iCloudは、米Appleが今秋から提供する予定のクラウドサービス。
ここで記述する内容は、あくまでもWWDC 2011で発表されたもので、実際には予告なく変更される可能性もある。
予定しているサービス
写真や音楽など各種ファイルを格納するオンラインサービスで、利用者のデバイスに自動でファイルがプッシュされる仕組みを搭載するとされている。一部機能、ベータ版として提供が開始されている。
iOS 5ユーザーは無料で利用でき、5GBまでの容量を与えられる。ただし、音楽やアプリなど、iTunes Store上に元から存在するファイルはストレージ容量を消費しない。
iTunes in the Cloud
いずれかのiTunesで新たに購入した音楽を、複数のiOSデバイスやコンピューターで自動同期させる機能が追加される。
オプションとして、iTunesで購入したのではない、CDからインポートした音楽などについても自動認識し、もしiTunes Store上に存在するタイトルならば、256kbpsのAACをダウンロードできるという機能も提供される。こちらは年額24.99ドルの有料サービスで、利用量に制限はない。iTunes Store上に存在しない、あるいは認識できなかったタイトルは、自分でアップロードすることもできる。
Photo Stream
写真を同期する機能。たとえばiOS 5搭載のiPhoneで撮影した写真を自動でiCloudにアップロードし、ほかのデバイスはiCloudにアップロードされた新着写真を自動でダウンロードし、常に同期させることができる。逆にカメラからコンピューターに取り込んだ写真を、コンピューターからiCloudにアップロードし、iOSデバイスに自動ダウンロードさせることもできる。Apple TVでも写真を閲覧できる。
コンピューターに同期された写真は、すべて保管されるが、iOSデバイスに同期された写真は、「Photo Stream」として最新の1000枚までが表示され、必要な写真だけを選んで保存する。iCloud上では、新着写真は最大30日保管される。なお、Photo Streamの紹介ページでは、「Wi-Fiネットワーク経由で写真のコピーを送る」と書かれており、3G経由での同期が可能かどうかは不明。
PC Free
iOS 5へのバージョンアップにより、すべてのiOSデバイスはDockコネクタで接続する必要がなくなり、コンピューターから独立することになる。これによって従来はコンピューターのiTunesでしかできなかったiOSデバイスのバックアップも、iCloudで可能になる。Wi-Fi経由で可能、とアナウンスされており、Apple IDを入力するだけでバックアップからの復元も行なえる。バックアップは毎日行なわれるが、変更部分のみのバックアップとなり、時間はかからないとしている。バックアップできる内容は、購入した音楽、アプリ、電子書籍、写真やビデオ、端末設定、各アプリのデータ、ホーム画面の編成、メッセージ、着信音。
さらにメールやカレンダー、連絡先もプッシュで同期できるようになる。こちらは発表内容から、すでに現在「MobileMe」として提供中のサービスと同等とみられるが、違いやMobileMeの有料利用者への対応などについてはとくにアナウンスされていない。
その他
さらにiTunes Storeで購入したアプリや電子書籍も、ほかのデバイスで購入したものを自動同期させる機能が追加される。こちらの機能もベータ版として提供が開始されている。すでにiOS機器の設定メニュー内「Store」の項目には、「自動ダウンロード」という設定が追加されていて、App Storeでアップデートを検索するとき、ほかのデバイスでダウンロードした項目を確認できるようになっている。
このほか「Documents」として、ユーザーが作成したiWorkファイルをiCloudに格納し、同期させることが可能となる。