曖昧さ回避
- 平安時代の刀工・青江恒次作の日本刀。天下五剣の一つ。本項で解説する。
- 1の刀剣を基にした、オンラインゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』に登場する刀剣男士。→数珠丸恒次(刀剣乱舞)
- 1の刀剣を基にした、オンラインゲーム『しんけん!!』に登場する真剣少女。→数珠丸れん
- 1の刀剣をモデルとした、メディアミックス作品群・『天華百剣』に登場する巫剣。→数珠丸恒次(天華百剣)
- 格闘ゲーム『ヤタガラス』のプレイアブルキャラクター。→こちら
- 漫画『火ノ丸相撲』に登場する力士。本名野地数興。
- ソーシャルゲーム『モンスターストライク』に登場するキャラクター。→数珠丸恒次(モンスト)
解説
平安時代の刀工・青江恒次(あおえつねつぐ)による太刀。
ただし、その特徴は古青江派とは逸する部分が多く、現在は鎌倉初期に活躍した備前恒次(びぜんつねつぐ)の作ではないか、とも目されている。
刃長81.1cm、反り3.0cm。
後に天下五剣に数えられた。
法華宗(日蓮宗)の開祖・日蓮上人の「三遺品」に数えられ、甲斐国身延山久遠寺が所蔵していたが、故あって現在は兵庫県尼崎市の本興寺が所蔵している。
国宝、御物、と華々しい経歴に至る天下五剣の中では、唯一、重要文化財の指定となっている。
逸話
長年、一ヶ所で秘蔵されてきたため、他の天下五剣に比肩すると目立つ逸話は少ない。
また仏教と縁が深いためか、派手な武勇伝もないのが実情である。
破邪顕正の太刀
数珠丸が日蓮上人の手に渡ったのは、1274年に身延山久遠寺を開いた折である。
護身用として信者から寄進され、その太刀の美しさに魅入られた上人は、これを“破邪顕正(はじゃけんしょう/※1)の剣”とし、柄に数珠を巻いて持ち歩いたという。
数珠丸の名はここに由来する。
- ※1. 誤った思想を打破し、正しい考えを示すこと。仏教用語で「仏の正しい教えを理解し、布教・実践していくこと」を意味する。
本興寺が所蔵する所以
上人が遷化(仏僧の死去)すると、数珠丸は上人の中啓(ちゅうけい/仏教の法具。閉じたまま半開きになった扇子)・袈裟と並んで「三遺品」と尊ばれ、長らく身延山久遠寺で保管されていた。
ところが江戸時代の享保年間になると、数珠丸は久遠寺から消失してしまう。
原因は明かされていない。
これがさらに時代が下って大正9年10月、宮内庁の刀剣御用掛け・杉原祥造(すぎはらしょうぞう)が、華族の競売で競りにかけられている数珠丸を発見。
各新聞社を招集して大々的に報じ、久遠寺に数珠丸を返還しようとした。……が、久遠寺は杉原の見つけた数珠丸を真正とは認めず、数珠丸の受け取りを拒んでしまう。
交渉は決裂し、数珠丸は杉原の近所に在った法華宗本門流 本興寺に寄進され、現在も重宝として保管されている。