同人俗語としてのケモナー
ケモナーとは、同人ジャンルにおける「ケモノ」を愛好する者、というような意味の語。kemono + er でケモナー。
ネット用語/インターネットミームとしてのケモナー
「ケモナー」であることを自称する者の言動がインターネットでの雑談、ニュース系の掲示板やTwitter等で観測されたのがイロイロ誤解された結果、
- 現実の動物と性行為を行う男性
- 猫耳をはじめとした獣耳の少年少女を愛好する者
- いわゆる亜人や獣人のキャラクターそのもの
- (獣人を模した着ぐるみを着て)性行為オフ会を行う個人集団
というような解釈がなされてしまった。
繰り返すが本来の意味合いは「ケモノキャラを愛好する者」というごく単純なもの。現在においても誤用や誤解に晒されてひそかに煩悶とするケモナーがいることだろう。
獣耳が頭についただけの女の子キャラが出演するゲームやアニメに対して「ケモナー御用達!」とか煽られたり(獣耳とケモノは似て非なるものである)、海外で家畜に対して性行為に及ぼうとした男性のニュースに「ケモナーはこれだからwww」とか山のようにレスがついたり(ケモノと獣は違うのだ)、「ケモナー画像ください!」というスレにただの猫耳少女やただの獣耳キャラの絵が貼られて当然のように受け入れられてたり、動物の耳だの尻尾だの毛皮(の部品)だのが映るたびに「あ゛あ゛~ケモナーになる~」とか定形コピペの如く書き込まれていたり……
そういうことが現在のネットでは日常茶飯事であったとしても、繰り返す。
本当は誤解で誤用
なのである。誤用なんだってば。ホント。
なお、現状の用法があまりにも原義と乖離している上に、部外者によるネタとしての濫用が目に余るため、自称に使ったり原義繋がりで用いることを憚る人々も出てきた。何年か後には現在の誤用の方が「正しい」ことになるかもしれない。「腐女子」のように。
本来の同人的用法
同じケモナーといえど愛好対象となるものにかなりブレがある。おおむね、
- 顔が動物っぽいような創作上の獣人
- (想像上の)動物を元にした、創作上のデフォルメ等身キャラクター
- 言動仕草に人間らしさが見える(想像上の)動物キャラクター
あたりを好む人を指す名称。詳細はケモノを参照。言うまでもないことだが現実の動物と獣姦は対象外。獣耳をくっ付けただけの人間キャラクターも大筋では対象外。
ケモナーという語そのものは成立が単純(ケモノにerを付けただけ)なため、同時多発的に生まれ各コミュニティで使われていたと思われるが、広く世に出たのはサイバーコネクトツー(のゲーム)で使われてからだと考える人が多い。
Furry
海外では「ケモノ」に相当するものとして「furry」という言葉がある。海外においてはこの「furry」は「ケモナー」を指す語としても使われている。
ただし、この語は(元の「毛皮まみれ」から転じて)自分もfur(ry)状態である、つまり着ぐるみを着たりして楽しむ、というようなニュアンスを含むことも多い。日本に多い「ケモキャラが好きで作品を見たり作ったりする」というファン「だけ」を指す言葉では残念ながらない。ジャンル的な細分化がそれほど進んでいないということだろうか。
最悪、辞書的意味の「体毛が毛深い人」と取られるおそれもあるので、「私はfurryです」(あるいは「海外ではこう言うんだぜ!」と触れ回る)などと公言するのは考えものである。
過去には「furvert」と呼び呼ばれたこともあったが、ちょうど「ケモナー」と似たような経緯があって自称としては廃れ、現在もあまり良い意味が残っていない。ケモ好きとケモナーの位置関係に近いかもしれない。
ズーフィリア
繰り返しになるが、現実の動物を性愛対象にする嗜好については「ズーフィリア」という語があり、「ケモナー」呼ばわりは無知を晒すだけである。
元々の「ケモノ」という語が二次元のみを対象とし、三次元(=現実の)動物を含んでいない以上、ケモナーという語も三次元を対象にし得ない。