしい。

その寿命の長さから、雌は更年期障害に陥ると考えられている。


人間との関わり

ホッキョククジラは近縁種のセミクジラと同様に、泳ぎが遅くて死亡した後も水面に浮いているという捕獲に適した特性から、アラスカなどの先住民は古くからその捕獲を行ってきた。欧米による商業捕鯨が行われる以前には、北極地方には推定5万頭以上のホッキョククジラが存在した。商業捕鯨は1611年にスヴァールバル諸島やグリーンランド付近で開始され、各海域の資源を枯渇させると新たな海域に移動した。北太平洋では商業捕鯨は19世紀半ばに開始され、その後20年間で個体数の6割以上が捕獲される結果となった。

個体数減少の最大の原因であった商業捕鯨は現在は中断しているが、アラスカやカナダでも先住民に原住民生存捕鯨の許可枠が与えられている。この捕獲(年に25〜40頭程度)は、個体数回復の妨げになるものではないと見られ、アラスカ沖における個体数は、商業捕鯨停止後は増加傾向にある



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