概要
頭胴長 30~45cm
尾長 30~40cm
体重 約1㎏
見た目
名前の通り頬の周りが白く、茶色い毛に覆われている。尻尾は黒がほとんどでたまに尻尾の端が白い個体もいる。そういった個体は普通より生存率が低いといわれている。
ムササビには、針状軟骨と呼ばれるものがある。普段は腕に沿うようにしてたたまれているが、滑空の際に針状軟骨を伸ばすことで、皮膜の面積が広がる。滑空中に上に反るのは、航空機の翼のウィングレットと同じで、抑えつける気流の発生を弱める効果がある。ちなみに、針状軟骨はモモンガにもある。
寿命
野生下 5~10年
飼育下 長くて15年
妊娠期間
約75日
これは、樹上棲リスの中では、2番目に長い。最長はミミゲモモンガの80日。
産仔数
げっ歯類は基本、繁殖力があるが、ムササビは1、2匹しか子を産まない。
これは、樹上を滑空して移動するため、多くの子を抱えると、樹上生活が困難になると考えられる。
妊娠期間の約75日と、子ムササビが外出して採食開始するまで生後約60日の合計135日間を費やすため、1年に繁殖可能なのは2回まで。また、妊娠期間などの長さ以外にも、食物の季節変化に対応するため、という理由がある。
食性
場所によって植生が違うため、ムササビはそれに合わせて食性も変わる。下に書いたもの以外の食べ物も食べる。
広葉樹や針葉樹のスギやマツ、葉や芽、松ぼっくりも食べる。ムササビが食べた後は、リスト同じく、エビフライのような形(パイナップルのような形になることもある)になる。食べている途中に落とすこともある。その際は、とりに行かない。ムササビは地面を走るのが苦手なため、落としたらそのままにする。
しかし、地面に自ら降りることもある。それは、地面に生えているキノコを食べる時。コナラの林に群生するムレオオフウセンタケを食べるところが観察されている。
ごく稀にセミも食べることがある。また、ヒヨドリのヒナを食べることもある。
大腸などの長さ
ホオジロムササビは他の樹上棲リスと比べると、大腸がかなり長い。
大腸 | 小腸 | 盲腸 | |
ホオジロムササビ | 183cm | 185cm | 28㎝ |
アーベルトリス | 74cm | 167cm | 20cm |
トウブキツネリス | 48cm | 144cm | 12cm |
トウブハイイロリス | 50cm | 212cm | 10cm |
食物繊維を多く含む食物を食べる種ほど、相対的に長い大腸を持っている。
葉っぱの食痕
シイやカシのように固い葉っぱは、二つに折ってから先の方(葉っぱの中心)を食べる。
サクラのように柔らかい葉っぱは、四つに折ってから角(葉っぱの中心)を食べる。
ただし例外もあり、葉っぱを二つ折りにしないで食べることもある。
食べ跡は、V字型の歯型が残っていたり、真ん中に丸く穴が開いていたりする。
ムササビが葉っぱの周りを食べ残すのは、葉っぱの周囲にはタンニンを貯めこんであるかららしい。
余談だが、インドオオリスはノボタンの葉を食べる際に葉を折り曲げて中心部だけを食べ、周囲を食べ残す。食べ跡はドーナツのような形になる。ノボタンの葉の周辺部には、タンニンが含まれていた。
てんぐ巣病とムササビ
ムササビが桜を食べるとき、かじられた部分から菌が入り込むことがある。
てんぐ巣病にかかったサクラは、花が咲かなくなり、やがて枝が枯れてしまう。しかし、感染している枝を食べてくれる、樹木医でもある。
滑空場所
ムササビは避雷針の上や梢(樹木の先の部分)などの出来るだけ高いところから滑空する。滑空距離を出来るだけ多く伸ばすためだろう。しかし、交尾騒動中は、活動時間が長くなり、夕方近くになると活発に鳴きだすカラスと活動時間が重なり、襲われることがある。そこで、ムササビはメスの巣へ向かうとき、樹木の中ほどの高さから滑空する。