概要
アメリカインディアンの一つ「ポウハタン族」に生まれた女性。ポカホンタスとは「お転婆」や「甘えん坊」を意味する渾名で、本名はマトアカ。英名はレベッカ・ロルフ。
正確な生年は不明だが、1595年ごろにポウハタン族の酋長の娘として生まれたと思われる。
イギリスからやってきた探検家ジョン・スミスが、ポウハタン族に捕えられて処刑されかけた所を彼女が命乞いして助けたというエピソードで有名。このため、白人とアメリカンインディアンの友好の象徴として扱われ、事実、ポウハタン族は、この後飢餓に苦しむ入植地ジェームスタウンに食料を送っている。しかし、白人の入植地拡大に伴って白人とポウハタン族は衝突するようになる。この時期、彼女はスミスにポウハタン族の襲撃を知らせて再び彼を救ったと言われる。
しかし、指導者である酋長(これは白人の勘違いで、実際の酋長の役割は統率ではなく調停)の娘であることに目をつけた白人によって彼女は人質として拉致され、通訳として役立つよう英語を教えられた上で、洗礼させられる。また、この頃にイギリス人商人のジョン・ロルフと結婚し、レベッカ・ロルフと名乗るようになる。この結婚の経緯は穏やかとは言えなかったが、結果として白人とポウハタン族の対立は数年治まる。
夫に連れられて大英帝国に赴き、ジェームズ1世に謁見。「インディアンの姫」として一躍有名人となる。しかし、ジェームズタウンへ帰る途中、イギリスのケント州グレーブゼンドで病死した。享年は23歳前後だと言われる。
彼女はグレーブゼンドの「聖ジョージ教会」に埋葬されたが、その墓は現存していない。
実像
ポウハタン族の酋長の娘にポカホンタスという人物が存在したのは事実だが、ジョン・スミスとの一連のエピソードは彼がかなり後になって語ったもので矛盾も多く、全て創作である可能性は高い。
また、ジョン・ロルフとの結婚も、ロルフのタバコビジネスの発展とプロパガンダを目的としたもので、あまり幸福ではなかったようである。
加えて、高い知名度を誇る反面、インディアン側からは彼女を「白人にこびへつらったインディアン」と見る向きもある。そもそも、アメリカインディアンには基本的に文字の文化がなかっため、彼女の正確な半生を残した記録はない。
アニメ映画
ポカホンタスのエピソードを元にしたディズニー映画が後に製作された。17世紀初頭のアメリカを舞台に、アメリカンインディアンと白人の恋愛を描く。pixivではこれに関するイラストが多い。
この映画は「事実に即していない」、「インディアンに対する差別用語が多い」、「白人から見たインディアン像しか描かれていない」などの理由から批判をうけている。その一方で、ハリウッド映画としては珍しくインディアンが善として描かれており、差別用語も「当時の差別の酷さを表現するのに必要だった」ともされている。
あらすじ
ポウハタン族酋長の娘ポカホンタスは、大自然を自由に駆け回って暮らしていた。そんな彼女に、部族の英雄ココアムとの縁談が来る。父やココアムは結婚に前向きになるが、束縛を嫌う彼女は今ひとつ乗り気になれない。そんな時、イギリスから白人たちが植民にやってくる。物珍しさから彼らを観察していたポカホンタスは、リーダーであるジョン・スミスと偶然出会い、様々な壁を越えて恋に落ちる。しかし、そんな二人の想いをよそに、イギリス人とポウハタン族は次第に激しく対立するようになっていく‥。