かなり大雑把な概要
主翼の両翼端に、飛行機用とヘリコプター用の中間くらいの大きさのローターを回すエンジンをナセルを使って取り付け、状況に応じて角度を変えることであらゆる飛行状態に対応しよう、という考え方。
低速ではローターを上に向けヘリコプターとして振る舞い、そのまま速度を上げていき主翼の生み出す揚力が安定したところでローターを前に倒し高速飛行に移る。ローターが地面に当たらない角度にすることでSTOL機としての離着陸も可能。
サイズの割に高出力かつ低燃費なターボプロップエンジンが使われることがほとんど。(ジェットエンジンでそれを行うティルトエンジンという形式も一応はあるが燃費がガタ落ちするため使われない。)垂直上昇から水平飛行に移る際のエンジンの角度変更が難しかったが、コントロールをコンピュータに任せることで実用化の目処が立った。
輸送機V-22オスプレイで実用化され、現在は民間用小型旅客機のAW609(タイトル絵の機体)をアグスタ・ウエストランド社が開発中。長い滑走路が採れない山間部や離島部での活躍が期待されている。そのために「パワード・リフト(Powered Lift)機」という新たな型式認定も取得中。
緊急時にはどうするの?
まずどちらか片方のエンジンが故障した場合。両端のプロペラはシャフトで連結されており、どちらか片方のエンジンだけでも2つのプロペラを回し飛行は続けられる(もちろん、その分残ったエンジンを酷使することになるので速やかに近くの空港に着陸することを求められる)。
万が一(ベル社は100億時間に一回くらい、と説明している)両方のエンジンが停止した場合でも、
滑空状態に移行しそのまま着陸する
という2つの方法がある。主翼があるため滑空は可能であるし、条件が整えばもう一つの方法も使えるわけである。当然先述の2機とも両方の機能を持っている。