概要
ソニーより発売されたアクションRPG。
ソニー・コンピュータエンターテイメントとしては初のRPGという事で
比較的大きく扱われていたものの、初期の売上本数は今ひとつ伸びなかった。
開発元は当時立ち上げられたばかりのスタジオだったレベルファイブで、実は本作がデビュー作。
当初は本数こそ伸びなかったものの、細かい所まで作り込まれた作品である事が
ゲーマーの目に止まり、隠れた名作として知られる事となった。
一方、海外版は日本版で納得行くまで作り込めなかった部分を
改良・修正したものになっており、100万本以上を売り上げたヒットタイトルとなった。
なお、レベルファイブは本作と似たシステムや要素を受け継いだ『ダーククロニクル』を
後に発売するが、上記の海外では売上が非常に良かった事を受けてか、
海外版ダーククロニクルのタイトルは『Dark Cloud 2』である。
そちらも内容の作り込みなどから、ゲーム雑誌等のレビューでも高評価を獲得しており、
そこから遡って本作の存在や、レベルファイブの開発力の高さが知られる所となり、
本作でのデビューからわずか4年後にドラゴンクエストシリーズの当時最新作である
『ドラゴンクエストⅧ』を手掛ける事となった。
ストーリー
主人公トアン少年が住むノルン村で村祭りが催されている夜、東の大陸では
怪しげな儀式により古の魔神が復活、その力を利用した東の大陸の軍人により
世界各地の街が吹き飛ばされ、一瞬で世界は半壊してしまう。
ノルン村では幼馴染を助けようとしたトアンが崩落する櫓に巻き込まれてしまうが、
その精神力と優しさを見込んだ精霊王によって助けられ、不思議な力を持った石「アトラミリア」を授けられる。
精霊王はかつてノルン村があった場所にトアンを連れて行き、
魔神が全てを破壊する寸前に自らの魔法により建物や住人を「アトラ」と呼ばれる玉に封じ込めて守ったが、
魔神の力があまりにも強大だった為にそのアトラが飛び散ってしまった事を語る。
そのアトラをアトラミリアの力で回収し、再び世界を再建する為にトアンは世界各地を冒険する事となる。
ゲーム内容
本作の目的は上記の通り、魔神に滅ぼされてしまった世界を再建する事にあるが、
そのために必要となるアトラ(建物やその他の施設)はダンジョンを探索して探していく事になる。
そのため、本作の内容を大きく2つに分けるとアクション要素のあるダンジョン探索パートと、
ジオラマのようにして街を再興させていくジオラマパートとなる。
ダンジョン探索
ランダム生成されるダンジョンの中を探索し、アトラを探す。
各フロアの出口には鍵が掛かっており、開けるにはフロア内に居るモンスターが持っている鍵が必要となる。
最終的に合計6人のキャラクターが使用可能になるが、操作するのは1人かつ探索中にキャラクターを変更可能。
ただし、各地のダンジョンには「リミテッドエリア」という特殊条件が付くフロアがあり、
その効果の中には特定のキャラでないと進行できないというものがあったり、
特定の仲間の固有アクションが無いと進めない場面もある。
探索を進めていると強敵と出くわす事もあり、「デュエル」という
現在で言う所のQTEのような戦闘になる場合もある。基本的に表示されるボタンを
押していくだけだが、一部特定のアイテムを持っていないと勝てない場合もあり。
戦闘に使う武器には耐久力があり、0になると壊れて消滅してしまう(初期装備のみ「壊れた」武器になる)。
耐久力を回復させるためには回復アイテムである「リペアの粉」を使う必要がある。
武器を長く使い続けるとレベルアップさせる事ができ、「アタッチメント」と呼ばれるアイテムや
宝石を吸収させてステータスを強化する事ができる。武器によってはそのまま強化し続けると
他の武器に進化する「ビルドアップ」が可能なものがあるほか、武器自体を
アタッチメント化して他の武器に吸収させる(強化値が引き継がれる)という要素もある。
ただし注意点として、こうやって強化した武器でも耐久力が0になると壊れて消滅してしまう点や
敵によって消費する耐久力が違う点などには注意が必要となる。
遠距離武器は一律で耐久力を消耗していくが、発射レートが高いマシンガンなどは
かなりの勢いで耐久力が減るので大量のリペアの粉のストックが必要。
ジオラマ
ダンジョン探索で回収したアトラを街の跡地に配置する事で復興させるパート。
ただデタラメに置けば良いというわけでなく、街によって「元々こんな施設があった」という
住人からの情報を元にレイアウトしていき、街を作っていくことになる。
それぞれの街では住人から「どうせ作り直すならこうして欲しい」という
リクエストを受ける事があり、達成するとその住人からお礼のアイテムを貰う事ができる。
そのマップでリクエストを全部達成すると、コンプリート特典がある。
ダンジョンのボス部屋に入る為の鍵がジオラマを進めないと入手できない、
リクエストの達成で仲間が加入するなどもあるため、ゲームを進めるためには必須となる。
登場キャラクター
各キャラクターには得意な武器の他、好物となる貴重なアイテムが設定されており、
使う事で防御力をアップさせる事ができる。
各キャラクターの声優はエンドロールにも何故かクレジット表記がないものの、
トアン/ルビーは久保田恵、シャオが秋葉秋である事は明かされている。
トアン(デフォルトネーム)
名前変更可能。ノルン村に住んでいた、ごく普通の少年だったが
オープニングで起こった魔神の復活と精霊王との出会いにより、世界を復興する為に冒険する事になる。
使用武器は短剣・剣。好物は「ふんわりドーナッツ」。
シャオ
ノルン村の復興中にトアンの家に迷い込んでくる猫。
ダンジョンで手に入った「へんげの秘水」により半獣半人の少女の姿となり、
トアンと共に冒険の旅に出る事になる。使用武器はパチンコで、遠距離攻撃が可能。
猫特有の身軽さにより、ダンジョンの中にある非常に細い足場を突破できる。
好物は「お魚キャンディー」。
ゴロー
マタタギの里の外れに住んでいる少年。里の英雄だった父親を亡くしてから
心を閉ざしているが、デュエルを通してトアンの実力を認め、冒険に力を貸してくれる。
使用武器はハンマー・斧で、ゴローの武器でないと起動できないスイッチがある。
好物は「草まんじゅう」。
ルビー
クイーンズの街で仲間になる魔女。
武器は魔力を強化する腕輪で、弾速は遅いものの大きな当たり判定の飛び道具を放つ。
好物は「魔女のパフェ」。
ウンガガ
トアンと同じく住んでいたムスカ・ラッカの村が襲撃され、1人難を逃れた青年。
使用武器は槍で、ダンジョン内にある黒雲を回転させて吹き飛ばす事ができる。
好物は「サソリジャーキー」
オズモンド
月に住む民のリーダー。天才発明家であり、使用武器は自らの作った銃。
飛行機械のようなもので移動するため、穴を飛び越える事ができる。
好物は「ニンジンクッキー」。
次回作『ダーククロニクル』でもNPCとして登場する。