※ここではハードディスクドライブ本体について触れています。親記事を参照。
概要
金属やガラスなど硬い材料でできたディスクに磁性体が塗布してあり、その磁気ディスクを高速回転させてわずかに浮かせた磁気ヘッドを移動させてデータアクセスを行う装置。黎明期は大型コンピュータ用のキャッシュメモリ装置として使用されており、その当時はまだ記録密度も低かったためディスクが交換可能なもので、当時は磁気ディスクパック装置ともよばれた。その頃は磁気ヘッドは圧縮空気を吹き付けて浮かせていたが、のちにディスクと磁気ヘッド及びアクセスするための周辺回路が一体化し磁気ヘッドもディスクの近くの空気の流れでわずかに浮く構造に変わった。樹脂製記憶媒体登場後その見かけ上の特徴から「だらりとして」という意味を持つフロッピー(floppy)という愛称が普及し、さらに固定ディスクかパソコン用に使われるようになり始めると相対的に中身が「硬い円盤」であるそれはハードディスクと呼ばれるようになる。ただしその頃は高級な大容量記憶装置であったが、技術の進歩につれパソコンに(ほぼ)必須の部品となっていった。
HDDの主要な製造メーカーと言えばWesternDigitalで有名である。
また接続規格も、独自規格→SASI/IDE(ATA)/SCSI→EIDE/UATA/SCSI/USB1.0~1.1/2.0/IEEE1394a→SATA/IEEE1394b/USB3.0/SAS/Thunderboltとどんどん高速化していった。
特殊な例ではCF規格を用いたものもあった。
また、高速化に伴いEIDEやSCSIに代表されるパラレル方式では信号の干渉や電気的長さの誤差による信号到着時間のずれが無視できなくなったことと、後述にある8b/10b変換のようにシリアル信号の信頼性を上げる技術が開発され広まり、また専用LSIも量産されだしたことにより、従来のパラレル転送からシリアル転送に変更して干渉や到着時間のずれをなくし、信号線を減らしたことによるデータレートの低下は転送周波数を大幅に上げて対処している。
また、エラー検知と同期信号を重畳するため8b/10b変換とよばれる変換を行っている。(USB1.0~3.0(※)を除く)
※3.0は新設されたSuperSpeedモードのみ8b/10b変換を行っているが2.0互換モードでは従来どおり8b/10b変換は行っていない。USB3.0で信号線が増え、端子の仕様が変更になったのはSuperSpeedモード専用線が設けられたため。
主な開発・製造メーカー
日本国内で認知度が高いものを挙げる。
- BUFFALO(メルコホールディングス)
- ELECOM(エレコム)
- WesternDigital
- アイ・オー・データ機器(I-O_DATA)
- 東芝(現在はBUFFALOが製造)
- シリコンパワー
ATA
- IDE/ATA(アイディーイー:Integrated Drive Electronics/アタ:AT Attachment)
- EIDE(イーアイディーイー:Enhanced IDE)
- UATA(ウルトラエーティーエー:Ultra ATA)
- SATA(エスアタ:Serial AT Attachment)
SASI/SCSI
- SASI (サシ:Shugart Associate System Interface)
- SCSI(スカジー:Small Compter System Interface)
- SAS(エスエーエス:Serial Attached SCSI)
USB
- USB(ユーエスビー:Universal Serial Bus)
1.0~1.1/2.0/3.0
IEEE
- IEEE 1394(アイトリプルイー1394:The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.1394)
余談
1981年に発売されたXCOMP製10MBのハードディスクが3,398ドル(約75万円(※))、1990年に発売された初のギガ容量となったIBM製HDDは20,000ドル(約290万円(※))、
1993年7月当時のパソコン用 1GBのハードディスク(ICM製(※2))のお値段は約42万円でございました。
(※2の情報元:電波新聞社マイコンBASICマガジン1993年7月号の新製品記事)
※・・・発売年の円相場の平均から算出。
※2・・・国内のパソコン周辺機器メーカー。1996年に倒産。
近年、Ethernet(LAN)対応のハードディスクが登場しているが、内部では筐体に内蔵された小型のコンピュータに対してネットワークアクセスをし、筐体内コンピュータからハードディスクへアクセスが行われる。そのため、故障しても内蔵されたハードディスクのみを交換できる機種が多く、筐体内にコンピュータがあることからUSBなど他のインターフェイスも備えていることがある。
USBに先行してIEEE1394もビットレートが3.2Gbpsまで拡張されているが、高コストなどによりMacintosh以外にはあまり普及せず、転送速度が上回るUSB3.0の登場によりHDD等のPC用ストレージに使われなくなりつつあり、音楽機器、業務用途などが現在の用途の中心である。