概要
リーマンショック以後、企業の借入渋りだけでなくマイナス金利政策によって地方財界が置かれる環境はバブル崩壊後より厳しさを増していった。特に地方銀行にとってはグループ再編による経営リスク回避は喫緊課題とされており、全国各地で地銀同士が持ち株会社化して経営体力を強化する傾向が強まっている。
コンコルディアフィナンシャルグループ(以下:コンコルディアFG)が誕生したのも概ね業界再編の流れに沿ったものだが、他の持ち株会社より複雑な事情を抱えている。地方銀行最大手であることを理由に合併を嫌煙されていた横浜銀行が、一時サラ金大手のアイフル傘下となるほど貧弱な経営基盤となっていた東日本銀行側の要請に応じて2014年に合意形成されて2016年に持ち株会社コンコルディアFGとして発足した。表立っては横浜銀行の都心進出と東日本銀行の海外進出支援を念頭に置いた経営統合だったが、その実東日本銀行の石井道遠頭取によるワンマン体質によってけん引された経営統合だった。
過剰不正融資事件
そもそも石井氏が東日本銀行頭取に就任したのは国によるアイフル排斥策によるもので、元国税庁長官だった石井頭取が自らの意思で東日本銀行を天下り先に選んだわけではない。ゆえに石井氏は一介の中小金融機関に過ぎない東日本銀行の経営改善策として包括地域拡大を選択。アイフルの一件で東日本銀行経営陣は黙って従わざるを得えなかった。
こうした不健全な経営事情から、東日本銀行は合併交渉の裏で取引先に根拠不明の貸付を強要して多額の利益を確保するようになった。それが2018年に明るみとなり、コンコルディアFG発足を主導した石井会長(頭取から昇進)を筆頭に経営統合先の横浜銀行も含めて多くの経営幹部が任責辞職する事態に陥った。