概要
宇宙世紀の主力兵器であるMS全般の欠点として、航続距離の短さが挙げられる。これを補うべくグリプス戦役時代のMSには、全身に搭載されたスラスターを単一方向に揃える事で、初速を減じる要因の少ない宇宙空間において効率的な、巡行形態への変形機構を持たせる設計が積極的に採用された。
Sガンダムは三機の小型・中型航宙戦闘機形態への分離・変形機構を有しているが、長距離侵攻を目的とした巡行形態であるGクルーザーへの変形は増加パーツを追加して初めて可能になる(この反面、分離機構がロックされるため、完全に運用思想が変化する)。すなわち、この巡航形態であるGクルーザーを求めて装備追加が行われるわけであり、そこから変形できるEx-Sガンダムはあくまで副次的なものである。
Ex-Sガンダムの「Extraordinary」という言葉は、「臨時の」(MS形態がメインではない、という意味)「風変わりな」(コンセプトの斬新さへの自負)「異常な」(尋常でないパーツ数になった本機への揶揄)など、多くの意味が込められた名前なのである。
こうして得られたGクルーザー・モードでは、推力を与えるスラスターが重力方向に集中するため加速力・航続距離は非常に強大で、月面降下~再離脱のみならず自力での大気圏脱出も可能。加えてMS時の背部ビームカノン4門と大腿部ビームカノン2門、更にビームスマートガンが同一射軸に揃うため、拠点攻撃に極めて有効な戦術を採る事が可能な、非常に高い攻撃力を発揮する。
なお、翼面積が極端に狭いスタイルからわかるように、重力下での飛行能力は低く(スラスター推力で短距離を無理やり推進する事は可能)、大気圏内運用のための軽量バックパックおよび、主翼に相当する部分をより大型にしたリアスカートといったオプション群が、別途存在するという文献もある。
ちなみに、変形機構は非常に複雑でパーツ数も非常に多いため、非常に絵師泣かせなモードでもある。