概要
富士通が1989年から1995年にかけて製造・販売していたパーソナルコンピューター。
一言で言うと変態パソコン。
どういうことなの……
1974年にNECがACOSシリーズを発売して以来の富士通NEC骨肉のメインフレーム10年戦争を(世界の半分を巻き込みながら)展開していた富士通だったが、この頃伸び始めたパーソナルコンピュータの分野では16bit機の初期段階で商品開発に失敗してしまい、PC-9800シリーズを展開するNECに大きく水をあけられていた。
そこで富士通が起死回生の逆転を狙って開発したのがこのTOWNSである。
発売当時、Apple以外の大手PCメーカーの多くが「この性能をこの価格で実現するのはわが社では無理」と公言させてしまったほどの、GUI前提の高解像度同時発色表示、マルチPCM内臓の音源機能、標準搭載のCD-ROMなどを持っていた。
ではなぜ富士通には出来たのか。
16bit初期に失敗していたのが功を奏したのだ。
TOWNSの性能は「Intel80386の性能を極限まで引き出す」このことによって実現したのである。
元々x86シリーズはメモリアドレスの取り扱いに難があり、所謂286プロテクトモード問題として、初期からシリーズを採用した16bitパソコンと、その上位機種として80386を搭載した32bitパソコン、そしてOSであるMS-DOSにソフト開発の壁として立ちはだかっていた。
しかしTOWNSは最初から386で開発がスタートしたので286互換は考えなくてよかった。一応、開発の叩き台としてビジネス機FMRがあるが、FMR自体富士通のメインフレームFACOMを採用していた関係で少数の企業が購入していたぐらいで、一般向けには店頭販売されてすらいない状況だったから、互換性は無視してかまわなかった(むしろFMR50系でFMRの方がTOWNSに近づく)。
それに加えて縦型CD-ROMを搭載したシティグレーのスタイリッシュなデザインは、それまでアイボリーホワイトが標準だったパソコンのイメージを大きく変えるもので、好意的に受け入れられた。