概要
『火ノ丸相撲』における「国宝」の中でもかなり遅くになってから登場した、巨漢力士。作中では数少ないアンコ型。
国宝でありながら地味な感じで、ひっそりと登場したイメージを持たれがちだが実は物語のキーマンと言える存在。なにせ大相撲入りした鬼丸が負傷休場する事になった理由、それこそが彼との取組だったのである。
右腕に致命的な傷を受け、必殺の右下手投げを失った事で鬼丸は更なる窮地に立たされる事になってしまい更に「危険を侵してでも、自分より大きな相手を投げ飛ばす」という自分のスタイルさえ揺らいでしまうという一大事に見舞われる。
こう書くと鬼丸にとって宿命のライバルに思えたりダーティな感じがしてくるが、実際にはそういう面は殆ど(全く?)無い。鬼丸にとって数珠丸は「因縁の相手」ではあるがライバルとしての描写は無く、また彼は作中で「気は優しくて力持ち、を地でいく人気力士」として紹介される好青年。対横綱の為集まった合宿稽古で鬼丸が「右腕はもう使えない」と明かした際には、周囲が弱点として突いてくる事を危惧して「こんなところで言っちゃいけない」と庇おうとするなど作中随一の好漢である。
ただ、競争相手をも気遣う人格のためか、対戦相手を壊してしまう可能性にトラウマがあり、鍛え上げた肉体がもたらした副作用も火ノ丸や鬼切のそれらとは対照的。当然、観客からの反応も違う。ある意味では草薙の小竜景光への想いと似ている。彼らの苦悩は周囲から理解されにくく寧ろ甘えや我が儘とも捉えられかねない代物である。
このメンタル面の弱点からか番付は不安定で「エレベーター力士」の異名も持っている。だが、この肉体を維持できるポテンシャルとセルフマネージメントは角界においても一線級であり、天王寺からも高い評価を受けており、陰ながら応援されている。