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概要

准尉は、詳しく言えば将校ではなく、士官学校を出ていない兵士がたどり着ける最上級の階級である。士官と下士官の間には大きな壁があり、そこに位置するのが准尉である。ただし、下士官でも優秀で戦功が多いと主に指揮官の推薦で将校になれることがある。また、士官学校の生徒が在学中に一時的に准尉なるケースがある。そして、卒業後は少尉になる。

少尉より下で、曹長より上である。


フランス陸軍式准尉

フランス陸軍にはもともと下士官の階級はSergeantとSergeant-Major(現在はSergeant-Chef)しか無かったが、陸軍の近代化にともない下士官の重要性が上がるにつれ、いくらなんでも2階級では足りなくなったため、Sergeant-Majorの上にAjudantという階級を新設した。これがフランス陸軍式准尉のはじまりである。その後、Adjudant-Chef、Majorも新設された。なお、Ajudantは英語のAdjutantと言葉自体の意味は同じではあるが、まったく違う趣旨で使われるため、英訳されるときはWarrant Officerとなっている事がほとんどである。


フランス陸軍ではAdjudantは尉官とほぼ同じ職務、具体的には中隊本部の幹部職や小隊長を務めており、なんの断りもなくLieutenantと呼称されることもあるが分類としてはあくまでも下士官である。


明治時代にフランス陸軍を見習った日本ではこのフランス陸軍式の准尉制度を導入した。ただし日本では「士官同然の職務をこなすなら士官同然に扱うべき」ということで、准尉は下士官ではないということになった。この発想は自衛隊となった現在でも割とそのまま引き継がれている。


日本では中隊幹部職クラスのフランス式陸軍式准尉が下士官ではないとされたため、Adjudantの新設によって、「中隊本部でそれほど重要ではないデスクワークをしている古株」あたりまで値下がりしたフランス陸軍式Sergeant-Majorが下士官の最上位である曹長ということになった。おかげで日本では下士官という言葉自体が世界有数の安っぽさになってしまったが、これはあくまでも日本特有の事情によるものである。


帆船時代のイギリス海軍式准尉

帆船時代のイギリス海軍では、海兵隊を除けば、一つの艦に乗艦する勅任による正式な士官(commissioned Officer)は艦上における王権の代理人であり、艦全体を指揮する権限のある艦長と、その権限を正式に代行することを認められているほんの数人の副長(Lieutenant、最近はホーンブロワーの影響か海尉と訳されることが多い)だけだった。


もちろんこれではまともに艦が運用できないため、各部門長などが勅任士官に準ずるWarrant Officerに任命されていた。このWarrant Officerは海軍本部や各関係機関から奏任証状が出る役職全体を指す概念であって、実際の等級はさまざまである。


時代によって変遷が多い上に、艦内人事は艦長の自由裁量による部分が多かったため一概には言えないが、航海長・主計長・船医・従軍牧師あたりが士官室で椅子に座って食事できる身分(准士官)で実質的には勅任士官と同程度、甲板長(掌帆長)・船匠長・掌砲長・烹炊長あたりが士官室には入れるが椅子には座れない身分で今日の准尉相当、上記の部門長の補佐役が今日の下士官程度といったところが相場である。


ただ、勅任士官と同程度の扱いをされる者であってもWarrant OfficerはWarrant Officerでしかなく、艦長や副長はもとより、士官候補生までもが全員死亡するまで艦全体の指揮権がまわってくることはなかった。イギリス海軍とそれを見習った各国海軍(日本を含む)では、「艦全体を指揮する権限のある士官」と「かつてのWarrant Officerがやっていたような職務を担当する士官」の厳然たる差異はしぶとく残り続け、様々な弊害の原因となった。


明治時代に日本がイギリス海軍を見習った時期には、Chief Petty Officerが陸軍のWarrant Officerに相当するということになっていたため、海軍兵曹長=陸軍准尉という翻訳になりがちである。ただし、当のイギリス海軍ではその後Chief Petty Officerの上に陸軍式の一等准尉と二等准尉を導入しChief Petty OfficerはWarrant Officerではないただの下士官となっている。英語を用いる英連邦諸国の海軍に限っても、「Chief Petty OfficerがWarrant Officer」という場合と「Chief Petty Officerの上にWarrant Officer」という場合が混在しているので、兵曹長と訳されている階級が実際に何を意味するのかについては少々注意が必要である。


イギリス陸軍式准尉

上級の下士官に大層な任証状を発行して士官に準ずる扱いをするもので、世界的に一番よくあるパターンである。中隊最先任下士官や連隊レベルの幹部下士官あたりから准尉とされることが多く、上記のフランス陸軍式准尉よりもなるのが難しい。分類としてはあくまで下士官であり、階級呼称も「なんとか軍曹」である場合が多い。


近年のイギリス陸軍では上級部隊の最先任下士官は「兵士としての実戦経験のある士官が一等准尉として勤務する」ということが多くなっており、陸軍最先任下士官であるArmy Sergeant Majorに至っては2020年現在まだ2代目ではあるが、二人揃って本当の階級は大尉で、下士官が任命されたことは一度もない。この場合は大尉でありながら一等准尉の階級章を付けることになるが、尉官などより一等准尉の方が遥かに儀礼上の扱いが良いので、自慢のタネにすることはあっても降格扱いなどと思う者はいない。イギリス陸軍では一等准尉とはそれほどのモノである。


アメリカ式准尉

連隊レベルの本部組織に軍人なのか民間人なのか身分が曖昧なまま主計官として勤務していた会計士を正式に軍人と認めることとなったのだが、「会計士を士官に準ずる者とは認めるが、だからといって歩兵隊や砲兵隊の指揮を執られても困る」ということで、「自身の技能分野のみに指揮権を持つ階級」として導入されたのが始まりである。


アメリカ陸軍の准尉の約半数を占めるヘリパイロットのように、資格を取った途端にいきなり准尉となるか、専門技能にすぐれた下士官が上級下士官にならずに准尉となるかというコースになっており、上記のイギリス陸軍式准尉とはかなり異なるものである。実際、アメリカ固有の階級制度であり、他国には採用例はない

なお、アメリカ海軍においては士官に対する技術指導が任務である場合と、指揮権を有し部隊を指揮する場合がある。


海上自衛隊式准尉

アメリカ海軍に近いものがあり、士官待遇下士官とされ、艦の運営上は実質的な士官室勤務者となる。

戦闘においては指揮を執らないものの、技術的な助言を行う立場である。

但し、慢性的な英語力不足からか、英語表記においては「士」の立場との差異がない。例えば砲術士(砲術長を補佐する。)はAssistant Gunnery OfficerでAWOと名札に記載されている場合が多いが、准尉である掌砲術士もAWOと記載されている場合がある。


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