グラフィックノベル
ぐらふぃっくのべる
概要
グラフィックノベル(グラフィック・ノベル、graphicnovel)とはリチャード・カイル氏が1964年に作った「コミック」という単語の持つユーモアやギャグで溢れたキッズ向けのものという印象を払拭するための言葉。
現在においては長編コミック、もしくはそれをまとめた単行本を指し、暴力表現や性描写のないキッズ向け単行本ならキッズ・グラフィックノベル、暴力表現やキス以上の性描写もある大人向けならアダルト・グラフィックノベルという。(中間くらいのはヤング・アダルト・グラフィックノベル。)
いわゆるアメコミ(アメリカンスーパーヒーロー)や日本のマンガ(ストーリーマンガ)はアダルト・グラフィックノベルに入る。
問題は「コミック」の持つイメージ
アメリカではcomicにはcomicalのイメージがついて周り、キッズ向けのくだらないユーモアとギャグで笑わせるためのもの、というところから離れられなかった。日本におけるボンボンやコロコロと言った雑誌、それがコミックという単語の持つイメージだ。
子供向けなので規制は厳しく、表現は制限されて思うように描けない。性描写や暴力描写等なんて全然描けない。キリスト教で保守な保護者が超強い。
くだらない内容と思われてるから読んでる側も描いてる側も周りに知られたくない。恥もいいところ。
子供たちも高校くらいまでは時間あるけど大学から忙しくなるためコミックはせいぜい18歳で卒業するもの。大人は大人の会話のツールと題材があり、コミックはそれに入らない。それが常識。
ーーーそう、コミックの立場はかなり低いのである。
しかしヨーロッパのバンド・デシネや日本のマンガのようにこのメディアの可能性があることはアメリカの外で示されている。
そこで再定義してコミックの一部から上記のイメージ払拭を行えないか、アメリカのコミック出版業界では何度も試みられていた。イラストーリーズ(illustories)、ピクト・フィクション(Picto-Fiction)、comix等、様々な言葉が作られたが定着できず、今のグラフィックノベル(graphic novelに落ち着いた。
絵やイラストを表すグラフィック➕文学を表すノベル
すなわち、文学に匹敵する価値のあるメディアであることを示したのである。
アメコミの実写映画化による見直し
結局言葉だけではイメージは変わらなかったが、いわゆるアメコミ、アメリカンスーパーヒーローたちが実写映画化された。一流の俳優と最新のCG技術、音響に支えられ一般への進出を果たしたのである。
そのおかげでグラフィックノベルやその周辺の需要も増加傾向だった。(とはいえアメリカでは元々のコミック市場の小ささと、書籍業界全体に電子化の波が来ており、コミック業界自体がちょっと複雑になってきているらしい。)