アニメ∀ガンダムに登場するモビルスーツ。
ターンAの兄弟機である。
パイロットはギム・ギンガナム。
概要
∀ガンダムのラスボスに当たる機体であり、ターンA以上に謎が多い機体である。
作中では月のマウンテンサイクル(兵器封印所)からパーツ別に発掘され、初登場時は頭だけだった。
だが頭だけでもコロニーレーザークラス兵器である「カイラスギリー」の制御権を有している。
ギム・ギンガナムの乗機となって活躍し、ギンガナム軍のフラグマシンにもなった。
最後はライバル機であるターンAと相打ち、月光蝶の繭の中で眠りにつく。
デザインや武装にターンAとの共通点が多く、ギンガナムは本機を「ターンAのお兄さん」と呼んだ。
また外見だけでなく、機体同士も接近すると、コクピットにターンタイプのマークが表示される、ターンAの額の「∀」マーク、ターンXの胴体の傷、ツインアイが発光する、鈴の音が響くなどの共鳴現象を起こす。
ターンXが開発された時期は正確にはわかっていないが、ターンAより前に開発されていたと推測されている。
デザイナーのシド・ミードは本機を、「アンチヒーロー」を意識してデザインしたという。
左右対称、キャラクターの魂を表現する「目」が見える頭部、ナノマシンの自己再生(復活)など「ヒーロー」のターンAに対し、左右非対称、プロポーションの歪み、胴体に刻まれたX字の癒えない傷、ナノマシンによる自己修復(不死性)などの「アンチヒーロー」であるターンXはターンAとはまさに表裏一体の関係である。
しかし、ターンXも唯一頭部のみ左右対称、歪みがない。この点もターンXのキャラクター性である。
武装
ビームライフル、バズーカ(アニメでは実弾だが、一部ゲームではビームバズーカであるなど設定が統一されていない。)、ロケットランチャー(アニメでは未使用)、ビームガンなど、豊富な武器を持つ、全身に装備されたビーム砲(リフェーザー砲)など、固定武装も多い。
右腕の溶断破砕マニピュレーターはビーム砲として機能する他、ビームサーベルとしても機能する。威力も非常に高く、ターンAのシールド、ビームライフルを吹き飛ばしている。ギンガナムは「シャイニングフィンガー」と呼んだ。
またターンX独自の機能に分離、合体がある。
機体を頭部、肩部、腕部、胴部、腰部、脚部に分離することができる(バックパックも分離可能)。
劇中ではオールレンジ攻撃に使用した他、組みつきからの脱出に使用した。他にもバックパックを盾にし、コクピットの頭部を本体後方に移動させ、ターンAの拡散ビームを防いだり、左腕を分離させターンAの首を掴み、右手のマニピュレーターでトドメを刺す(この攻撃は直前にコアファイターが分離、脱出した為回避されている)、分離した各部で敵を拘束しデータ収集しながら内部にダメージを与えるなど、特殊な使い方も披露した。
しかし、終盤ではターンAの性能もかなり修復された為、ビーム砲はIフィールドで防がれてしまう為、ビームサーベルによる格闘戦になった。
ターンAと同様月光蝶を装備しており、その出力は凄まじく、ナノマシンは空を覆い尽くし、戦艦ソレイユをターンAとの戦闘の余波のみで間接的にエネルギー切れさせる程である。
本来ターンXに備わっていたものか、ターンAのものを解析・コピーしたものかは明らかにされていない。
月光蝶の色は緑色。
裏設定
本来は外宇宙より地球圏に流れ着いた未知の人型機動兵器。
この機体の存在により人類は自分たちより高度に発展した地球外文明の存在を知り、それを脅威と感じてこの流れ着いたターンXを元にターンAを開発した。
ターンX自体は本来左右対称の形状であったが、ターンAとの長き戦いによる改修と自己修復(自己進化?)により現在の形状になったとされている。また背中のウエポンラックも本来存在せず、後になって増設されたものであるらしい。
胴体のX字の傷はライバル機であるターンAにつけられたもので、自己修復不可能なのか放置されているが、機能には全く問題が無い。
単体の性能はオリジナルであるターンXの方が圧倒的ではあるが、サポートシステム(武器が保存されていた遺跡など)の充実による戦術的な戦闘力はターンAに劣るとされている。
つまり、ガンキャノン、ガンタンクなどのサポートを受けて戦闘を行うガンダムと、ニュータイプ能力を極限まで追求したエルメスの関係と似ている。この戦術的コンセプトの違いも、機体デザイン同様表裏一体の関係である。
[∀ガンダム設定画集「MEAD GUNDAM」より]
デザインにまつわる裏話
シド・ミードは夜中に庭の桜を見た後、数十分でターンXのデザインラフを書き上げたという。このデザインは、作品を通してシド・ミードの最高のお気に入りとなった。
また、全身のパーツが自由自在に分離・合体するという機能は、本来富野監督がジオングでやりたかったことである(当時のメモにジオングの原案が残されている)。