勝新太郎演じる札付きの新兵「大宮貴三郎二等兵」と、彼の面倒を見ることとなった「有田上等兵(田村高広)」の人間模様を描いた映画。
監督は増村保造。製作は大映。
あらすじ
有田上等兵は帝国陸軍に入隊して3年、満州北方の孫呉に駐屯する部隊の中では最古参の兵士である。
同期の仲間は皆幹部候補生試験を受けて下士官へなったが、有田だけはワザと落第して、4年の兵役期間を終えたら内地へ帰る腹積りであった。
軍隊という理不尽と暴力が渦巻く「莫迦かキチガイにでもならないと生きてゆけない世界」から一刻も離れたかったのだ。
ある日、有田は人事係の准尉に呼び出されて、新兵の世話を命ぜられる。
准尉が言うには、新兵の中に「とんでもない馬鹿力で、喧嘩がめっぽう強く教育係が散々手を焼いた男」がいるので、そいつの世話を任せたい、という話だった。
「とんでもない男」こと大宮貴三郎二等兵は、確かに態度が横柄で上官を上官とも思わず、どんな制裁も通じない男であったが、接してみると元俠客であったためか筋は通すし忠義の厚い男であった。
入隊以後、喧嘩や無断外出などで有田の手を散々焼かせた大宮であったが、有田はその度に熱心に庇った。
不条理の塊のような軍隊で、不器用ながらも一本気な大宮は、有田にとって決して見捨てられないかけがえのない戦友であった。
やがて、有田と大宮にとって受け入れがたい理不尽な命令が下るが、大宮は「今度は自分が上等兵殿を助ける番です」という。何か策があるらしいが…