概要
イラストは三上博史演じる第3の人格・明美である。
あなただけ見えないとは、1992年1月13日から3月23日まで全11話がフジテレビ系1992年冬季月9ドラマで放送されていたテレビドラマである。
1992年当時、恋愛物中心だった月9ドラマのマンネリ打破と、来るべきドラマ界の低迷を予期し、新たな潮流を作ろうとした。
「もう誰も愛さない」(1991年春)と「愛さずにはいられない」(1991年秋)と同じコンセプトを汲み、「もう誰も愛さない」の脚本とスタッフ陣で、テレビドラマスペシャル&映画のメディアミックス企画「パテオ」(1992年秋~冬)と、「もう涙は見せない」(1993年秋)が後に制作され「ジェットコースタードラマ・5部作」の第3作目として知られている。
当時流行した「ツインピークス」や「羊たちの沈黙」等のサスペンス洋画から範を取り、複雑怪奇な人間関係と急展開のストーリー、オカルトチックな雰囲気などが特徴のサイコサスペンスドラマである。昼夜問わず三輪車に乗る歯列矯正中の少女がアイキャッチのように登場したり、登場人物がことごとく殺害される、または精神崩壊を起こすなどの残酷な場面もある。主演の三上博史は当作品で、野心家で冷酷な性格の「青田和馬」、心優しい穏やかな性格の「高野淳平」、そして青田和馬を上回る凶暴な女性「明美」と、3つの人格を持つ多重人格者を演じる。(しかし、それが後述するその後ある疑惑を生む事になる)
また、このドラマでは、所々にロシア語が現れる。例えば、本編の最後には「つづく」の代わりに「Продолжение следует(ロシア語で「-が続く」の意味)」、エンドカードでは「終わり」の代わりに「Конец(ロシア語で「終わり」の意味)」と表示される。
あらすじ
女子大生の川島恵はある日、姉の舞子と間違えられ、イワノフと名乗るロシア人の男から、舞子の実父が間宮財閥の当主・間宮幸太郎で、舞子は遺産の正統な相続人の一人だと告げられ、コインロッカーの鍵を渡される。イワノフが去った後、言われるままにロッカーを開けると、中には半分に破れた間宮幸太郎の日記が入っていた。日記を読んだ恵は舞子を名乗り、間宮財閥の未亡人・秀美と接触して5000万円の小切手を受け取るが、その直後に間宮家の顧問弁護士・青田和馬の策略で舞子が失踪し、会社から5000万円を横領した容疑で指名手配されていた。恵もまた、姉の舞子が指名手配された影響で内定を取り消され、恋人の山根光彦と破局する。さらにマンションのエレベーター内で、和馬から日記を強奪されそうになるが、コンピュータープログラマーの青年・高野淳平に偶然助けられる。次第に相思相愛となる恵と淳平だったが、ほどなくして淳平は、多重人格者である和馬の別人格であることが判明する。間宮幸太郎の日記が遺産相続の行方を握ると考えた和馬は、淳平と和馬の人格が交互に入れ替わりながらも執拗に恵の持つ日記を狙う一方で、間宮家の令嬢・茜との結婚を画策する。恵は和馬の襲撃をかわしつつ、行方不明の舞子を助けるために、元恋人・光彦の協力を得ながら奔走する。しかし、多くの人物が間宮財閥の遺産を巡るその裏で、和馬の父親とされる故人・青田三郎の恐るべき計画が静かに進行していた。
登場人物
川島恵-小泉今日子
青田一馬&高野淳平&明美-三上博史
川島舞子-高木美保
山根光彦-本木雅弘
青田三郎-(声)渡部猛
拭えない不可解な疑惑
終盤、間宮幸太郎と青田三郎が同一人物と判明し、青田三郎が生前、間宮家や関係者同士が遺産相続争いを起こし、共に滅びる様人工授精やマインドコントロール等で計画を立てると言う展開であった。
お気付きの方々も多いと思うが、そうあの冥王計画ゼオライマーOVA版の冥王計画のパクリの疑いがあった。
その後、関東ローカルでの再放送が度々延期となり、結局92年夏に一度限り再放送され二度と再放送されなかった事と、系列局ではどうだったかは知らないが、パクリ疑惑の有無に関わらず、フジテレビは早期に権利を放棄したと言われており、21世紀に入り関東、関西の当時の独立U局で再放送されていた事から、封印作品にされている訳ではない一方、映像ソフトは発売されていない。
来るべきドラマの低迷を見越し作った筈が諸事情に翻弄されるとは皮肉極まりない。
余談
この番組の放送中に、『とんねるずのみなさんのおかげです』にてヒロインの川島恵を演じる小泉今日子をゲストに迎え、第1話をモチーフにしたパロディコント「あなただけ見えない2」が放送された。