音階とは、音を高低の順番で基準の音から上に高くしたり、下に低くしたりして順番にならべたものである。
なお、音階とスケールは同じものである。
平均律と純正律
音階には平均律と純正律がある。
平均律は1オクターブを12個に等比分割したもの。ドの周波数を約1.059倍するとド#になり、ド#を1.059倍するとレになり、レを1.059倍するとレ#になり……という仕組みになっている。周波数を2倍にするとちょうど1オクターブ上の音になる。約1.059という数値は2の1/12乗で求められ、12回かけると2倍になる数値という意味。
純正律は各音の響きがよくなるように音の高さを調節したもの。レはドの周波数を9/8倍、ミはドの5/4倍、ファはドの4/3倍、ソは3/2倍、ラは5/3倍、シは15/8倍したものとなっている。♯は元の音を16/15倍、♭は15/16倍にする。
平均律ではレ#とミ♭が同じ音になるが、純正律では異なる音になる。
純正律は和音の響きが良い、平均律は移調・転調がしやすいというメリットがある。
西洋音階
西洋音階ではミとファ、シとドの間隔が半音1つ分になっている。(その他は半音2つ分)
西洋音階には長調と短調があり、短調には自然的短音階・和声的短音階・旋律的短音階がある。
長調はドレミファソラシ、自然的短音階はラシドレミファソの順番になっている。
和声的短音階はソを半音上げたもの。
旋律的短音階は和声的短音階のファを半音上げたもの。ただし下行形は自然的短音階と同じ。
音階の各音には順番によって名称が付けられている。とは言っても主音・属音・導音以外の名称はほとんど使われない。
1番目 主音 音階で最も重要な音
2番目 上主音
3番目 上中音 曲の明るさを決める音 中音とも言う
4番目 下属音 主音・属音に次いで重要な音
5番目 属音 主音に次いで重要な音
6番目 下中音
7番目 導音 主音に導く音 主音の半音下でない場合は導音に含めないことがある。
音名と階名
同じ階名でも調によって異なる音を表す。例えば「ハ長調のド」と「ト長調のド」は異なる音を指す。音そのものの絶対的な位置によってつけられた名前を音名といい、相対的な位置によってつけられた名前を階名といいう。例えば440Hzの音は音名ではAとなる。階名で440Hzの音は先述のように調によって変わり、ハ長調ではラ、ト長調ではレとなる。
各国の音名
日本語 | ハ | ニ | ホ | ヘ | ト | イ | ロ |
英語 | C | D | E | F | G | A | B |
ドイツ語 | C | D | E | F | G | A | H |
フランス語 | Ut | Re | Mi | Fa | Sol | La | Si |
イタリア語 | Do | Re | Mi | Fa | Sol | La | Si |
※ドイツ語の第7音がBではない理由は後述。
各国の階名
日本語 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ |
英語 | Do | Re | Mi | Fa | Sol | La | Ti |
ドイツ語 | C | D | E | F | G | A | H |
フランス語 | Ut | Re | Mi | Fa | Sol | La | Si |
イタリア語 | Do | Re | Mi | Fa | Sol | La | Si |
日本語では♯を「嬰」、♭を「変」と表す。
ドイツ語では基本的に♯を"is"、♭を"es"で表す。
日本語 | 嬰ハ | 嬰ニ | 嬰ホ | 嬰ヘ | 嬰ト | 嬰イ | 嬰ロ |
ドイツ語 | Cis | Dis | Eis | Fis | Gis | Ais | His |
日本語 | 変ハ | 変ニ | 変ホ | 変ヘ | 変ト | 変イ | 変ロ |
ドイツ語 | Ces | Des | Es | Fes | Ges | As | B |
ドイツ語の第7音がBではないのは、Hの♭をBとしているため。
民族音階
※本来は西洋音階で表すことができない場合もあるため、近い音に当てはめています。
※同じ名前の音階でも地域や時代によって異なる場合があり、ここに挙げているのはあくまでも一例です。
東洋
- 陰音階 ド レ♭ ファ ソ ラ♯ 下行形ではラ♯がラ♭になる。
- 陽音階 ド レ ファ ソ ラ♯ 下行形ではラ♯がラ♭になる。
- 律音階 ド レ ファ ソ ラ
- 呂音階 ド レ ミ ソ ラ
- 琉球音階 ド ミ ファ ソ シ
西洋の民族音階
- スコットランド音階 ド レ ミ ソ ラ
インドネシア
- ぺログ音階 ド レ♭ ミ♭ ソ ラ♭
- スレンドロ音階 ド レ ミ ソ ラ
その他
その他の音階にはインド音階・アラブ音階などがある。ただし一口にアラブ音階といっても様々な種類がある(インド音階も同様)ため、ここではその一部を掲載する。
- インド音階 ド レ♭ ミ♭ ファ♯ ソ ラ♭ シ
- アラブ音階 ド レ♭ ミ ファ ソ ラ♭ シ
- ジプシー音階 ド レ ミ♭ ファ♯ ソ ラ♭ シ
教会旋法
かつてヨーロッパではドレミファソラシの音をもとに様々な旋法が作られた。
音階と旋法は似たような意味だが厳密には微妙に異なる。音階は曲に使用される音の並びを意味し、旋法は旋律の作り方を意味する。
- イオニア ドレミファソラシ
- ドリア レミファソラシド
- フリジア(フリギア) ミファソラシドレ
- リディア ファソラシドレミ
- ミクソリディア ソラシドレミファ
- エオリア ラシドレミファソ
- ロクリア シドレミファソラ
このうちロクリアはほとんど使われず、イオニアとエオリアが現在の長音階・短音階となった。