株式会社GTアソシエイション(GTA)が管轄する日本及び海外で開催されるスポーツカーレースシーリーズである。SGTとも。
概要
現在市販されているGT(グランドツーリング)カーを用いたレースであり、搭載エンジンの馬力によってGT500、GT300とカテゴリ分けされる。決勝ではGT500、GT300混戦となり非常に熱い駆け引きを繰り広げるため、「世界最高峰の箱車レース」と称されることもある。
また、上位車輌から順に「ウェイトハンデ」を設けている。
トップに顔を並べるほど車輌重量が加算される、速さの均衡を図るシステムである。
如何にして効率よくポイントを稼いで優勝するかという点もまた、SUPER GTの醍醐味である。
歴史
前身として全日本GT選手権(JGTC)が存在する。こちらはJAF(日本自動車連盟)管轄であったが、マレーシア等での開催を決定した際に、FIAの規定により国内選手権から外れることになったため、JAFの管轄から外れ今に至る。
GT500
概要
GT500にエントリーしているのは現在、TOYOTA、日産、HONDAの三社である。
それぞれの持つトップモデルがしのぎを削っている。
本来であれば「原則として市販車をベースに改造」なのだが、レギュレーションがかなり広いため「羊の皮をかぶる狼」状態である。
(ボディはベース車の外見を持つが、中身はフォーミュラマシンとも引けをとらない。)
また、GT500が示すように、このカテゴリにおけるエンジンの出力は500馬力制限である。
なおレギュレーションにより、全車FRレイアウトとなっている。
トヨタ自動車/LEXUS
現在はレクサス SC430がエントリーしている。
2009年シリーズから「チーム・レクサス」と名称を変更している。
エントランス名は「LEXUS TEAM (メインスポンサー)」で統一される。
ゼロベースで開発されたため、ライバルに遅れをとるが、トヨタの長年の経験により、安定した走りを持つ。
2005年までスープラで参戦していた。
日産自動車
現在は35型GT-Rでエントリーしている。
2007年までフェアレディZで参戦していた。
2008年に復活してすぐ、その戦闘力の高さを見せつけ、GT-R完全復活を宣言した。
またジンクスとして持っていた「GT-Rは菅生では勝てない」を克服し、ますますその速さを発揮している。
本田技研工業
現在はHSV-010でエントリー。
2009年まではNSXでエントリーしていた。
次期NSXの研究開発として実戦投入されている。
投入当初はアクシデントなどがあったものの、安定した速さをみせる。
2011年モデルでは、フロントフェンダー内にラヂエターを設置するなどモデファイが重ねられている。
GT300
概要
GT500の下位カテゴリとして設置されている。
現在ワークス及びプライベーターを含めて多くのチームがエントリーしている。
マシンの戦闘力もGT500ほど高くないため、プライベーターがワークスを押さえて表彰台に立つこともままにある。
また、JAF特認車輌が軒を連ねるのもこのカテゴリであり、普通のスポーツカーに混ざってセダン型やプロトタイプのようなモデルも存在する。
初音ミク、イカ娘などのいわゆる「痛車」がエントリーするのもここである。
なおGT300の名称通り、エンジンの出力は300馬力制限である。
エントリーチーム
(非常に多くのモデルが参戦しているため、参戦企業とそのモデルを列挙する。)
トヨタ自動車・LEXUS
カローラ・アクシオ、IS350
日産自動車
フェアレディZ
マツダ
RX-7(2011年撤退)
スバル
レガシィ
ポルシェ
911GT3シリーズ
BMW
Z4 GT3
フェラーリ
F430、F458イタリア(2011年より参戦予定)
ランボルギーニ
ガヤルドRG-3
アストンマーチン
V8ヴァンテージ
ヴィーマック
RDシリーズ
ムーンクラフト
紫電
ASL(オートバックス・スポーツカー研究所)
ガライヤ
問題点
このように大人気に思えるSUPER GTも多くの問題を抱えている。
そのうちの代表的なものを紹介する。
開発費高騰
SUPER GTのレギュレーションは詳細に規定されているが改造範囲が他のレースに比べかなり広く、それ故自由度も高い。
GT500の項目でも触れたが、GT500のマシンは外見こそ面影が残るのみであり、実際の構造はむしろF1マシンやプロトタイプカーに近い。
フロントサスペンションはエンジンルーム内に移設され、プッシュロッド式としてフレーム固定されるなど、最早市販車の面影など存在しない。
またGT300においても、セダンモデルではエンジンを後部座席に配置するマシンもあり、GT500程ではないがやはり中身は市販車からかけ離れてしまっている。
このように、広い改造範囲を持つため、一からマシンをモデファイしようとするととてつもない費用がかかってしまう。
そのため、新規でワークスやプライベーターなどが参入しにくい状態に陥ってしまっている。
独自レギュレーション
SUPER GTのマシンメイクはFIAの管轄するいわゆる一般の「GTマシン」からは大きくかけ離れてしまっているため、例えば「SUPER GTのマシンがFIA GT選手権に参戦」などは出来ない。
DTM、ドイツツーリングカー選手権との競合開催が現在視野にあるが、実現にはどちらかのマシンをどちらかに合わせる必要があり、必然的にコスト高の問題に直面してしまっている。
(DTMとSUPER GTではレースの性質自体も異なる)
また、このような問題から「若手ドライバー育成」についても問題が発生してしまい、SUPER GTはSUPER GTで完結してしまう先のないレースカテゴリとなってしまった。