『九怨』とは、2004年にフロム・ソフトウェアから発売された和風ホラーアクションゲーム。平安時代の陰陽師をテーマに扱っている。
主人公2人が、それぞれの目的のもと、魑魅魍魎の蔓延る藤原頼近の屋敷を訪れる。
プレイヤーは陰陽術を使うキャラクターとなり、敵の徘徊する屋敷内で呪符(式神)の力を駆使して目標を遂行してゆく。
"陰の章"と"陽の章"の2部で構成され、プレイヤーはまず「陰の章」の主人公となり、そのクリア後に「陽の章」へと続いてゆく。その2章をクリアすると"九怨の章"というストーリーが追加され、事件の真相を究めることができるようになる。
物語
夜な夜な聞こえてくる、鼓の調べとおさなごの唄い声。
亡霊のように彷徨い歩く住人と、闇に蠢く餓鬼たち。
その屋敷に足を踏み入れた者は、二度と戻ってくることはなかった。
平安の世に名を馳せた稀代の陰陽師、蘆屋道満の元に届いた依頼は、その屋敷の謎を解明することであった。
師である道満の命を受け、屋敷に向かった「咲耶」と他の弟子たち。
一行はその屋敷で、姉の帰りをじっと待つはかなげな少女「浮月」に出会う。
すでに異界のごとく様変わりした闇蠢く屋敷で、事件の真相を究明することができるのか。
本当の恐怖は覗いてはいけない……
【陰の章】
屋敷に出向いた父親の帰りが遅いため、浮月は姉である暮葉と連れだって、山のふもとにある屋敷を訪れていた。屋敷内に足を踏み入れた浮月であったが、どこか違う雰囲気にためらいを覚えていた。そして突如として聞こえてくる「わらべ唄」。暮葉は何かに誘われるように、ひとり屋敷の奥へと消えていった。
姉を探して屋敷内を彷徨う浮月であったが、庭にある大きな桑の木の下で、徘徊する餓鬼に襲われてしまう。そこに、屋敷の調査に訪れていた咲耶に助けられるのだった。浮月は咲耶から「式神の符」を数枚もらい受け、再び姉の暮葉を捜すのだった。
【陽の章】
藤原頼近の屋敷から連絡が途絶えてから早1カ月が経とうとしていた。
これまでに幾人の宮廷陰陽師が調査に乗り出したが、誰一人として帰ってくるものはいなかった。そんな中、師である道満の命を受け、咲耶と弟子達はその屋敷の調査に取り掛かった。
そこで咲耶たちが見たものは、屋敷の中には人ではない物の怪が横行し、異界と化した世界であった。そして、それぞれが方々に詮索を行う中、咲耶は中庭の桑の木の下で、餓鬼に襲われるひとりの少女「浮月」に遭遇する。咄嗟に式神を召喚し、浮月を助ける咲耶であった。
登場人物
操作可能なキャラクター
咲耶(さくや)
声:浅野るり
「陽の章」の主人公。若いが、強い意志を持った陰陽師の少女。師である蘆屋道満の命に従い、3人の兄弟子とともに魍魎の棲家となっているという少納言藤原頼近の屋敷を訪れた。代々陰陽師として知られる賀茂家に生まれ、子供の頃から陰陽の術に明るかったが、女性だからと軽んじる親兄弟への反発のため、正統ではない、民間の陰陽師である蘆屋道満の元に身を寄せている。
浮月(うづき)
声:久川綾
「陰の章」の主人公。どこか憂いを秘めた眼差しをした少女。消息を絶った父を探すために、姉とともに藤原頼近の屋敷へと訪れた。病弱な姉とともに山中の神社で暮らしており、今まで外の世界に出たことがない。母はずっと前に死んでしまい、父は仕事で留守がちなため、病に冒された姉の面倒をずっと見つづけてきた。以前、自らの不注意が原因で、姉が怪我したことを負い目に感じている。
戦闘では符(呪符・式符)以外に小刀を使うが、攻撃範囲は狭い。
安部晴明(あべのせいめい)
声:米本千珠
稀代の陰陽師で、驚異的な呪術力を持つ。藤原頼近邸の惨禍を収めるべく、弟子を伴い登場。本作では聡明な女性キャラクターとして扱われている。
重要人物
暮葉(くれは)
声:高森奈緒
浮月の姉。痩せ細っていることを除けば平安時代の貴族の女性を思わせるような風貌(髪形や眉の形)をしている。病弱で、妹と同様山奥の神社に籠りきりである。陰の章で最初に浮月と共に屋敷を訪れるが、何かに引き寄せられるかのように屋敷の奥へと姿を消してしまう。
蘆屋道満(あしおどうまん)
声:有本欽隆
咲耶たちの師であり、浮月と暮葉の父。稀代の民間陰陽師として名を馳せる。