…クソ映画とはクソ映画の事である。それ以上でも以下でもない。
………ちゃんと言えば「クソみたいな出来の映画」であり、もっと言えば「映画を見た人がクソ映画であると認定した映画」である。
だからそのクソの基準は千差万別。「クオリティの低い映画」という基準を設けたとして、どれだけ演出、キャスティング、演技が良くてもその人にとって「自分の予想と違う展開をした」というだけでクソ映画になる映画もあれば、低予算、短時間、演技も酷く、演出もチープで、何を伝えたくて撮ったのかもわからず、終いには映画のようなゴミと評されるほど世間的にはクソな映画でも、その人にとって大好きで大好きでたまらない神映画となる映画もある。
そんな受け手の主観で大きく変動してしまうのがクソ映画というジャンルである。
「低予算・素人・新人監督」という素材の粗雑さを基準にしても、こうした粗雑な素材で作られたB級映画の中にはあっと驚く程のダイヤの原石が眠っていることもあり、B級映画にしかほとんど出演しない名俳優なども存在するためこれを基準にクソは語れない。というか超有名俳優、メディア露出の多い有名監督、配給会社も大手、そして原作が大ベストセラーという最高の素材で作られても最悪のゲロマズ料理が作られてしまうことも多々あるため、素材の品質はクソ映画ジャンルにとって全く重要では無い。
ただ、B級映画というジャンルの中で、更に素材が粗雑で内容も粗だらけの悪辣な作品に関してはクソ映画とは別にZ級映画という扱いを受けるときがある。だがこのZ級映画というジャンルの中にも、カルト的な人気を獲得して名前だけは広く響き渡るときもある。
「クソ映画=全く稼げなかった」かといえばそういうこともなく映画評論家、amazonレビュー、SNSや世間の評価等が最底辺でも実際の興行収入が、その逆の大絶賛された映画の数倍の収入を叩き出すようなケースもあり一概に興行収入が低いからクソ映画という基準もつけられない。というか、日夜メディアSNS問わず賞賛されない日は無く、賞も総ナメした作品でも有名タレントを起用して適当に撮られた映画に収入で負けるなんて事はこの業界ではザラである。
一応、上述した様々な要因を基に「クソ映画で賞」的な授賞式は存在する。
世界的に有名なものではラジー賞こと「ゴールデンラズベリー賞」であり、世界的名作という箔が付くアカデミー賞の前夜に開催される「最低」を決める授賞式である。
だがこのラジー賞もいわゆる手の込んだブラックジョークであり、モノによっては作品としての完成度が高くても「一般受けしない」という事で受賞する事もある。俳優に関してはゴールデングローブ賞を獲った俳優が同年度にこれを獲るという事もあるため、世界の憎悪と怒りを受け止めて完全悪となった映画を探るような真剣な賞ではなく、あくまでジョークなのである。
だいたい、この賞を取るにいたった作品の発表時に全ての人が「???」となってしまう映画を発表することはまずないのだ。考えて欲しい。好きの反対はなにであるかを。
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結論
「クソ映画というジャンルはあくまで個人の感想だから、真に受けちゃダメだよ。いいね?」