日活ロマンポルノ
にっかつろまんぽるの
日活ロマンポルノ
映画産業が斜陽期にさしかかり、ワンマン経営で有名だった堀久作の杜撰な経営を主として、様々な悪条件が重なって経営難に陥った日活は”低予算でも制作できて尚且つ収益率が高い”ポルノ作品を制作主体に置かざるを得なくなった。
会社の本意・不本意はともかく、日活が当時を生き残るには他に選択肢が無かったのである。
こうしてのべ17年以上にわたる「日活ロマンポルノ」シリーズが誕生したのである。
日活という会社のイメージがそれ以降「成人向け映画制作会社」になってしまう程の長寿シリーズとなったわけだが、日本映画産業にとっても貴重なシリーズであった。
低予算・短時間上映・ポルノ縛りという条件付きではあったものの、それ以外なら基本的に何をやっても良いという自由な制作体制が許されたのである。
テレビの普及によって若手の活躍の場が少なくなりつつあった日本映画界において、日活ロマンポルノシリーズはそれまで無名の存在であった監督・脚本家・俳優が躍進できる場所でもあったのだ。
しかし、VHSの登場や「成人向け映画館」の減少に伴い日活ロマンポルノシリーズも終焉の時を迎えた。
まさかの復活
2010年、「ロマンポルノ RETURNS」と題し過去の二作品がリメイクされた。
2015年、1988年以来28年ぶりに完全新作の制作が決定。「日活ロマンポルノリブートプロジェクト」と銘打たれ、ロマンポルノ誕生45周年となる2016年11月より公開すると発表された。
作風
現代のアダルトビデオのように単にプレイ内容を描写するだけではなく、あくまで「映画」として製作される理念を根幹においている。
そのため全体的なドラマ性を重視し、複雑な人間関係やストーリー性を基幹に据えた“一作品としての完成度”が高いことで知られる。
余談
その記念すべき第一作目のタイトルはというと――
「団地妻 昼下がりの情事」
このほか、女教師・女子高生・修道院・喪服など、現代のエロスのイメージを含んだ単語の発信源となった側面がある。もっとも、そういうのが大好きな国民の性癖を見越していたと言った方が妥当かもしれない。
だがこの作品、カーセックス中に車ごと崖に転落して爆死、ぶつ切りで「終」という文字が出るだけのひどいラストで、社内試写会の際には流石の日活のスタッフも黙り込んでしまう程酷く、試写終了時には社運を賭けるに値するか微妙な空気まで漂っていた。幸いながら好評を得て同社の復活への繋ぎとしては十分な役割を果たし、後に様々な(アダルト路線ではない普通の)名作を生み出す切っ掛けにはなった。
しかし、撮影の過酷さから女優が精神的に追いやられて涙することも多く、脚本家で有名な白鳥あかね(当時はスクリプター)がよく彼女らの相談相手になっていた。ただ、関わっていた俳優・女優らの多くは後に大きく出世しているので、キャリアとしては全く無駄ではなかった。