中世ロシアにてモスクワを首都とした国家(1263年~1547年)。後のロシア帝国の前身にあたる。中世ルーシ(後のロシア)の各地を治めていたクニャージと呼ばれる君主を日本語「公」と訳す。それらクニャージを従属させるモスクワのヴェリーキー・クニャージを「大公」と訳すことからこう呼ぶ。
ルーシが群雄割拠の時代、ウラジーミル・スーズダリ大公の末子であったダニール・アレクサンドロヴィチがモスクワ公に任じされて成立した。後に強大化して大公位を奪取、独占しイヴァン3世の時代には実質的に全ルーシを統一した。イヴァン3世は最後の東ローマ皇帝の姪と結婚することで、正教会の守護者を自任する。また「ツァーリ」の称号もこの頃から用いられたが、当時は他国の王などもこの呼称で呼んでいたので皇帝という程の意味はない。その孫にあたるイヴァン雷帝が東ローマ皇帝の後継者の意味合いでツァーリとして戴冠した後はロシア皇帝国(ロシア・ツァーリ国)と歴史学的には呼ばれるようになる。