概要
元々はPCカードから不要な線の省略と一部機能の制限をして小型化した汎用カードである。
そのため、半導体メモリの他に小型のハードディスクやEthernet、Bluetooth、シリアルポートなどこの規格に準じた多数の拡張機器が存在するが、ここではフラッシュメモリを用いた記憶媒体に限定して説明する。
メイン画像の端末上部に刺さっている通信カードもコンパクトフラッシュの一種である。
記憶媒体としての概要
PCカードのIDE接続ストレージデバイスとしての動作モードを用いてデータアクセスを行う。
設計が古い分、製造やデータアクセスのノウハウが蓄積されているためか、各種メモリカードのハイエンド品の中では高速・大容量なものが多く、デジタルカメラの高級機や、業務用ファイルベースビデオカメラなどの記録メディアに用いられている。また、IDE接続のハードディスクと同じ方法でアクセスできるため組み込み機器内に大容量ディスクや起動ディスク代わりに内蔵されていることもある。
容量・フォーマット規格
規格上の容量は2010年2月に制定されたCF5.0規格では144PB(150,994,944GB)まで。ファイルシステムの指定は無く、FAT12又はFAT16、FAT32が推奨されているだけである。
寸法
42.8mm x 36.4mm x 3.3mm(タイプ1)
42.8mm x 36.4mm x 5mm(タイプ2)
規格としてはこの二種類があるが、奥行きが更に長くなったものや、厚さが更に分厚くなり差し込むのに2スロット必要とするものもある。
拡張規格に対応したものではPHSや無線LANなどの無線通信ユニットと一体となったものもあり、アンテナが内蔵した部分はスロットの外にはみ出しているうえに分厚くなっていたり、棒状のアンテナが取り付けられたものもあった。
後継規格
更なる高速化のために後継規格としてCFastが登場している。カード外形こそタイプ1のコンパクトフラッシュと同寸法だが、通信高速化のためインターフェースにシリアルATAを採用おり更にコネクタ挿入時のピン折れを防ぐため端子形状が変更されており、コネクタの互換性(※)はない。しかし、データメディア以外に汎用ストレージとしての用途も受け継いでおり、コンパクトフラッシュと同様に組み込み用途向けの産業用CFastカードも製造されている。
また、インターフェースにPCI Experssを採用したXQDカードも登場しているのだが、こちらは開発にかかわった企業のうち最大手ともいえるサンディスクが撤退を発表したことや、PCI Experssというインターフェースの汎用性ゆえ消費電力やメディア価格などで民生用向けとして広まっていくのか不透明な状況になっている。
注釈
※・・・誤挿入防止のためコネクタ横のレールの形状が異なっており、挿そうとしても挿さらないようになっている。
余談
- 一般にメモリカードの規格書を入手するためにはそのメモリカードの規格団体にライセンス料を払って規格団体の会員となる必要があるが、コンパクトフラッシュとCFastについては汎用規格であることを考慮しているのか、規格団体の会員とならなくとも規格団体であるCompactFlash Associationのサイトで購入できる。
類似品
同じ寸法で同じインターフェイスを持つマイクロドライブがある。
TypeIIのコンパクトフラッシュカードと同じ形状をしているが、中身は小型のHDDであり、CFとはまったくの別物である。